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実機のタイトルとかはボカしています。



3万円を握りしめた。


僕は最期のパチンコを楽しむことにした。


遺書はいらない。



22歳になっても、

遺すものなんか何もないのだから。




パーラー・クリスタル。

いつもは行かないこの店だけど、

僕が最初、パチンコ屋に感じた魅力を持っている。


少し遠出をして、僕が最初に来た店で、

だから最期もここで決めたいと思った。



自動ドアの先には喧騒があった。



台数だけは屈指の空物語、

看板キャラ:マフィンちゃんの声でリーチと聞こえる。

彼女のリーチは弱いけど、

ホールには無くてはならない存在だ。


キュインと鳴る確定音も。

それを見つめる老人の姿も。


ああ、パチンコ屋に来たんだって実感する。



最期なんだから目に焼き付けねばならない。

僕は死ぬ気で楽しもうと思った。




……しかし、何を打とう?

好きな台とか特に無いし……。


僕は、少しでも楽しみたい気持ちもあったし、

勝てるなら勝ちたいし、

希望だけは持っておきたいと思って、

各台にあるデータカウンターを眺めながら散策した。


スロットは、技術がないから出来ない。

ひねって終わりのパチンコの、

なんと明瞭簡潔なことか。



「3……1……10……41……41?!」



凄い。昼間なのにこんな大連荘だいれんちゃんしているのか!?

しかもこれはミドルスペック。

こんなに当たったってことはいくらぐらい勝ったんだ……。



……。

いや、待って……。

回転数がまだ0だぞ……?


でも大当たり回数は41?

データバグかな? 店員さんに教えないといけないのかな?


……別にいいか。

誰か、座った人が言うだろう。



よく見れば、大当たりが伸びているのに、

回転数が全く伸びていない台が結構ある。


どういうことなんだろう……。

僕の目がおかしくなったのかな?




データカウンターに不備が散見される。

そう思っていると、僕の背後で確定音が鳴った。

何やら大当たりをした人がいる。


見れば34回目の大当たりだ。


しばらく眺めていると、

また大当たりを決めた。



……でも、34という数字が変化しない。



何度も大当たりしても、34がそのままだ。



打っている人もそれを見た、

けど何も反応がない。


……どうなっているんだ?

僕の目がおかしくなったんだろうか?

そうに違いない。


だって変わらないんだもん。


しかもまだ昼間なのに、

こんなに連荘する台がそこらかしこにあるわけがないもん。




……そんな中で、

大当たり回数0の台を、

ひたすら打っている人がいた。


総回転数は1000を超えている。


 ※必ずしも、その人だけで1000回回したというわけではない。



……僕の予想。

直感が、……妄想がもしも正しいのであれば、

この台は終日打ち込んでも当たらないはずだ。



そう、僕は妄想している。

この目に映る大当たり回数が、

もしも真実であったのならばと。



例えば、10回大当たりをする台を今から打っても、

途中でお金が尽きてしまうかもしれない。


僕は待つことにした。

ゆっくり、大当たり回数が非常に多い台を探す。


最期なんだ。


こんな妄想を信じたって良いじゃないか。


僕の目に、その日の大当たり回数が見えるって、

そんな特殊能力を信じたって。



そして僕は見つけた。

大当たり回数、191という破格の台。



今から打っても、間に合う。


しかも誰も座っていない。

……隣には、誰か居るけど、その台は23回だけだ。


同じ高継続率の台なのに、

どうしてこうも違うんだろう?



台の名前は……魔戦士タンバリン?

また昔のアニメか。

最近多い気がする。


誰がどんな役どころかよくわからないし、

説明されてもなんだし。




……まあ、今はそんなことどうでもいい。




191回の台だ。

座って、お金を出す。



怖くない。


もう何も。



絶対に当たるから。



そうさ。そうでなきゃ。



3万円が全財産なんて、

そんな人生なんか……僕は欲しくない。



もしもこの目が本物であれば、

3万円が霞むほど、

大きなお金を掴めるはずだ。





その後のことは、よく覚えていない。



当たりを決めて確変に入り、

ひたすら大当たりを決めた。


『逝ねよやぁああああ!』


という、おそらく物語の主人公であろう者の、

雄叫びが耳に響く。



大当たりが洪水のように押し寄せていて、

ただただ圧倒されるばかりだった。



光も音も心地良ものになっていて、

もう右腕だって引きつっていて、

よだれも出てたかもしれない。



見事191回の大当たりを決めて、

僕は放心状態だった。


店外に行って、

金景品を交換したら、

お札が40枚以上あって、

僕は動揺したし、

意識も朦朧としていたし……。


とりあえず、このお金は貯金しよう。

というか持ち歩けない。怖くて。




続く

ここまでの登場人物に女性がいない不具合。

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