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風船は飛んでいく。

作者: 花鳥風月



重たい重たい風船は、空へと飛んでいってはくれず。

近場へ近場へ落ちていく。

そのうち誰かに盗まれて、そしてどこかで破裂して、

願った場所へも届かずに、それでもそれでも、違う風船飛ばせない。





軽い軽い風船は、ぐんぐん空へと伸びていく。

見えないぐらいに上がったら、結局風でどこへやら。

そして誰とも知れぬ人のもと、願った場所も知らぬまま、軽く軽く飛んでいく。





普通の普通の風船が、次々空へ飛んでいく。

見分けもつかぬ風船たちが、同じところへ飛んでいく。

ピエロの元へ集められ、みるみる汚れていく風船が。

割られてやっと思い出すのは。

洗ってくれる人への宛名書き。





赤い赤い風船が、青い空へと飛んでいく。

優雅に飛んだ風船は、好みの場所へと落ちていく。

地面に触れたその時に、真っ赤な真っ赤な風船は、灰になって消えていく。

割れるまでの一生で、そこへ行くまでが好きなだけ。





青い青い風船が、海の中を泳いでる。

同じ色の暗い青色は、まるで塗料が剥がれたよう。

必死になって飛んでいっても、海へと流されないとは限らない。

雨に打たれて、風に吹かれて、

それでもたった一つと決めた場所。

どんなに本気で飛んでいこうとも、

流されないとは限らない。





白い白い風船が、ただただ空に浮かんでる。

風に吹かれて右往左往。

行きたい場所はあるけれど、拾われるのかが心配で。

どこへも飛んでいけぬまま、萎んでしまう風船は。

今日も明日も意外と多い。





丸い丸い風船が、ぷかぷか空を飛んでいく。

宛もなく旅路へ出ても、結局いつか誰かに拾われ。

それなりそれなり悪くない。

行く宛なんてなくたって、大事に大事にされたなら、

どんな形にだってなれるから、まるい風船なんだろう。





大きな大きな風船が、みんなに見られて飛んでいる。

立派な立派な風船は、まだまだ大きくなりたくて。

落ちていくなら豪邸へ。拾われるなら王子様。

ほんとはほんとは違うのに、勝手に大きくなっていく。

小さな小さな風船の、虚像にどんな意味がある。





ヘンテコヘンテコ風船が、笑われながら流れていく。

変な形と気づいてる。

変な色だと知っている。

自分が一番わかってる。

それでもヘンテコ風船飛んでいく。諦めないで飛んでいく。願ったとこへと飛んでいく。


空を見上げた女の子、可愛い可愛い女の子。

変な風船抱きしめる。降ってきたのを、嬉しそうに抱きしめる。



どんなヘンテコな風船だって、抱きしめてくれる人がいる。



ダメで元々、当たって割れろ。





──いろんな風船飛ばそうよ。


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