表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アミカ・ショウタイム! ~魔力ゼロだけど、最高のかわいさを装ったら世界中を魅了しちゃった~  作者: maricaみかん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/33

29話 かわいさに翻弄されちゃえ!

 フィリアさんが開始の合図をして、さっそくお互いが動き出したよ。王子様から雷が、カイン君から氷が飛ぶ。雷はどこまでもまっすぐに飛んでいって、出された氷に直撃した。

 ものすごい爆発音がして、お腹までビリビリしたよ。少し蒸気が立ち上っていて、軽く視界にモヤが入る。私のかわいさが、ギャラリーに届かなくなっちゃいそうだね。


「この程度で終わるほど、弱くはないか。お前ほどの実力があるのなら、分かるはずだ。ただ他者を利用するだけのやつが、どれだけ醜いか!」


 王子様は、槍を突き出しながら叫んでいたよ。顔を歪めながら、吐き捨てるように。

 何もダメージを受けていないのに、どこか苦しそう。やっぱり、心のどこかに傷があるんだろうね。

 でも、エルカ先生の時とは違う。きっと、勝たなきゃ話すら聞いてもらえないよ。

 だから、私のすることは簡単。ローランド君にもらった道具を、最高のタイミングで使うことだけ。それまで、カイン君に頼り続けるだけ。


「アミカには、体を張るガッツがあんだ! 俺様にただすがるだけの、情けないやつじゃねえよ!」


 カイン君は剣を振り下ろして、突き出された槍にぶつける。激しい金属音が、私のところまで届いてくるよ。ガキンガキンって、しびれそうなくらい。かなり前にローランド君の鉄の棒が出していた音よりも、何倍も激しく。

 受けられた王子様は、また突きを出す。カイン君も、また剣を振り下ろす。何度も何度もぶつかりあって、キンキンした音が響き続ける。まだ、ダメ。王子様の目を直接狙える状況じゃない。


 そうだね。カイン君が少しでも勝てるように、私にもできることがあるかな。

 私のかわいさが届かないのなら、逆に利用してあげるね。王子様は、私の声なんて聞きたくないでしょ?

 カイン君との戦いに茶々を入れられて、どこまで冷静さを保てるのかな?


 私は、ちょっとだけ媚びるような笑顔を浮かべたよ。少しでも、王子様のシャクにさわるようにね。


「カイン君、あなたなら、きっと勝てます! 私に、未来を見せてくれます! 王子様と違って! 私のために、頑張ってください!」

「貴様、やはり……! このセリフを聞いても、お前はアミカの味方をするというのか! カイン!」


 すぐに、王子様は顔を歪めたよ。苦々しいって感情が、隠せていないみたい。

 でも、だからこそカイン君は笑うんだ。とっても楽しそうに、唇を釣り上げてね。

 私の考えなんて、何も言わなくても伝わっているみたい。そうだよね、カイン君。


 王子様は、今度は槍と一緒に雷を放つ。カイン君も、合わせて剣と氷を放つ。

 槍はグッと突き出されて、カイン君は剣の腹で受ける。雷が勢いよくカイン君に突き進んでいって、目の前に現れた氷に防がれる。

 金属音と爆発音が混ざりあって、すっごく耳が気持ち悪い感じ。

 ふふっ、王子様は一気に攻めようとしているよね。冷静さを、失っちゃってるんじゃないのかな?


「今の言葉こそが、アミカのガッツなんだよ! てめえには、見えねえか!?」

「カイン……。お前を、見誤っていたようだな。そこまで、女に溺れるとは!」


 今度は、王子様は後ろにステップをしてから魔法を撃つ。雷を、次々に。カイン君だけを、ただ狙い続けながら。

 対するカイン君は、少しも攻めようとしない。ただ淡々と、雷の先に氷を置き続けるだけ。

 何度も何度も、氷が砕け散っていたよ。それでも、カイン君は不敵に笑う。戦いが、楽しくて仕方ないみたいに。


「この俺様を溺れさせられるっていうのなら、大した女じゃねえか! なあ、アミカ!?」

「最高に素敵ですよ、カイン君! その調子で、悪い王子様をやっつけてください!」

「貴様……! クロエに守られてさえ、いなければ……!」


 苦虫を噛み潰したみたいなっていうのは、今の王子様みたいな顔なんだろうね。ふふっ、私を攻撃できないのが、悔しいのかな?

 相当、私が憎いみたいだね。こっちをにらみつけて、カイン君に氷をぶつけられそうになっていたよ。

 慌てて、カイン君に向き直っていたけどね。もう少しかな。もう少しで、王子様は最高の隙をさらしてくれるはず。


 私は、それまで口で攻撃を続けるよ。カイン君も、合わせてほしいな。私の戦いなんだから、任せるって言ってくれたもんね。信じているよ。


「目の前に居る俺様も見えねえか!? てめえには、戦いのセンスもねえみたいだな!」

「たかが一撃も与えられない分際で、よく吠えたものだ! クロエの足元にも及ばない程度だろうに! ただの代替要員だろうに!」


 王子様は、今度は近づいて槍を突き出していたよ。カイン君の顔を狙っている感じみたい。

 でも、だからこそカイン君は落ち着いている。私にも狙いが分かりやすいんだから、ただ合わせるだけでいい。

 あっさりと、王子様の攻撃は防がれる。続いて、また顔を狙っていたよ。

 だいぶ、料理ができてきたみたい。もう少しで、仕上げができるはず。しっかりと、待たなくちゃ。


 私は、こっそりと息を整えたよ。そして、後手にローランド君にもらった石を握りしめたんだ。


「棚上げか? クロエの足元にも及ばねえのは、てめえもだろうが! 王女様にもか!?」

「黙れ……! 貴様ごときが、知ったような口を効くな……!」


 王子様は、顔を真っ赤にしていたよ。相当、トサカにきたみたい。

 なるほどね。少しは分かった気がするよ。フィリアさんは、クロエちゃん並みの魔力を持っている。王子様は、クロエちゃんに二体一でも勝てなかった。

 だから、王子様は努力を心の支えにしているんだ。そうすれば、フィリアさんにも勝てるかもしれないからって。


 一応、ただの推測。でも、当たっていると思うよ。実際、カイン君に対して攻撃のペースを高めているからね。

 槍を突き出して、カイン君に受けられる。雷を飛ばして、やっぱり氷に止められる。

 明らかに、冷静さを欠いているよね。そろそろ、私の出番かな。


 きっと、最高のタイミングはカイン君が反撃に移った時。その瞬間に最大の威力が出せるように。よし、もう一手を打とう。

 カイン君への苛立ちだけじゃ、まだ足りないよね。私からも、追撃をあげる。


「王子様の努力は、私が誰よりも見てきました! フィリアさんにだって、きっと勝てるはずです!」

「アミカ……! 黙らないのなら、まず貴様から……!」


 そう言って、王子様は私の方をにらみつけてきた。槍も、少しだけこっちを向いたみたい。

 即座に、カイン君は剣を振り下ろす。王子様は、槍の柄で受ける。同時に、氷も放っていたよ。

 雷を返す王子様は、憎々しそうな様子でカイン君を見ていたよ。剣を、両手を使ってなんとか押し返しながら。


「俺様との戦いだってのに、ずいぶんと余裕だなあ! そんなザマだから、王女様にも勝てねえんじゃねえか!?」

「貴様たちは、どこまでも俺を甘く見てくれる……! お望み通りに、叩き潰してやろう!」


 魔力を集中させているのが、王子様を包み込む光で分かった。王子様から、カイン君の全身を飲み込みそうな雷が放たれる。

 そして、カイン君も合わせて氷の壁を貼る。全身を、包み込むように。

 ぶつかりあって、衝撃波が飛ぶ。地面から、土埃が舞い上がっていたよ。


 少しして、二人の様子が見えてくる。王子様は、歯を食いしばりながらカイン君を見ていたよ。

 そして、カイン君は氷を放つ。それに対して、王子様は魔力を集める。


 今が、最高のチャンス!

 私は王子様の目に向けて、光を放ったよ。王子様は、目を両腕で覆ったよ。


 そこに、カイン君の氷が飛んでいく。合わせて、剣も振り下ろしていったんだ。


 王子様に向けて、カイン君の攻撃が向かっていく。勝利に向けた攻撃が。


 直撃しそうになる、その直前。王子様は、私に向けて雷を放ったんだ。

 カイン君は私をかばって、雷の直撃を受けていったよ。バリバリって音が、私の耳に残った。


「カイン君!」

「……始めから、こうしておけば良かったのだな。女に溺れた男の末路がこれか」


 カイン君を見ながら、王子様はこぼす。バカにしたように、冷たい視線を向けて。その奥にいる私も、にらみつけるように。

 その言葉が、耳から離れなかったんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ