表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

うちのねこ

作者: 西見せき

 うちの猫は変わっている。

 夜空に浮かぶ月を毎日、見上げている猫なんてあまり聞かない。

 満月にでも見上げているなら、何かロマンチックな雰囲気も出ようものだけど、どうもうちの猫は月の満ち欠けには関心がないらしい。

 おまけに月が見えない夜でも、まるで月を探すが如くに空を見上げている。

 一度、飼主である祖母に訊いてみたことがあった。

 何故この猫は月を見ているのか、と。

 祖母の答えはこうだ。

 「大事な人を待っているから」

 釈然としない思いがした。

 何というか大事な部分が省かれている気がした。

 再度訊ねると祖母は懐かしむように、こう答えた。

 「人の温もりを知った猫は、生まれ変わってもその人を探し出すんだよ」

 最後に、おじいさんの大事な猫だからねぇ、と付け加えてにこにことしていた。

 祖母は祖父を亡くしてから随分と気が弱っているように見える。

 昨日もずっと縁側で猫を撫でながら、祖父の話をしていた。

 ちょっと心配だから明日は祖母の話の相手をしてやろう、と思う。

 それにしても猫である。

 祖母の話のせいでますます猫が気になり出す。

 今夜も縁側でうちの猫は、じっと夜空の月を見上げている。

 やはり

 うちの猫は変わっている。

短いお話を書きたくて書いてみました。色々と濁してありますが、そこはご想像にお任せしたいと思います。そのために書いたお話でもあります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ