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最終話 ジャパンプリン
とある郊外の路地。
周囲には中規模の工場が立ち並ぶ。
そんな地域を車で通り抜けた。
信号待ちで、カーナビ画面を見る。
この方向で合っているか。
ちなみに私は、いつでも『北が上』のモードを使用する。
巷では、『正面が上』のモードを揶揄して『クルクルモード』と呼ぶ輩もいる。
気に入った。
『北が上』にも何か気の利いた呼び方が欲しい。
『ファミコンモード』はどうだろうか。
ふいに、目が止まった。
画面上には『ジャパンプリン』の文字。
この地域には、工場が多い。
これは恐らく、大掛かりなプリン工場に違いない。
いや、もしかしてプリン専門店か。
弾む心の赴くままに、その方向へと進路を変える。
「ルートを外れました。新しいルートを探索します」
うるせえ。こっちで合ってんだよ。
そして、辿り着いた。
その場所は、印刷工場に見えた。
世の中には、食べられないプリンもある。
ジャパンプリン。
それは、幻だった。




