3.令嬢は何故蝉ドンしたか 後半
「……男?」
とてもジロジロ見ておられる。
僕は凹凸も無いし、肉もそんなに付いていないので誤解される?
困った。誠実なお相手には正直で居たいです。
基本無表情なアヌシュカだが、内心はパニックになっていた。
証拠、証拠……。あっ。
男の人に『ある』ものが『無い』という証拠はあります。
ただ、ナイトドレスを捲っても見えないですね。旦那様、背が高すぎるので。
優しい人にこちらの事情で屈ませるのは、ちょっと良くないと思います。
証拠を見せようと僕はクラウチングスタートの状態となって跳躍し――
壁ドンは旦那様の背が高すぎて無理なので、蝉ドンで確認してもらうことにした。
屋敷が蝉ドンの衝撃で揺れたけど、頑丈な砦なのでまあ大丈夫でしょう。
「旦那様、僕は女です。確認を……あれ?」
跳躍の勢いあまって石造りの壁に両手足がめり込んだからか。
旦那様は壁に頭をぶつけて気絶している。
壁から如何にか手足を引っこ抜き、気絶した旦那様をベッドに運びました。
(その間、屋敷が夫婦の間の震源地に地響きのように鳴ったこと。
更にベッドへ192㎝のガタイの良い長身の男を130㎝の少女が投げたことで、ギッシギッシとベッドが軋んだこと。
幼な妻にどんなプレイを!?旦那様を止めるべき!?と使用人たちに思われたのをテンパったアヌシュカは知らない)
力はそこそこあるのです。あとちょっと丈夫です。傷の治りも早いです。
ついでにかっちりした服では寝心地が悪そうなので緩めておきます。
「あー、これはひどい?」
服をはだけると、そこには痛々しい魔障の傷跡。
魔王の呪いなのでしょう。顔も酷かったけどこっちも相当です。
「……うーん」
蝉ドンして気絶させたのも申し訳ないので、これでお詫びになるといいですね。
これも妻の務めでしょう。
++++++
「ぶっふっ…‼旦那様が幼女趣味とは存じませんでした…フヒーーッ‼」
「……」
「白い結婚を伝えるつもりがw私の妹くらいの令嬢にw押し倒される英雄w」
ゲラゲラ笑う友人のような関係である執事のミュゲに違うと言いたい。
だが。状況が悪すぎて反論のしようがない。
アヌシュカ・リッツ 15歳銀髪黒目 身長130㎝
オルトス・ベルンシュタイン25歳 黒髪新緑の目 身長192㎝
身長差とアヌシュカが小柄で痩せているので、使用人の妹(10歳)くらいに見えない使用人たち。




