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5.駆け込み辺境領ゼフェスゾーム
ちなみに、アヌシュカのような訳ありの令嬢令息がうちに来るのは初めてではない。
お人好しの女侯爵が社交の場やお茶会でそういった境遇の令嬢を見抜いては、我が家に婚約者候補の体で住まわせる。
令嬢に今後どうするか確認したうえで、ある者は修道院へ。
ある者は必要な資格を取った上で女性の地位の高い国へ移住してもらう。
我が領の状況如何では危険故、女侯爵の領地で学びながらだ。
いわゆる、不遇な境遇の者の駆け込み寺であり、何人かは我が領で働いている。
魔族の出没が最も多く死と隣り合わせな危険な土地故、令嬢と婚約破棄もしやすい。
慰謝料の体でろくでな…否、元婚約者の元実家へ金銭を落とせば大抵黙る。
その後の家は大抵取り潰しにあっているが、あの狡猾な女侯爵のやりそうなことではある。
まさか、婚約者をすっ飛ばして結婚に持ち込むとは思わなかった。
しかも、戦いの直後。魔障痕の痛みで朦朧とする己に、王太子を引っ張って無理矢理証印させやがったあの女狐。
アヌシュカ嬢が望まぬ結婚ならば白い結婚で良い。
魔王の呪いがどのような影響を及ぼすか分からないから余計に。




