前世
前世の話。
「弟よ‼ついに私は手に入れたぞ」
少女は弟に向けて、そういった。そして弟は苦しそうに、
「姉ちゃん。痛いよ‼離せ」という。
少女の名前は、山田景子。弟の名前は山田光弘。平凡なごく普通のサラリーマンの家庭に生まれた姉弟だ。
この弟、山田光弘こそがアルベルトの前世だ。このとき14歳の少年だった。
「メイドアリスの王宮恋物語の続編、「令嬢アリスの学園いろは唄」を手に入れたぞ‼」
景子は、アリスシリーズのファンだった。
「やれやれ、またかよ姉ちゃんで今度はどういうストーリーなんだ?」
光弘は面倒に思いながらも聞いてみる。それは姉が、ゲームを買う度にストーリーを聞いていないのに教えてくるからだ。
「それは、プレイしてからのお楽しみ」
そういって、頭をポンと叩かれた。
そして、それから1ヶ月ぐらいたったある日のこと。
「はぁー‼やっとクリアした~」徹夜しまくったであろう姉が部屋から出てきた。
「……で、今回はどうだったの?」光弘はやけくそになって聞く。
「もー今回はすごい。なんたって前作のヒロインが悪女になって、しかも続編始まる前に死んでたのよー‼」姉はいつものようにストーリーを話す。
「はぁ?なんでヒロイン死んでるの?わけわかんないぞ」
「それがねー、レンジーク様の王妃になったのはいいけど前作の悪役令嬢を陥れてたらしいの」ヒロインえげつないな~‼光弘はそう思う。
「だからさー、今回のアリスは前作の悪役令嬢ソフィアの姪アデライードだったのよー‼しっかもラスボスさーアリスの息子アルベルトなのよー‼」
「なぁ、姉ちゃん。乙女ゲームってそんなのだったか?」
「いいのよ‼ゲームだから」
そうして、姉ちゃんの話は何時間も続いた。
それから、数日後山田光弘は車に跳ねられてこの世を去った。享年14
そして、何の因果かお姉ちゃんの大好きなアリスシリーズの世界、よりによってラスボスのアルベルトに転生したのである。
アルベルトは山田光弘としての人生を思い出した。あの頃は幸せだった両親は別に普通だったし、お姉ちゃんも優しかった。
突如、僕は腕をつかまれた。
「王孫アルベルト殿下、我々と来て下さい。」
王宮の兵士のようだ。
そして、兵士に連れられ牢獄(?)のようなところについた。で、牢獄(?)に入れられた 突然のことで声が出せずにいると、
「殿下、いいやもうただのアルベルトですな。アルベルト様は今王子位を剥奪されました。あなたの母アリス=エドリートの王妃殺人未遂に加担していたことになっています。」
そういって、兵士は去っていった。
ふざけるな。あの女‼ぶち殺す そう誓った。
次回、牢獄での話。




