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転生したらハシビロコウだった件

深夜の動物園、今夜もひっそりと、とある小屋に悩める動物が訪れていた。


【※ここから先の会話は動物達の会話としてご覧ください】



『なあ、聞いてくれよハッチャン!最近ウチのボスがひでーんだよ!』

『そうそう!俺も昨日さ、みんなに配ってたおやつぶん取られてさ!見てくれよこれ!!その時引っ掻かれちまってよぉ』

『アタシの子供もこないだいじめられたのよ!ボスが怖いって泣いてたわ!!』

『……』

『なあ、ハッチャン!ボスが大人しくなるいい方法ねーかな?』

『……』

ハッチャンと呼ばれるハシビロコウは微動だにせず、凛と立ったまま訪問してきた猿たちをただじっと見つめていた。


実は彼は2年前まで人間として生きていた。

不慮の事故に巻き込まれ、若くしてこの世を去った…と思われたが、ハシビロコウとして生まれ変わり、昨年他の動物園からこの動物園に移動して来たのだ。

彼は人間時代よりハシビロコウが好きで、生まれ変わるならハシビロコウ!と思っていたらしく、念願叶ってハシビロコウに転生したのだ。


一応彼なりにハシビロコウとしての美学があり、それを徹底していた。

それにより、自分もかつてこのハシビロコウに心を奪われたように、みんなの人気者になってこの動物園のスターになれたら、そしてハシビロコウをもっと知ってもらえたら!と思っていた。

しかし実際はこの動物園を訪れる人達ではなく、この動物園の動物達からの人望が非常に厚かった。

恐らくその姿から聞き上手と思われているのであろうか。

だが彼はそんな事には気づいておらず、

(今日もまた相談にきてるなぁ…そんなん俺に言われてもなぁ…)

『…ってことなんだよ!ハッチャンどう思う?』

『……』

『そうだよな!やっぱハッチャンもそう思うだろ?』

『……』

『よし、そしたらさ、明日みんなでこうして…』

猿達は何かを思いついたようで、何やら作戦会議を始めた。

『よっしゃ!じゃ明日早速やってみよう!!ハッチャン、ありがとな!!』

『……』

(何かよくわかんないけど…いっか)


翌日、今日は祝日で多くの人々がこの動物園を訪れていた。

「ママー!見て見て、あの鳥さん変な顔ー」

「アイツ1時間前とずっと同じとこにいる(笑)」

(俺可愛いだろうよ…)

そんな事を考えていると、飼育員が食事を持ってやって来た。

「ほら、ハッチャン!ご飯のお時間ですよー!」

彼は毎度食事を持ってきてくれる飼育員に対してお辞儀をしていた。彼なりの礼節だそうな。

(いつもありがとう!)

「あ!ママ見て!!鳥さんがペコペコしてるー!!」

「可愛いー!いただきますしてるのかな?」

目の前の水槽に食事の魚が入れられると、彼は先程微動だにしなかったのが嘘のように、ものすごい速さで魚を捕食する。

「おお!すごい!早い!!」

「上手に獲るねぇ!」

人々から歓声が沸き起こった。

(たまには応えてみようかな…)

彼は人間達に向けてお礼のつもりでクラッタリング(※クチバシを叩き合わせる音)をする。

『ダダダダダ!!!』

「うわぁ!何!?」

「こっわー…怒ったのかな?」

「うわぁぁん!!ママー!!」

どうやら逆効果だったようだ。その後彼の周りにいた人はいなくなり、閑散としてしまった。

彼はちょっとセンチになり、またスンと微動だにせず立ち尽くしていた。


(ハシビロコウ絶対可愛いじゃん!この愛くるしい顔、みんなわかんないのかなぁ…)


そして、その日の深夜。また彼の元には悩める動物が訪れていた。

『ひどいのよ、彼ったら!私というものがいながらまた浮気して!!』

『……』

今日は悩めるメスペンギンが訪れていた。

『ねえ?ハッチャン、私彼とこの先も上手くやっていけるのかしら?』

『……』

彼はまた微動だにせず、凛と立ったままペンギンをじっと見つめていた。

(…知らんがな!!)

『…それでね、こないだは彼ね!』

『……』

『…ありがとう、ハッチャン!私彼ともう一度よく話してみる!!』

そう言うと、メスペンギンは足早に小屋を後にした。

『……』

(さて、そろそろ寝るかな)

『邪魔するぜぇ!』

『……』

(えぇ…)

また来客だ。どうやら昨日訪れていた猿達のボスのようだ。

『よう、ハッチャン!聞いてほしーんだよ』

『……』

『俺さ、今ボスなんだけどさ、ボスってどうしていいかわかんなくてよ…とにかくナメられちゃいけねぇと思ってやってたんだけど、ちと酷いことしちまったみてーでさ…今日みんなから無視されちまって…』

『……』

(なんやねん…)

『周りからもみんなを守んねーといけねーからさ、強く見せないとだし…でもみんなが着いてきてくれねーと…』

『……』

(ね、眠い…)

『それでよう、あん時はさ…』

『……』

ボス猿の相談(一方通行)は2時間にも及んだそうな。

『そうだよな!ここなら外敵の心配はないもんな!!俺明日みんなに謝って、ちゃんとみんなに慕われるボスになるよ!ありがとな、ハッチャン!!』

『……』

ようやくボス猿は帰ったようだが、すでに彼の意識はなかったそうな。

『…(スヤァ)』


翌日、ボス猿と猿達は和解し、猿山には平和が戻ったらしい。

そして今日もハシビロコウのハッチャンは微動だにせず、凛と立ち続ける。



【~完~】


MHSの皆さんよりネタ提供していただきました!

かなり難しかったですが、また思いついたら書いてみようと思いますw

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