プロローグ
世界から遠く離れた孤島で、永遠のありかたを静かに示しているように波の音が単調に反覆を繰り返す。
ここは隔離島。ある病気にかかった人達を隔離するための島。
ある病気の名は腐敗症候群。腐敗症候群とは、感染してしまったものたちの体を腐らせ、不死者としてしまう病気だ。
腐敗症候群の原因は新種の虫によるものだ。その虫は寄生虫で、寄生した人間の脳にとりつき腐ららせた人間操って 新たな人間を貪り食うのだ。
だが寄生虫と言ってもすぐ寄生するわけではない。人間の体内に毒を入れ、体を腐らせてから腐敗して脆くなった皮膚から体内に入り脳に行く。
そして人間を操るのだ。
それに感染してしまった人々はこの孤島で隔離される。だがここにいるのは感染者だけではない、感染者の家族もこの孤島に隔離されるのだ。
そして私たちも、感染していないのに隔離されてしまっているものの一人だ。
「お母さん………」
「なんで…………」
瓜二つの少女と少年が目にしている光景はとても酷いものだ。
少女はその場に経垂れ込んでしまい、ナイフを持っている少年もあまりの光景に後退りしてしまう。それもそうだろう、その光景は8歳の少年と少女にはあまりにも酷いものだった。
自分の母親の目玉が取れ、その目玉からはムカデの様な虫が出たり入ったりしている。 そのムカデの様な虫が腐敗症候群の原因だ。
しかし母親の姿はあまりにも無残なものであった。 体中から血が流れ、顔は皮がはげ筋肉がむき出しになっている。もう母親の跡形すらない化け物だ。
「ウ”ゥゥゥゥゥウゥゥウ」
その化け物は低いうめき声を上げながら経垂れ込んでしまっている少女に襲いかかる。
「ヒッ………………助けて………リオ」
少女は助けを求めた。リオと呼ばれる少女と瓜二つの少年は、手に持っているナイフを構える。
だがなかなか化け物に斬りかからない。化け物といっても母親だ。やはり殺しづらいのであろう。
「リオ!助けて!!!!!!」
「リナ!!!」
リオと呼ばれる少年は リオと言う少女を助けるために、手に持っているナイフで化け物と化した母親に斬りかかる。
そして化け物の首を切り落とした。