表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

旧作・駄作・ほぼ没

覚え書き・外来語の使用について

作者: 住友


私は自分の小説では

ほとんどカタカナを使いません。

厳密には対応する日本語がない場合

(『インターネット』『カルテ』など)、

または日本語名だと馴染みがなく

明らかに不自然である場合

(『テレビ≒映写機』とか)

などを除き外来語を使いません。


その理由の一つは

高い年齢層の人々を読者の内に

取り込みたいからです。

文章を書く時、ネットやラノベの文化に

馴染みのない年配の方に読まれることを意識すると

自然と説明が丁寧になる(上手いか下手かは

置いといて)し、

表音文字より表意文字の多い方が

予備知識が全然ない人にも情報が伝わる、

あるいは大まかに意味を推察できる

文章になります。


二つ目の理由として作家の中島敦の

硬質で格調高い文体が好きだからです。

(文学ストレイ◯ッグスのファンではない。)

分かりやすく、なおかつ

厳めしい漢詩を導入しても

自然に溶け込ませることができる

格好いい文体だと思っています。


そして最後にこれが

一番重要な理由なのですが、

自国語の保護に基づく

動機からというものです。


外国語ばかり使わされるのは

正真正銘、主権の危機です。

よく「護憲派はリアルポリティクス

(現実主義的政治、現実的な政治感覚)が

欠如している」

と言われますが

英語の義務教育化こそは

より深刻なリアルポリティクスの欠如です。

特定の外国の言語の習得を強要するのは

どういう理由をつけようと立派な侵略行為です。


韓国人に日本語を使うよう強要したら

侵略だと言われるように、

日本人に英語を

義務教育で強要するのも侵略だと

言われるべきです。

どんな国だろうと

どんな理由があろうと

その地域の文化を否定しなければ

できない所業であることに

変わりはない。


健全な、文化の保守がまともに

機能する社会は

なるべく外国文化の輸入を制約するものです。

何かと国際化(グローバリズム)

推進される世の中ですが、

それを称賛するのは

独立国家という概念の否定です。


人間の生存には必ず文化が下地として

存在します。

人間は文化なしには生きてはいけません。

文化とは信用の構築物の一種で、

歴史と伝統の蓄積から成り立つものです。

ある民族が自らの歴史と全く無縁なもの、

自らが持つ気質と風土において未知のものを

簡単に取り込もうとするのは

極めて危険なことなのです。


そういう意味で今日のネット環境というものは

文化という概念と相性が悪い。

ネットは人々の間の

距離と時間をなくしますが、

文化の生成に必要なのは

距離と時間に他ならないからです。

その証拠にネットではすでに

国境も法律もまともに

機能していない。

宗教に関しても、

ネットの宗教なんてものはないし

利用する人々の宗教間の

意識の壁もなくなりつつある。

最後の砦はずばり言語です。


言語の違いが壁になっているのはいいことなのです。

もし言語の壁が完全に克服されて

インターネットが真に純粋な

情報の集合体となったら、

地上から文化や政体、

道徳や倫理や教育は消滅し

全人類は劣悪な環境において

平等になるでしょう。

ネットの炎上、場の空気、

話の流れ、風の噂や陰口、

密告や詐欺やテロが

政府そのものになる地獄の誕生です。


結論として言えることは

日本人が日本語しか使えないのは素晴らしいこと、

恥ずべきどころかむしろ

感謝すべきことであるということ、

偉大なる作家になるのを目指す人間が

母国語のみを使用するのは

当然だということです。



2018年4月24日追記・『カルテ』の日本語ないって書いていますが

探してみたらありました。

『カルテ』=診療録、だって。

やってしまいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 論旨が簡潔 清澄で このエッセイに賛同します  
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ