謎の声
❮ねぇねぇ、どうして逃げないの?❯
ここ何日か頭の中に声が響く。まただ、高い少年のような声がうるさく聞こえた。
(逃げても、いくところないよ。)
僕はその問いに心の中で答える。不思議なことにその声はまわりには聞こえないみたいだ。
❮ふぅん、そっかーまぁいいけどこのままここにいたら君2日、もっても1週間で死ぬよ❯
(おい‼どういうことだよ) 冗談じゃない
❮明日から君の食事に毒を入れるみたい。君の父親は喜んでいたよ❯
「っ‼」あの女の息子である僕を疎ましく思っていたのはわかっていたのに悲しくなった。
❮父親に愛情でも求めてた?無理だよそれは、君のお兄さんに夢中だからさー❯
(愛情は求めていない。だけど、父としてもう少し子供のことも見てほしかった)
❮ふふっそんな可哀想なアルベルト君にいいものあげるよ‼❯
そう謎の声が言うと、コトンといくつかの道具が落ちてきた。
(これは、な…に……)
すると謎の声が道具の説明をした。
ひとつめは、龍を呼ぶことができる竜笛。ふたつめは、短剣だった。みっつめは、しばらく暮らしていけるくらいのお金だった。
❮後は、魔力とか体力だよ‼❯
(ありがとう、それにしてもどうしてここまでしてくれるの?)
❮それは……大昔この牢獄に君にとても似ている子がいた。君とは違って父親も母親も知らない子だったけど……❯
昔もこんなことがあったのか……王族って大変だな~‼と思った。
「しっかも聞いてよ~アデライードがさ~一回はめられるんだけどさー牢獄に下水道に通じる抜け道があるのよー‼」
前世の姉、今は聖女(?)の言葉を思い出す。
ありがとう‼と心の中でお礼をいって抜け道を通る。
城内に出たようだ。まだ夜の景色の城で必死にどうやって外に出ようかと考える。
「うわぁ‼アルベルトだ。」女の声がした。短剣を構えて振り返るとそこには、前世の姉山田景子がいた。
「姉ちゃん?」思わず声が出てしまった。
アルベルト、約9年ぶりに姉と再会した。




