第7話「木星より愛をこめて」
西暦6019年5月3日の夜、Cocoroの首都8番州の国会議事堂前広場は賑やかで騒々しかった。集まった観衆は一般市民ではなく、政治界の重鎮など含めた錚々たる顔ぶれの人々であった。もちろんコロニーのマスコミ各社取材陣がいれば連邦軍自衛隊の警備も厚く施されており、これから行われるイベントがいかに荘厳なものかを物語っているようだった。
今から1か月前に木星圏エウロパ圏域でガス爆発が生じた。多くの州が被害を受けた幾多もの宇宙船の救助にあたった。しかし連邦軍や州からの充分な支援もなく、大型旅客船の乗員多数を救った707番州駅の功績はコロニー中で話題となった。特に絶体絶命とされたパイロットの救出は多くのメディアで大きく取り上げられた。この偉業に強く携わったのが街の駅員であるアカリ・クリスティであった。彼女へはエルサム大統領より名誉国民勲章の授与が決まっていた――
アカリはヒロ、ガーディ、ミナトの3人に付き添ってもらい授与式に臨んだ。また授与式には707番州の著名人のみならず、市民からの参加も一部あった。特に州から名誉市民賞を授与した707番州駅職員一同のうち各部署のチーフは漏れなく16名全員がアカリの授与式に出席した。警備セキュリティ部のファイサルは彼の妻でアカリの大親友でもあるアイシャと授与式前に歓談を交わした。それからアカリ達は国会議事堂内にある控室にて授与式をただ待つのみとなった。そこに授与式の役員がやってきた。
「すいません。クリスティ様に個人的に面会されたい方がいらっしゃったので、お付き添いの方々は今しばし離れてもらえますか?」
「え? 授与式まで時間ないし、原稿の読み合わせがあるし、それは授与式の後にして貰うことはできませんか?」
「もうっ先輩、充分練習したってば……」
「心配しちゃうのよ。アンタ、間違えてとんでもない言葉言っちゃいそうだもの。少しでも練習する時間があるならしておかないと! これは国家行事よ!」
「それは何というか……オレも同感」
「でしょ? ヒロ君もそう思うでしょ?」
「まぁまぁ、しかし面会人にも都合があるのだろう。オレ達は先に会場に入って待機しよう。なに、原稿を読むだけのことだ。アカリ、お前らしく自信持ってやれよ。それが成功する1番の秘訣だ」
「ミナトさんがそう言うならそうなのだろうな。姉ちゃん頑張って!」
「もうっ、原稿忘れるとかしなさんなよ!」
「ミナト駅長、みんな、ありがとう! 私頑張るね! しかし誰なのだろう……?」
ミナト達が控室を出て3分後、面会人はゆっくりとアカリの前に現れた。
「パパ……!」
授与式が直前に迫ったその時、アカリへの面会を申し入れたのは彼女の父親であるダイノ・クリスティだった。
「やぁ、久しぶりだな、アカリ」
「…………」
「突然にこんな形ですまないな。心から祝福しようと思って来たよ」
「今度の人(女性)とは上手くやっているの?」
「!?」
「まぁ、別にどうだっていいけどね」
政治家ダイノ・クリスティはここ数年の間に晴れて再婚を果たしたが、1年もたたないうちに不倫をしてしまい、そのスキャンダルの報道によって、やむなく政治家として失脚してしまった。今は議員時代のコネで受けた役人の仕事をしている。しかしそれは栄誉を築いた男の哀れな姿に他ならなかった。アカリは彼の再婚時よりほとんど連絡をとらなくなり、また親子関係にあることも伏せてきた。そしてその関係性をはっきりする為にダイノから毎月送られてくる仕送りも受け取らなくなったところであった。
「ああ、今はどこにも相手してくれる人はいないよ」
「そう……」
「いいさ。お前にどう思われようとも構わない。ただ素直に心からお前のやったことを称えたかった。父親として。ただそれだけのことだ。本当におめでとう」
「ありがとう」
「ははは、邪魔したようだな。悪かった。お前が望むのなら、もうお前の父親は名乗らない。何も余計なことはしない。そう約束して失礼しよう」
「……ではないよ」
「?」
「憎んではない」
「アカリ……」
「ねぇ、ママのこと覚えている?」
「え? ああ……」
「ママは宇宙病が蔓延した時、お医者さんと一緒に自ら身体を張ってその絶滅に尽くした。それと引き換えにママは死んじゃった。でもパパはそれを必死で止めようとしてくれたのだよね? おばあちゃんから聞いたよ。話だけはね」
「知っていたのか…………!」
「だから私は憎んでいません。だって私を神様の信仰へ導いてくれたのはパパ。私を連邦公立校に通わせてくれたのもパパ。私の勝手を許して私に弟を作らせてくれたのもパパ。他にもいっぱいあると思う。だから私は感謝しかしていません」
「アカリ……」
「でも貴方のことはもう愛していないよ。今の貴方の目には私の大好きなママがいないから。だから私は私のできる親孝行をします」
「?」
「この世界の、ううん、この宇宙にいる人みんなの役に立って生きて立派な大人になっていきます。それが私のできる私のしたい私の親孝行です」
「アカリ……」
「たまにはママのこと思い出してあげて下さい。生意気なこと言うけど、そこにきっと答えがあると思うよ。あ、もうこんな時間になる! ごめんけど急ぐね!」
「…………」
急いで控室を出ていくアカリ、ダイノは椅子に座ったまま呆然とした。もはや自分の知る自分の娘ではなくなっていた。今日に至るまで様々なことがあったのだろう。それを自分が知る由などない。関わってすらないのだ。彼は急に自分が情けない父親に思えて仕方がなかった。しかしあの娘の姿を見ることで嬉しくてたまらない気持ちが溢れてもくるようだ。今日は愛娘の門出を純粋に祝えばいいじゃないか。やがて彼は重い腰を上げて立ち上がった。
アカリへの国民名誉勲章授与式はココロとマザーのコロニー首脳会談の日時に合わせて開催された。首脳会談は昼間に行われており、夜はこの授与式に焦点を合わせていた。もちろんマザー首脳であるガードナー首相をはじめとしたマザー連邦政府閣僚も参席するという豪傑さに富んでいた。授与式の開会が近づく程にアカリの緊張は高まっていった。舞台裏で彼女はドクドクと高まる鼓動と戦った。
やがてアカリ・クリスティへの国民名誉勲章授与式が開催された。
オープニングはガリレオタイガー乗員の救出にあたる707番州駅職員の再現ビデオが広場中央の電子液晶画面に映し出された。映画やTVドラマに出てくる俳優達がアカリやガーディを演じていた。あまりにも豪華な演出にアカリの緊張は最高潮に高まり、もはや舞い上がったような精神状態に彼女はなった。
オープニングが終わり、盛大な拍手に包まれながらアカリは広場中央ステージの中央へゆっくり歩んでいった。途中でこけてしまいそうになったが、警備員の迅速な対応により転倒の事態を避けることができた。しかし演台に立って一礼してマイクを持った途端、最悪の事態が生じていたことに彼女は気づいてしまった。
「あれ…………原稿は…………あれ? あれれ?」
広場がざわざわとし始めた。アカリはダイノと会話をした後、原稿を控室に置いてしまったまま舞台裏に向かったのだった。
「あの~原稿忘れちゃったみたいです。ごめんなさい。てへっ!」
彼女が「てへっ!」と言った直後に広場中に爆笑が溢れた。ガーディは額に手を当てて「あの馬鹿! 言わんこっちゃない……」と呟いて、そのまま項垂れた。しかし次の瞬間アカリが言い放った言葉はその場の茶化した空気を一変させた。
「あのう原稿なしでお話しさせていただきます! 宜しくお願いします!」
この瞬間、広場中から再び笑い声とともに大きな拍手がアカリへと送られた。
「この度国民名誉ウン……うんしょ?」
広場観衆の一人より「勲章!」という掛け声がかかった。
「ああ! そうそう! 国民名誉勲章でした! ありがとうございます!」
先ほどの声の主から「どうもいたしまして!」と返事が返った。再び広場中に爆笑が起きた。ヒロやアイシャも大笑いをしたが、ミナトら駅職員のほとんどは顔を赤らめて俯いていた。
「え~、この度は私のような名もなき市民に国名名誉勲章という賞状をいただき、たいへんな喜びと感謝の思いでいっぱいです! ありがとうございました!」
アカリが一礼すると広場中より握手が送られた。中には心無い野次もあった。しかし彼女は話を続けた。
「問題にはなるかもしれませんが、言うべきことなので言わしていただきます。私は元政治家のダイノ・クリスティの娘です」
アカリがそう言うと広場は再びどよめき始めた。別個室でアカリの演説を観ているダイノは冷や汗をかいて、両手で顔を隠した。まさかの発言だった。しかしアカリの「静かに聴いて下さい。お願いします。静かに聴いて下さい!」という言葉を受けて広場の騒めきは次第に治まっていった。
「んんっ、こほんっ、皆さんご存知ように私の父は決して褒められたような父親ではありません。でも誰でもない私の父親です。その事で私と父を面白可笑しく取り上げるのは止めてください。その事をまず皆様にお願いしておきます。それから私自身のお話をさせていただこうと思います。宜しいですか?」
観衆は静まり返ったままアカリの言葉を待った。講堂前広場の空気はいつの間にかアカリに掴まれていたようだった。
「ありがとうございます。私はテレビで紹介されているように幼少期を707で過ごしてきました。それから701の連邦公立高校に入学し、卒業して707の駅職員として故郷に帰省しました。で、私が駅職員となったキッカケは幼少時に駅で出会った職員のお姉さんです。その時私は迷子になって、一緒にいた祖母とはぐれてしまいました。その時に私を救ってくれたのが、先ほど言った職員さんになります。私が祖母と一緒に御礼を言うと、そのお姉さんは『大人になったら、この駅で一緒に働きましょう』と言ってくれました。私はその言葉が心にずっと残って、最初から高卒後の進路を決めていました。後々にわかったことですが、その幼少期に出会ったお姉さんがリッカ・ヤマノさんという方であることを知りました」
アカリがリッカの名前を出すと広場は一瞬どよめいた。
「ああ、やっぱり皆さんもご存じなのですね。私達の街では歴史の勉強で教えて貰えます。それほどまでの御方だと、私は高校生活で調べるうちに知りました。しかし残念ながら彼女はもうどこにもいません。そのことも調べていく中で知りました。だからこそ私の駅職員になりたい気持ちにより火がつきました」
アカリは一旦コップに入った水を飲んで話を続けた。
「高卒後、晴れて私は駅職員になりました。面接で『特技は何か?』と聞かれて、国歌斉唱することだと答え、一生懸命に国歌斉唱したのは今でもいい思い出です」
広場内で笑いが起きた。しかしそれは起こるべくして起こさせた笑いだった。アカリは観衆の反応を見ながらも話を続けた。
「それから私の駅員としての人生が始まりました。しかし失敗ばかりしちゃって、何度もくじけそうになりました。だけど自ら強く望んで始めた仕事です。クビにならない限りは絶対にやり抜いていこう! そう思ってやってきました。入社して3年経ったけど、誰よりも夢中なった彼氏や誰よりも親しくしていた上司が亡くなったこともあったけど私は挫けませんでした。挫けたくなんかなかったです。私のやることは変わりません。ううん、変えたりなんかしません。私は707が大好きです。私は人間が大好きです。だから優しく接してくれて私を駅職員へと導いてくれたヤマノさんのように立派な駅員さんとなって707を支え続けます。今日はそんな私の、ううん、私達の新たな出発の日です。皆さんもどうか気軽に707に遊びにいらして下さい! 心より笑顔で迎えさせていただきます! この度はたいへんにありがとうございました!」
アカリが深々と礼をすると広場中より拍手喝采が起きた。スタンディングオベーションだった。誰一人座っている者などいなかった。ガーディは涙を流しながらも誠心誠意アカリへ拍手を送った。まさかリッカがアカリの原点として存在し、彼女を支えていたとは思ってもなかった。この事実は何よりもガーディに歓喜と感動を与えるものだった。
長い拍手が終わって、司会者の進行で賞状授与が始まった。エルサム大統領はゆっくりと贈呈物を携えた役員と共にアカリへと歩み寄った。アカリの目の前に来ると、花冠の形をした銀の被り物を役員より受け取った。
「見事なスピーチだったわ。でも原稿を忘れるなんて何とも非常識ね」
「す、すいません……」
「申し訳ないけど、この授与は却下させていただこうかしら?」
「ええ!?」
「嘘よ。うふふっ。貴女って面白いコね」
「こんなところで冗談は止して下さいよ」
「ええ。でも本当に素敵なものを持っているわ。どうかこれからも驕らずに謙虚にね。貴女が貴女らしく貴女の使命を果たしていけますように。私たちは貴女の創る未来を信じてこれを贈与します。おめでとう。これからも頑張って!」
「はい!」
エルサム大統領よりアカリへ冠と盾の授与が行われた。そしてしっかりとした握手を交わした。それからエルサム大統領の演説が始まり、アカリはミナト達のいる特別席へと案内された。目を真っ赤にしたガーディは自らアカリと抱擁して、スピーチでの健闘を讃えた。ミナトとヒロはそれを笑顔いっぱいに見守った。
アカリの国民名誉勲章授与式はあっという間に幕を閉じた。彼女達はその翌朝にVIP専用高速リニア機に乗車して707番州へと帰った。一般のルートなら2日かかるところをほぼ1日で移動できるコロニー外の宇宙空間使用ルートだ。しかもその乗り心地は高級ホテルの一室にいるかのようなものだった。
「すげぇな! 星がいっぱい見える! なぁ、行きもこれで行けなかったのかよ?」
「こら! 滅多な事言わない! 私達は帰ったら仕事があるから特別に乗れるのよ」
「そ、そうだけどさ……」
「アンタも帰った日の翌朝には学校があるのだからね!」
「ちぇっ、思い出したくもねーよ」
「こうして見ればさ、アンタって家ではちゃんとお姉ちゃんしているのね……」
「どういう意味ですか? あ、そういや、ガーディ先輩にも兄弟がいましたっけ?」
「え? ええ、まぁ、無職グータラの兄が一人……」
「……」
「……」
「ちょっと! そういう反応するなら最初から聞かないでよ!」
「仲良いなお前ら」
アカリ達が707番州に到着した時には真夜中の0時を時計が表示していた。アカリは次の日より仕事、ヒロは学校が控えていた。
「う~ん、お腹が空いたし、眠たいし、しんどいよ~」
「私もしんどいよ。早く帰って寝よう。てゆうかさ、アンタあんなに食べたのにまだ空腹なの!? この調子なら確実にデブになるよ! 最近そんな感じあるし!」
「デブになんかなるワケねぇよ……なぁ、姉ちゃん」
「何?」
「姉ちゃんってやっぱり明日から有名人になっちゃうのかな?」
「ん?」
「明日からテレビなんかに出ちゃったりしてさ……いつの間にかこの街からいなくなっちゃったりして……」
「何考えているの?」
「え?」
「私は私。何も変わらないよ。この街からいなくなることもない。だってここは神様から私に与えられた場所だから。もうっ、ヒロったら人の話聴いてないねぇ」
「え? イタタッ! やめろよ! そこを抓るなよ!」
「へへんだ! ヒロの姉ちゃんはヒロの姉ちゃん。私だよ! それが嫌ならちゃんと勉強して、うんと偉くなってお家を出なさいな」
「ぐぬぬ……」
「さ! 一緒におうちに帰ろう!」
アカリは弟の頬を抓った手で弟の手を優しく包んで繋いだ。そしてもう一つの片手で木星を空高く指さした。
夜空に大きく映る木星は優しくも力強く夜道を行く姉弟を見守っていた。
翌朝、アカリは眠そうな顔をしながらも出勤をした。案の定、多くの人々から声をかけられては握手を求められるなどあったが、思った程のものではなかった。世間はどちらかと言うと、アカリも好きな男性アイドルグループ『アクシス』のメンバーが10歳年上の有名女優と電撃入籍したニュースに沸いている。彼女もまたその一人なのだ。その実感は駅受付職員としての日々を過ごす中で深まった。でもそれでいい。彼女は彼女が707番州の一市民なのだと実感することで心の底から安堵をした。真の名誉は決して驕り高ぶるところからはやってこないのだ。
アカリが707番州駅の駅職員となって6年の年月が過ぎた。ヒロは一生懸命に勉学を重ね、アカリの通った連邦公立校に入学し、701番州の学生寮で彼の青春をすごしている。案の定、アカリの心配した通りすっかり肥満体型な男子になったが、本人は「オレはぽっちゃりだ!」と全く気にもしてないようだ。恋愛などは全くできなく、毎晩アカリへ電話を入れ続けるというシスコンぶりを発揮している。アカリはそこに悩まされているが、自身の新たな恋人であるガーディの兄、マーシィの情けなさにも苛まれていた。どうやらガーディと交友を続ける中で知り合い、姉とは違う優しい人柄に一目惚れしたようだ。今となっては後悔しているらしいが、嫌いになることもできないらしい。恋は盲目だ。
707番州駅の受付部署はリニアの乗務員を兼務するようになった。従って、現在では受付・乗務部という部署になっている。乗務員は706~707間と、707~708間のリニアに乗車してサービスを提供また実施する仕事だ。この部署のチーフを任されたのがアカリ・クリスティだ。彼女を中心にキャンベラ、リンダ、ジェシカ、そして大人になったカリン・スナイデルの5人で運営をしている。カリンと義兄妹になるケビンは警備・セキュリティ部の駅職員となった。カリン達のこうした帰省就職はアカリの大きな喜びとなり、仕事の意欲を高める原動力にもなった。このような部署としての発展を買われて、ガーディ・ブライアントは707番州の副駅長に抜擢された。かつてのリッカのように駅職員専用スーツを纏い、髪型もオールバックのセミロングにして、まるでかつてのリッカを彷彿とさせるような出で立ちで707番州駅の発展に尽くしている。アカリと公私共に仲良くしているのはよく知られているが、一方でミナトとの熱愛関係が噂されていたりもする……が真偽は誰も知ってない。
この日アカリはキャンベラと駅の受付に立っていた。キャンベラが電話対応をしていたその時、子連れの中年男性が落とし物の問い合わせで受付にやってきた。
「落とし物ですか? いつ頃ないことに気づかれました?」
「今さっきです。おそらくこの駅の近くだと思うのですが……」
「ん~どんな物ですか?」
「クマのぬいぐるみです。娘が持っていたはずなのですが……」
「うえ~ん! 私の宝物なのに~!」
「オリヴァ、落ち着きなさい。どこかにある筈だから」
「少しお待ちくださいね! 今からリサーチをかけます」
アカリは電子画面を開いて、駅内及び駅近郊にクマのぬいぐるみがないか様々な検索をかけた。
「リニア乗車口の近くにありますね! 拡大します。これで間違いないですか?」
「これです! こんな所に……」
「私、とってきますので少々お待ちください」
「すいません……」
アカリは圏内瞬間ワープを使用し、すぐにティディベアを取り戻しに行った。
「はい。もうなくさないのよ?」
「わぁ~! お姉ちゃんありがとう!」
「えへへ~。お姉ちゃんも熊さんが大好きだよ♪」
「へぇ~! 私、お姉ちゃんとお友達になりたい!」
「うん。大人になったらこの街においでね。待っているからね♪」
「すいません。本当にありがとうございます。ん? 君は?」
「え? ああ! ハーフナー先生ですね! お久しぶりです!」
「やっぱりアカリか! ははっ! 気がつかなかったな! 随分と立派になったな!」
「ええ。お陰様で。先生たちは観光でいらしたのです?」
「ああ。娘がどうしても動物園に行きたいと言うからね」
「そうですか! 嬉しい! 気に入って貰えたら、是非何度でもいらして下さい!」
「そうだな。その時はまた宜しく頼むよ。君も頑張って」
「ありがとうございます。素敵な1日を♪」
「どうも。こちらこそ心からありがとう」
少し離れた場所でミナトは恩師と再会するアカリの姿を見て心を温めた。もし、自分の人生で何かを書き残すのなら自分のことではなく、彼女のことを書き残したい。それがいいだろう。彼はそう心に決めた。
この街の灯火は消えない。今日も人々の心を照らし続ける――
∀・)最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。これにて「Cocoro Station-707-」の物語はおしまいです。アカリのこれからは皆様のご想像に任せますが、きっと彼女らしく元気爛漫と彼女の人生を生きていくことでしょう。
∀・;)いや~アカリとアカリ達と駆け抜けた激動の1カ月でした。色々と思い出に残る作品となったよこれは。またどこかでじっくり語る機会があればと思います。
∀・)ちなみに皆さん、どのキャラクターが好きですかね?良かったら是非教えてください。今後のキャラクター作りに活かしてこうと思います。
長々とすいません(^^;)また次回作でお会いしましょう!では!