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ようこそ上海へ

作者: j

前編です

 陸上自衛隊の特別戦闘隊、別名特戦の川崎秋水が日本政府からの命令で諜報のため中国の北京に渡った。後から私達も"鈴"を警護するという名目で北京経由で上海にやってきた。

 鈴は人民解放軍、A.K.Aの傘下であるAGP社を脱営して以来から何者かに狙われているような気がしていると何度も言っていて、私は最初被害妄想なんじゃないかと思っていたが、ある日のこと鈴の元班員が拉致されて身元を漏らした場合を考えて付き添っている。

班員の奪還したいが身元がわからないと進まない..。今はフランカの偵察や現地の元班員らが行動している。

 

 班員は鈴のことをよく知っている。暗殺者でもやってくればこっちも危ない。

 なので・・、

「ねえ"鈴木"」

「なんでしょうか、"美都"?」

 と日本人偽名を使ってあえて観光客のような素振りを見せかけて、キャリーバッグを引きながら南京東路を歩いていると、緑のデジタル迷彩柄の軍人とSWATのように全身黒尽くめの兵士らしき人間がちらほら見かける。

 適当な屋台で買った飴を舐めながら中国軍らの兵装をじっくり観察する。サングラスなので目線を見られることもないし顔もばれないから大丈夫。

「軍人さんたちいっぱいいるけどなにかあったのかな?」

 サングラス越しで私は鈴に言う。

「わかりません。テロ対策でしょうか」

「そうだ、ランチは"12番街の北京ダック"でとりませんか?美都?」

「ナイス。そうしよう」


上海高級ホテル...。

「おー・・・」

建物は何階建てなのかはわからないが天まで届くほど最上階がとても小さく見えて、玄関前には高級車が並んでいてお偉いさまが降りているところだ。

私服は今時のファションでキメて、令嬢様のような仕草や言葉で会話のやり取りしながら手荷物を片手にホール内へと足を踏み入れた。

しかしまあ、随分と豪華なこと...。

天井に吊るされるシャンデリアがいくつもあって宝石が無数にあるような小さな光。足場はレッドカーペット...。あまり表現できないので私は思わず口を開く。


いけない、いけない...。二流令嬢にみえてしまう。

早速カウンターで予約した人間の確認で偽装パスポートや身分証明書。これがなかなか上手くできている。

ま、そんなことはさて置き、私達は1012号室の部屋へと行く。鍵は鈴が管理する。

早速入室する。 非常口に近い12号室はもしもの祭に逃げやすくするためだ。念のため1010室を予約して鈴の部下が囮として入室する。ベッドは二つにナイトテーブルが間にあって電話と目覚まし時計があるが、これを隈なくチェックする。

 額縁やよく分からない絵の裏、テーブルの引き出し、クローゼット・・・。

 探知機を使って盗聴器やカメラが無いかを部屋中の隅々に触れていく。

「・・・無いね」

「そうですね、ありません」

 コンコン・・とノックの音。「ルームサービスです」とドア越し男性の声がしたので静かに近寄り扉を引いた。

「ご昼食をお持ちいたしました」

 中国人だな・・。まあそれ以外誰がいるって話になるけど。

 続いて紙包みの荷物がスタッフ数人で運ばれてテーブルの上や下に置いた後、私はいくらかチップとして支払う。

 テーブル手前にワゴンが止まると「本日は北京ダックでございます・・・」と言い、ステンレスの蓋を静かに開くと中は空っぽで何も無い。白いお皿の上に拳銃があるだけだ。

「ご苦労さまです、"ダック"。引き続きお願いね・・」

 と鈴の前で彼は敬礼した後その場を後にする・・。


「なるほどダックが彼か」

 私は納得する。

 皿の上にある拳銃はコピーのトカレフだろう。日本のヤクザが好んで使うらしくしばしば抗争になっているがそれはそれで嬉しいことである。

 さて"積荷"をあけるとしよう・・・。

「検閲済みか・・」 

 朝鮮産のタバコサンプル・・。日本製工業部品や韓国製電子機器の見本さまざま・・・。よくもまあここまで違和感のない日本語で表記に私は感心する。

 朝鮮産のタバコサンプルから手をつけよう。中身を覗いてみるとNATO5.56×45mmの弾丸がクリップにまとめられながら重なっていて、工業部品のサンプルを開けば自動小銃の部品、弾倉がある。


韓国製の電子機器の包みを破けば米国製光学照準器とレーザーポインターなどなど。私に必要な装備品が届けられた。

「そこまでしなくても私達が貸しますのに」

確かに鈴の言う通りだ。でも、

「愛着のある銃じゃないと気がね...」

「そうですか。なら無理に貸す必要はないですね」

私が愛しているm16m3.m1911a1はどうしても手離せない。長く使っている銃にこだわりがるのかもしれない。


「そうだ。さっき外に見た軍人らは何してるの?」

 気になってた軍人らのことを輪に言う。

「あれは中国人民武装警察部隊の人たちです。多分警備とかで回ってるんじゃないですかね」

 その割には数が多い気がするけど・・。

武装警察ね、強そうな名前だ。

「人民解放軍の憲兵みたいな存在?」

「うーん...。ちょっと違いますね。準軍組織の警察特殊部隊だと思ってくれれば」

んん。まあ軍並みの警察特殊部隊だと思っておこう...。

 さて銃の組み立てと弾入れが終わったところで時間を確認する。

 13時丁度・・・。

 

 外で食べたいところだけど鈴の命もあるので空港で買ったスティックチョコレートを食べていく。

「私が海軍にいた頃の写真です」

「ん、見せてもらおうか」

 手渡してみてみる。海洋迷彩と言う青いデジタル迷彩を着用して野戦演習の様子撮られた泥まみれの鈴姿や、"上海軍区"と言うワッペンを見せびらかすようなの。そして拳銃を握って支えられているのもある。

 何と言うか充実した軍隊生活って感じだ。

 ん・・?

「ねえ、"上海軍区"と"海軍"ワッペンつけてるけど何か違うの?同じ迷彩だし同じ軍なのに」

 この不自然組み合わせが気になってを鈴に問いだした。  

「あ、これですか?陸軍傘下の陸戦隊とでも言いましょうしょうか。陸軍が指揮する陸戦隊なので海軍とは別、この上海軍区をつけてるのです」

「ちなみに七大軍区というのがありまして、瀋陽軍区、北京軍区、上海軍区・・・」


 どうやら軍区と言うのがあってその7つの区にさまざまな部隊が置いてあるらしい。

 済南、広州、成都、蘭州軍区・・・。と合計7つだが、上海軍区は南京軍区から分裂したような存在でややこしくなるからとりあえず入れないという理由だそうだ。


※2016年2月、七大"軍区"が消滅し"五大軍区"が新たに生まれました。

 2016年1月の軍区、軍隊として続けさせていただきます。


 上海軍区は上海を含み、杭州、福州の三つで一つの軍区になったようで。

「なんだかヤヤコシイ・・・」

「そうですね。あと私の腕を支えている人は先輩です。今は武装警察 雪豹突撃隊というのに入って北京にいます」


ふうん...。この髪分けの紫色の青い瞳。迷彩はデジタルで緑灰色混じり。

鈴は性格上、聞いてもいないですことを喋る事があるがこれは打ち明けた人のみだと本人は言ってた。さっきの会話は有力だから許すけど。

 プルル・・。電話だ、誰からだろうと思いiphoneを手にすると不明の人物からだ。私物から着信不明なんて滅多に無いことだけど一応出てみよう。

「はい、赤城美貴です」

『こんにちは。ロッキード・アカギ・ミトさんですか?』

 

 私の本名・・?誰だこいつは・・。 

 突然すぎて心臓が跳ねたぞ、慎重にやってみよう。

 鈴は電話に耳を近づけてきた。私は紙切れに"私の本名で言われた"と英語の紙を渡してやりながら、相手との会話を続けていく。

「いえ、私は赤城美貴ですけど」

『ご姉妹さんでしょうか?』

「いえ違います」

『そこに居る女と変わってください』

 !居場所がばれている。

「え?あのちょっとどういう意味でしょうか?よくわからないのですけど・・・」

 話を進むたびに覚られるような気がして冷や汗が止まらない。

『そうですか。すみません、間違い電話でした。上海の旅行をお楽しみください。それでは再见(さようなら)

   


 これだけ居場所と動きが精密に分かることなんて外部から見られてるぐらいしかないはずだ!最後の言葉は狙撃か何かで殺すつもりだろう。

 電話がきられる瞬間、バルコニー越しから見えるビル群から一つの光が一瞬だけ見えた!

 「鈴、伏せろ!」

 遠くのビル群から銃声が聞こえたその瞬間、ガラスに蜘蛛の巣が出来上がった時、手元に衝撃が走って手にしたiphoneを吹き飛ばされた。

 たった僅かな時間なのに長く感じる。

 床に落ちたiphone。綺麗に半円の弾痕が上角を貫通していた。

 

 ・・・・。死ぬかと思った。

 これだけ精密に物を狙えるとは・・。

「・・・この誘い方は美友(メイヨウ)大尉のやり方ですね」

「知ってるの?」

「はい。さっきの写真の警察の人・・・」

「となると公安に目をつけられたかもしれないね」

「はい、そうです。部下を至急集めてセーフハウスへ・・・」

 

  

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