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転生したらハシビロコウだった件[2] 前編

深夜の動物園、今夜もひっそりと、とある小屋に悩める動物が訪れていた。


【※ここから先の会話は動物達の会話としてご覧ください】



『…てわけでさ、俺は一度でいいから和牛ってのを食べてみたいわけよ!』

『……』

『俺の身体の事考えてくれてるのはわかるよ?でもさ、毎日脂肪の少ないヘルシーな馬肉、たまに内蔵とかあるけどさ、やっぱちょっとギルティな食事もしてみたいわけよ!』

『……』

今夜は毎日の食事に不満を持つトラがハッチャンの元を訪れていた。

ハッチャンは微動だにせず、凛と立ったままトラを見つめていた。

(俺だって毎日同じ魚なんだけど…)

『…でもまあ毎日ちゃんと食べられるってのは幸せなことなんよな…外の世界じゃ食べられない日もあるわけだし』

『……』

『うん、俺今のこの環境にもっと感謝してみることにするわ!ありがとな、ハッチャン!』

『……』

そう言うとトラは颯爽と小屋を去っていった。

(さて、そろそろ寝るか)


『ちょっとお邪魔しますしますよ!』

『……』

(えぇ…俺が寝ようとするとなんでいつも誰かしら来るの…)

『どうも、お初にお目にかかります。私レッサーパンダのケンタと申します。先日こちらの動物園に移動して参りました』

『……』

(ね、眠い…)

『あなたの噂を小耳に挟みましてね?何でもあなたはこの動物園の皆さんのリーダー的存在で、何でも悩みを解決してしまうとか?』

『……』

ハッチャンは凛と立ったまま、レッサーパンダのケンタを見つめる。

(知らんがな…)

『実は私、以前の動物園では動物達のリーダー的存在でした。そんな私からあなたに申し上げます』

『……』

(こいつめんどくせぇな…)

『あなたのやり方ではダメです!動物達はみんな路頭に迷ってしまう!!』

『……』

(飼育員さんいるから大丈夫やろ…頭おかしいのか?こいつ)

『どうでしょう?ここは私にあなたの立場を譲るべきではないでしょうか?私ならみなさんをもっと幸せにして差し上げられます!』

『……』

(こいつきめーな…)

ハッチャンは変わらず凛と立ったまま、レッサーパンダのケンタを見つめていた。

『ほう、そうですか…あなたがそこまで言うなら私に考えがあります』

『……』

ハッチャンとケンタの間に緊張感が走る。

(※ハッチャンは何も考えていません)

『明日から飼育員達が動画を順次撮りSNSに上げるそうです。集客作戦だそうです』

『……』

(※ハッチャンは明日の天気を気にしています)

『その後どちらに多くのお客様が集まるか、それで勝負をつけましょう!』

『……』

(※ハッチャンは眠気と戦っています)

『私とあなたの檻のちょうど中間辺りに猿山があります。ボス猿に山の一番上からどちらにより多くのお客様が集まったか見て頂きましょう。まあ、やるまでもなく勝負は見えていますけどね』

凛と立ったままじっと見つめるハッチャンをしっかり見据えるレッサーパンダのケンタ。

両者の間には火花が散っているかのようであった。

『……』

(※ハッチャンはすでに意識がありません)

『それではハッチャンさん、ごきげんよう!』

『…(スヤァ)』


こうして、翌日より各々の動物達の動画撮影が始まっていくのであった。


【後編に続く】

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