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台好き



銀河というのは気まぐれなものだ。

宇宙という画板に描く景色は、

刻一刻と変わっていく。


わずかでも動き出す天体も、つられていく石ころも、

皆が皆彩っているこの景色に、同じ時は存在し得ない。


明日はどんな銀河に。

十秒後はどんな銀河に巡り会えるのか。

それは誰にも、わからないのであった。





「復唱!」



「め、めくとらー」

「メクトラァアアアアアア!!!」



アニメ版 山賊乙女『栗色デイズ』の映像が流れている。

ここはオタク女性の住処。

アパートの部屋の中は、オタク関連の雑誌が落ちてる。

中には大人しか見てはいけない雑誌もあったが、

当麻も茜も適正年齢であったので問題はなかった。



「茜殿、素晴らしいシャウトでござる!!

 どうした当麻殿、もっと叫ぶでござるよ!」


「当麻君! 気持ちいいから一緒に叫ぼう!」


「め……めくと……」


「当麻君、可愛いよ!」


「なるほど、若干イケメンな当麻殿の恥ずかしがりの顔。

 そそるでござるなあ」



警戒していた茜はすっかり馴染んでいた。

オタク女性が当麻に抱く気持ちに、

不純なものはないと判断したからである。



「山賊乙女、2話はしんみりしつつもギャグを織り交ぜた、

 素晴らしい神回でござる!」


「1話よりも面白いの?」


「茜殿。お主はまだまだ乙女シリーズを知らぬと見える」





『拙者は何故か、好きな作品の台との相性が良いのでござる!』


当麻が、パチンコに対する思い。

「出れば何を打っても一緒」という考えを、

真っ向から否定にかかった女性。


自宅に連れ込み、台を好きになるには、

その作品を知る必要があるのだと説いた。



当麻はその姿勢に、祝福の真髄を見たので、

もう帰ろうかと思ったのだが……。


ビデオ鑑賞回が始まっていたのだった。




 『全く、あの野蛮な猿のせいで民は暴走していますわ!』


山賊乙女とは、元々が高貴な家柄の女性たちが、

世紀末と化した戦国時代で生き延びるため、

兵を率いて合戦をする物語である。



「バジュモーと呼ばれるキャラは特に人気でござる!

 妹分のキエマスとセットでござるな!」


「あー、なんか見たことある―。

 前に打った台そっくり」


「たしか……図柄4と、3のキャラ」


「そうでござる当麻殿!

 絶対に当たらないことで有名な4図柄に、

 絶対的人気キャラを当て込む采配は神でござる!」



 『略奪とか、毎日家を燃やしても、

  お腹いっぱいにはならないと思う』


「いい話ね―……」


「茜殿、泣くのは、エンディングを見てからでござるよ!」



帰りたいという希望は却下される。

その後も3から11話まで視聴。

茜はすっかり乗り気だ。



「まさかキエヤスちゃんがラスボスだなんて……」


「台だとこんな雰囲気じゃなかったような……」


「そう、これはアニメオリジナル展開でござる!

 見よ、この圧倒的火力! モヒカン共がふっとんだでござる!」



最終回付近ということで全員集合。



「当麻殿、実は台にもこのシーンが有るのでござるが、

 それはプレミア故に出現頻度も低いのでござる!」


「そーなんだー……」



萌アニメの声優陣の演技力の前に、

当麻は死にかけていた。

台を打っている時の恥ずかしさが、

今、体で思い出している。



「じゃ、じゃあ最終回も終わったからここで」


「当麻君、さっきピザを頼んだから」


「左様、夜も明日もまだまだ時間があるのでござろう?

 今夜はアニメで語り合おうぞ。

 『未婚のマリア』『CARO』『今の刑事』、

 アニメ作品は揃えているでござるよ!」



その日、当麻は帰らなかった。












「あん? なんだ、当麻からの連絡だ。

 『アニメ 助けて』? 意味わからねえ」


知ったこっちゃねえと、

31連目に突入した黒騎は打ち続けたのであった。


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