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運命の出会い?

そう、誰もいないはずの教室に目を丸くした一人の少女が佇んでいた。


腰まで垂らされた美しいブロンドヘアー。

すらりとした体に着こなされた制服。

体の凹凸がはっきりとわかるほど美体系。

天使と比喩するに値する顔立ちだった。


——なんか思ってたのと立場が反対な気がするが……

これはこれでラッキーか?


「ん?」

俺は彼女の片手に握られているペンに自然に目が吸い寄せられた。

可愛らしいペンは机の上のノートへと向かっている。

——この時間から勉強?


と、俺の視線に気が付いたのだろうか?

少女は慌ただしくそれを閉じ、鞄の中へと放り込んだ。

そして、その行動を見つめる俺へと口を開く。


「あの……」


その声の可憐さは戦争の一つや二つ止めても何ら不思議ではない。

俺にそう思わせるほどのものだった。


俺は息を呑んだ。

たった二文字。ただそれだけで心拍数が上がっていくのを感じた。

そして思った。

これこそが高校生活における『運命』。

彼女なら高校生活の全てを賭けても惜くないのでは? と、


俺はテンパりながらも、

「は、はい!」

などと返事してしまった。

そして、凝視することのできなかった彼女の瞳を見る。


——なんだよこの展開……

こんな出会いイベント普通じゃないだろ‼

そこら辺の頭の悪い男子なら血迷って襲っても何らおかしくない。


俺は赤面しながら彼女の返事を待った。


少し間を置いて、彼女が口を開く。

「ごめんなさいね…… 察するに一番最初に教室に入りたかったみたいだったけど……」


彼女の口から出てきた言葉は謝罪の言葉だった。

俺はその言葉に一瞬フリーズしてしまった。


——なんて良い人なんだ……

自分が何をしたでもないのに謝るなんて……

それに、言葉に心がこもっている……

普通自分の責任でもない事に心を込めて謝れる人などそうそういないだろ……

容姿が美しいうえに性格まで良いと来たか……

まさに理想形だ‼

『絶対に手に入れる!』

彼女の存在は、俺にそれだけのことを思わせるほどだった。


「い、いや…… 別に君が悪いわけじゃ……」

しかし、

「……いいえ。私が高校生活に浮かれすぎて2時間も前に学校の門の前で待っていたからなの。それで体調を崩してしまって……」

と彼女に遮られてしまった。


——2時間前……

どれだけ楽しみだったらそんな大胆なことができるんだよ……

まぁ、それも含めての可愛さかもしれない……



廊下の方から他の生徒たちの話し声が聴こえる。


俺は今の状況を見られてはマズいとばかりに彼女を置いて、教室を飛び出た。


——これが高校ライフにおける『青春力』……


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