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kokoro  作者: まる
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こころが読める子どもの育ち方、育て方

心(子)

☆僕は他の子どもと何が違うのか?見た目も同じなのに。。僕は僕でなにがいけないのだろう??


愛子

◎我が子が他の子どもと何か違う??と感じたのは1歳になる前のことだった。この子が幸せになるためには何ができるのか?


◆妻がおかしなことを言い出した。「この子は私たちが思っていることがわかるのでは?」そんな妻のことばが耳に残って離れない。妻が子育てに疲れおかしくなってしまったのか??

 

心(子)

☆平成10年10月10日、10時10分に僕は産まれた。


愛子

◎平成10年10月10日10時10分に私は男の子を出産した。

 出産は思っていたよりも平気だった。母になれた喜びと無事に元気に産まれてきてホッとした気持ちなどいろんな気持ちがあふれ出し、不思議な気持ちで赤ちゃんを見つめていた。


◆平成10年10月10日10時10分に僕は父親になった。

 まだ父になった実感はわかないが、、。とても小さくてお猿さんのようだ。彼女は嬉しそうに僕に微笑みかけ僕に小さな赤ちゃんを渡した。とても小さくて抱っこするだけで壊してしまいそうなその幼い命をこれから大切にしたいと思えた瞬間だった。


~名前を二人で【心】(しん)と名づけた。


***それから10ヵ月後***

☆僕はママに抱かれている。ママは僕を見て微笑みながら《○○○○》何か聞こえたが僕にはよく解らなかった。お腹がすいたから、僕は泣いて《マンマンマ・・・》と思ってみたが、ママは眉間にしわを寄せながら《○○○○、心(【しん】が僕の名前らしい)○○》としばらく僕を見つめ「シーシ○○?《○○○○》マンマ○○?」と言ったので、僕は《マンマ》ともう一度思ってみたが伝わらず「マンマンマ・・・」と口を動かすことにした。「やっぱりお腹がすいていたのね」と言ってママは離乳食を食べさせてくれた。口を動かすことで伝えられるのだと少しずつ気づき始めたのがこのころだった。


愛子

◎心を抱っこするととても幸せな気分になる。心がじっと私を見つめている。その表情が《かわいい》といとおしくなる。急にその表情は曇り泣き出した。《おしっこかしら?それともお腹がすいたかしら》と思いオムツは濡れていたなかったので「やっぱりお腹がすいたのね」と心に声をかけ、急いで離乳食の用意をした。食べている姿がとてもかわいかった。

 この子は私が声をかけなくても、私が声をかける前に必ず振り向き微笑んでくれる。近づくとすぐに這い這いして私のところへ来てくれる。なんて勘の鋭い子なんだろう。

困ったこともある。外へ散歩に出かけると、たくさんの人ごみの中へ行くと大泣きする。だから、家にいることが多い。家でいろんな音を聞かせてみたが泣くことはないのに、人が嫌いなのか?///なぜ、なぜ、なぜ?///


◆仕事が忙しくてなかなか心が起きている間に帰ることが難しい。寝顔を見ていると、なんて可愛いんだろうといつも思う。仕事の疲れも吹き飛んでしまう。妻が「私が声をかけていないのに私が来るのがわかるのよ」と嬉しそうに話してくれていた。しかし、妻が時々何かを考え込んでいる。「今度休みに心と3人で公園にでも出かけよう」と伝えるが、妻は「行きたくない」と言う。育児疲れなのか?妻は何を考えているのか?


**心** 1歳

☆僕は1歳になった。母が僕に語りかけてくることが解るようになった。しかし、口を動かさないとき僕がママの真似をして口を動かすとすごく驚いた顔をする。そして決まってママは《何で?何で?》を繰り返す。*数ヶ月後*ママは急に僕と距離をはかり始めた。近づいてみたり、遠くに離れてみたりしながらいつも僕に尋ねた。「ママなんて言った?」と口を動かし尋ねた。僕はそのたびに「りんご、りんご」「言ってない」と素直に答えた。口を動かさないとママに伝わらないことが解ったんだ。

 この頃から、ママがいろんな事を教えてくれるようになった。だから、ママにして欲しいことがあると口を動かすことにした。ママは何度も僕が心を読んだときに「口を動かしていない時は《思う》口を動かすした時が「言う」だよ」と言ったんだ。

 ある日、1歳半検診があった。お医者さんやたくさんの人や僕と同じくらいの年齢の子どもたちがたくさん部屋に集まっていた。ママは《大丈夫よ。ママがいるから大丈夫よ》と口を動かさずに何度も言っていた。僕も「うん、うん」と頷きママにしがみついていた。机に座りおばちゃんが《これなに?》と尋ねてきたから僕は「りんご」「ブッブー」と口を動かして言った。おばちゃんが驚いたのを見て母が驚いていたことを思い出した。《そうだった。おばちゃんが口を動かす時に僕は言わないといけなかった》と思い「・・・」僕は黙っておばちゃんを見た。ママは《やっちゃった。大丈夫だから今度は口を動かしてね》と苦笑いしていた。首をかしげ《何で解ったのかしら?》もう一度「これなあに」と言から、今度はその瞬間を見逃さずに「りんご」「ブッブー」と答えたんだ。すると「良くできました」と笑ってくれた。


愛子

◎心が1歳になった。心が突然、話しかけてくる。私が思っていたことを言う。例えばテレビを見ていて《つまんない》と思った瞬間、座っていた芯がたどたどしい発音で「ちゅ、まんにゃ、、い」と私の顔を見る。私が驚いていると《にゃん、、でぇ》と何度も私に話しかけてくる。そんなことが何度もあり私は思った。この子は心が読めるのではないかと。。。

 この子が寝ている間にいつも考える。《こころが読めるのは良いこと?悪いこと?》何度も自分に問うが答えは出ない。《こころが読めることはこの子にとって良いこと?悪いこと?》その答えも出ない。何度も問うが答えが出ないのだからしょうがない。こころが読める。それは治らないのなら仕方がない。この子がこころが読めることで困ったときには助けてあげよう。《この子らしく生きられるよう精一杯やってみよう》と心をみつめながらに誓った。

 心が読めるとわかってから、いろいろやってみてわかったことがある。

①心の半径1mくらいの範囲でしかこころが読めないらしい。

②心の声と話す声を聞き分けられない(どうやって区別するかを根気よく伝えよう)

③2m離れた場所から、後ろから声をかけると振り向かない。(心の声と実際話す声の区別ができないのは問題だ、、。良い方法を考えなくてはいけない。)

 そんな頃、1歳半検診の案内が来た。私は、心に心で何度も《大丈夫だよ。ママが守ってあげるから》と伝えながら、できるだけ離れた場所に座り我が子に語り続けた。そして、心の順番が来た。保健師さんとのやりとりで心はがんばって答えていた。とても嬉しかった。積み木や指さしなど尋ねられ《やっちゃった~》と苦笑いする場面もあったけど、何とか切り抜けることができた。

 そして、保健師さんと話す時に、必ずしておかなければいけないことがあった。その瞬間はやってきた。「何か子育てで気になることはありませんか?」との質問に、私は「遠くから声をかけると聞こえていないことがある」と答えた。

 こころの声と話し声の区別がつかないことを説明しても信じてもらえないだろうと思い「聞こえの悪さ」のせいにすることを思いついた。何度考えてもそれしか浮かばなかった。周りの人も「少し聞こえにくい子だから仕方がない」と思ってもらえるのではないかと考えたからである。

 周りの人には嘘を突き通すためには見方が必要である。だから、本当のことを伝えなくてはいけない人がいることを知っていた。それは、夫である。嘘をついた今日、真実を夫に伝えようと決めた。


◆最近、妻に話しかけても全く気づいてくれないことが多くなった。やはり病気なのか??

そんなある日、妻が「今日1歳半検診があったの。」と話し始めた。はじめは「積み木を積んだり、絵を指差したりしていたよ」と言った内容であったが「気になることがありませんかと聞かれて耳が聞こえにくいと答えた」と話したときにはびっくりした。だから「僕は気にならないが、何で耳が聞こえにくいと思ったのか?」と尋ねた。すると思いもよらない答えが帰ってきた。「この子はこころが読めるの。」僕は「????」で頭がいっぱいになった。しかし、妻の話を聞いているうちに「そうなのか?本当にそうなのか?」と真顔で一生懸命話す妻を見て思うようになった。

 次の日僕は仕事を休んだ。

そして、妻が心にしてきたことを僕もやってみた。妻が心に「パパが思っていることを、言ってごらん。今はいいよ」と伝えているのを横目に見ながら心に近づき《ママを見てごらん》とテレパシーをした。すると心はママを見ながら「ママ 見る」と言った。他にもいくつかやってみたが答えは同じ。

《この子はこころが読めるんだ》と確信した。そして僕はしばらく受け止められずに悩み続けた。。。

 心を見ると、距離を置いてしまう、、その罪悪感で胸がいっぱいになった。


愛子

◎打ち明けてから、夫は悩んでいるようであった。私自身受け止めるのに時間がかかったのは事実。夫もきっと気づいてくれることを信じている。この子はこの子だということ。ありのままを愛してあげることが私たちにできることだと言うことを。そして、この子を守れるのも私たちだけであることを。。。




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