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6.アヌシュカ「奥様の務めです」
なのに。
魔障の痛みを堪え、預かる令嬢との線引きの為『愛するつもりはない』と告げたが――
何故か初夜の記憶は無く、令嬢に噛まれ接吻痕を残された。
(噂が正しいのか?)
そうだとしたら浮名に乗じた令息どもは、皆一様に痩せぎすロリ好きの特殊性癖持ちか?
(そこまで腐った貴族ばかりではあるまい)
というか、事実なら『僕っ子』が一番に噂の印象に出るだろう。
節操無い令嬢がクラウチングスタートするなど聞いたことも無い。
取り敢えず、笑い転げている執事を締め上げた。
「いい加減黙れコラ」
「いだだだだだだ!?死ぬ死ぬ!?あんた馬鹿力なんだから加減…っ…馬鹿力?
……旦那様、力が魔王に傷を貰う前に戻っていません?」
「あ?……そういえば」
魔王と戦った時。とどめを刺したその際に呪いの傷を負った。
それ以降、魔障の痛みは四六時中己の身体を蝕み、全盛の力などとても出せなかった。
だが――
(魔障痕が薄くなっている?)
令嬢の噛み傷で確認が遅れたが、魔王の傷の痛みは大分和らいでいる。




