27話 想いをつなげちゃうかわいさ!
ローランド君の発明を見るために、彼の部屋に向かうことにしたよ。みんな着いてきていて、ちょっと面白いかも。鳥とヒナみたいって感じかな。
たどり着いた部屋には、いろいろなものが置かれていたよ。見たこと無いような道具が、いっぱい。なんか輪っかがついている箱があったり、大きな石みたいなものがあったり。
この中に、役に立つものがあるかもしれない。無いかもしれない。
どちらにせよ、動き出さなくちゃ始まらないんだ。弾ける笑顔に、気合いを込めたよ。
「さあ、見ていって。僕には、何が役に立つかは思いつかないですけど……」
ローランド君は、ちょっとしょんぼりしている。私の役に立てないのが、悔しいのかな。
でも、大丈夫。アミカちゃんなら、きっと戦術を見つけちゃうから。
ローランド君のおかげで勝ったって、言うことになるはずだよ。私には、分かるんだ。
近くを見ると、前に使わせてもらった鉄の棒があったよ。ちょっと、手にとってみちゃう。
「これ、懐かしいですね。あの時は、貸してもらったおかげで課題を乗り越えられたんですよね」
「アミカさんの発想が良かったからじゃないかな。僕には、思いつかなかったですし」
「あの発想は、私も見るべきところがあったとも。ずっと、周囲を認めてきたのだな……」
エルカ先生は、どこか遠くを見ている。私を退学させようとしたことを、振り返っているみたい。
確かに、先生の絵が大事だったと示す時と同じような発想だったかも。アミカちゃんは、ずっと輝いていたんだね。あらためて、理解できちゃった。
なら、今回も大丈夫。ローランド君の発明で、道を切り開いてみせるんだから。
「ですが、この鉄の棒が戦いで役に立つ姿は思い浮かびませんわね。別のものを、探しませんこと?」
「そうだね。アミカちゃんのためにも、良いものを見つけないと」
「ぼ、僕も頑張って探します……」
「こういう場面で、少しでも役に立ってみせるさ。戦えないなりに、少しでもね」
「俺様も、当事者だからな。ただじっと見ているだけじゃ、燃えねえぜ」
「言うまでもないかもしれませんけど、慎重に扱ってあげてくださいね」
「ありがとう、アミカさん。気を使ってくれたんですね」
みんなが手分けして、ローランド君の部屋を探し始めたよ。私としては、目星をつけているものがいくつかあるかな。
小さな玉を手に取ってみると、ローランド君が隣で説明してくれる。
「それは、煙を出す道具なんだ。ディーハルト君に、目くらましができるかもしれませんね」
「カイン君の邪魔にならずに、王子様だけを妨害はできそうですか?」
「うーん、難しそうかも……。ごめんなさい、これはダメみたいですね」
ローランド君は、玉をしまい込んじゃった。実際、うまく使える道筋は思い浮かばなかったけれど。
煙幕を出せるってことは、王子様も隠れられるってことではあるから。一方的に有利になるのは、難しいかな。
他のものも考えていると、今度は他の人達が道具を持ってきたよ。
「これはどうかな、アミカちゃん。ちょっと、電気が出るみたい」
クロエちゃんが持ってきたのは、太い棒みたいなもの。先から電気が出るって感じかな。でも、そんなに遠くまでは届かないって感じだよ。
使えるかどうかは分からないけど、まずは笑顔で受け取ったんだ。
「近づかなくては、当てられませんわね。アミカさん本人が使うには、厳しくありませんこと?」
「俺様が使うくらいなら、魔法を撃った方が早えぞ」
「こ、これはどうかな……。大きな炎が出るって書いてあるけど……」
次は、ちょっと大きい道具。旅行のカバンくらいの大きさで、大きな穴が空いているみたい。たぶん、そこから炎が出るんだね。
威力としては、どれくらいなんだろう。とりあえず、ここでは火を出せないよね。どうしようかな。
「アミカさんでは、持ち運べないんじゃないか? 使うとしても、バレバレになるはずさ」
そんなこんなで、色々と案は出たけれど、決定打になるようなものは無かったよ。
少しずつ、残りの道具は減っていく。ローランド君も、ちょっとうつむいているみたい。
いまこそ、アミカちゃんのかわいさを見せつけてあげないとね。みんなも元気になって、私の魅力も伝わっちゃう。一石二鳥とは、このことだよ。
「電気の道具を投げてみたり、炎の道具を囮にしてみたり、道はあるはずです。まだ、始まったばかりですよ」
「アミカさん……。そうだよね。僕が諦めたら、終わりです。失敗作だって、なにか役に立つかも……!」
ローランド君は、金庫みたいなところを漁り始めたよ。さっきの言葉からして、失敗作だと思っているものを取り出してくれているみたい。
うん、そうだよね。ローランド君の狙い通りの効果じゃないとしても、戦いの役に立つこともある。
アミカちゃんだって、しっかりと考えていかなくちゃね。気持ちに応えるのも、大事なかわいさなんだから。
そして、ローランド君は腕いっぱいにものを抱えてやってきたんだ。
みんな、興味深そうに見ているよ。クロエちゃんは、ちょっと首を傾げながら。フィリアさんは、優雅に微笑んで。カイン君は、腕を組んでいるけど唇を釣り上げていたよ。
他の人達も、ローランド君の持ってきたものを見ている。うん、いい感じだね。みんなが一丸になっているって感じがしてきたんだ。
「この棒は、何に使えるってんだ?」
「熱くて持てないんですけど、熱を出せます。もしかしたら、罠とかに使えるかも……」
「なら、この輪っかはどうかな?」
「ぐるぐる回り続けて、危ないんです。でも、危険なら逆に……」
そんな感じで、ローランド君はいろいろと考えて持ってきてくれたみたい。実際に戦術にまでできるかは分からないけど、一理あるって思うことが多かったよ。
私としては、あんまり多くの道具を持っていくのは反対かな。とっさに使えなくなっちゃうし、使いからも難しくなっちゃう。
持って行くとしても、一個か二個。それが、私の判断だよ。今は議論が進んでいるから、もう少ししてから伝えるけど。
せっかく流れに乗っているのに、水を差すのはかわいくないからね。
そのまま議論が進んでいって、でもこれと言える答えは出ないまま。最後の道具になったよ。
丸くて白い、手のひらサイズの玉。ちょっとだけ、宝石みたいかも。アミカちゃんには、輝きで完敗するだろうけどね。
でも、きっと良いものだよ。そんな感覚を、どこかで感じたんだ。
「ローランド君、これがなにか、教えてくれますか?」
「光を出す道具なんです。でも、まったく調整ができなくて……。まぶしいだけで、何も……」
「なら、目くらましに使えそうってことですね。それは、良いかもしれません」
「ううん。本当に全部まぶしくて、たぶん自爆技になっちゃいます。でも、もしかしたら……」
ローランド君は、わずかな可能性にかけて持ってきてくれたみたい。
相手への目くらましに使うのなら、一方向からだけ光を出したい。光を操る魔法でもあれば……。
いや、そうだ! エルカ先生なら、何か知っているかも!
私は、すぐに先生のところに玉を持っていったよ。
「これ、前からだけ光が出るようにしたいんです。エルカ先生なら、何か思いつきませんか?」
「全体から……。なら、光を封じ込める必要があるね……。そうか、特殊な塗料なら……! 待っていてくれたまえ、アミカ君!」
エルカ先生は、一気に駆け出していったよ。たぶん、塗料を取りに行ったんだと思う。
しばらく待って、黒い瓶を持ってきたエルカ先生が帰ってきたよ。
「ローランド君、これを塗っても構わないかね?」
「もちろん。それで、アミカさんの役に立てるのなら……」
さっそく、エルカ先生は塗料を塗っていく。ほとんどが黒く塗られていったよ。1か所だけ、白い。ちょっとだけ、欠けたお月様みたいに見えたかな。
ローランド君が試すと、狙った通りに光が出ているのが見えたよ。これで、使える。
私が頷いていると、ローランド君は笑顔で渡してくれたんだ。
「ありがとうございます、みんな。これを使って、必ず勝ってみせますね」
「頑張ってね、アミカさん。僕も、応援していますから」
笑うローランド君は、胸を張っていたよ。
これで、準備は整ったね。王子様、私は勝ってみせるんだからね!




