『何もしなかった恋の話』④
※本作は、AI(ChatGPT)を補助的に使用しつつ、作者自身による加筆・修正を行った創作作品です。
内容・表現は作者の責任のもとで構成されており、各サービスの利用規約に抵触しない形で投稿しています。
短編恋愛ホラーとしてお楽しみください。
「ねえ」
帰り際、彼女が呼び止めた。
「私たち、もう恋人だよね?」
唐突すぎて、言葉が出なかった。
「……え?」
「だって、毎日一緒に帰ってるし」
事実だ。
「連絡も取ってるし」
それも、事実。
「他の子と、あんまり話さないでしょ?」
――それは、意識したことがなかった。
「だから」
彼女は、当然の結論を口にするみたいに言う。
「もう、そういう関係だと思ってた」
「……告白、とかは?」
一応、確認する。
彼女は少し考えてから首を振った。
「必要?」
「普通は……」
「普通って、誰の?」
詰まる。
彼女は責める口調じゃない。
ただ、不思議そうな顔をしている。
「好きかどうかってさ」
「うん」
「後から決めるものじゃない?」
「……どういう意味?」
「一緒にいる時間が長くなって、安心して、離れなくなって」
彼女は指を折る。
「それを“好き”って呼ぶだけでしょ」
理屈としては、間違っていない気がした。
「だから、もう条件は揃ってる」
「条件……?」
「一緒にいる。嫌じゃない。離れる理由がない」
彼女は微笑む。
「ね?」
「……でも」
俺は言葉を探す。
「気持ちの確認とか……」
「確認?」
彼女はきょとんとする。
「確認しないと、不安?」
「まあ……」
「不安って、別れる時の話でしょ?」
違う、と言いかけて、飲み込んだ。
「私たち、別れる理由ある?」
ない。
少なくとも、今は。
「ほら」
彼女は満足そうに頷く。
「やっぱり、恋人だよ」
その言い切りが、静かすぎて怖かった。
「……じゃあさ」
冗談めかして言う。
「俺が他の人を好きになったら?」
彼女は、少しだけ目を伏せる。
「ならないよ」
「なんで?」
「だって、もう満たされてるでしょ」
満たされているかどうかを、
決めているのは彼女だった。
「それに」
彼女は顔を上げる。
「私、邪魔しないもん」
「……邪魔?」
「縛らないし、責めないし、泣かない」
淡々と。
「だから安心して」
その言葉で、背中が冷えた。
「ね?」
彼女は最後に、こう言った。
「逃げなくていい恋人でしょ、私」
その日から、
誰かに好意を向けようとすると、
なぜか「裏切り」という言葉が浮かぶ。
彼女は、何も約束させていない。
何も禁止していない。
それなのに――
俺はもう、
別れ話の切り出し方を想像できなくなっている。
⸻
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この物語は「異常な愛」を描くものではなく、
どこから異常と感じてしまうのかを読者自身に委ねる構造で書かれています。
違和感を覚えたなら、それがこの話の終点です。
感想は肯定・否定どちらでも構いません。
感じたままを書いていただければ幸いです。




