マッスルブラザーズ
今まさに命の灯火が消えそうな時!
追い込まれ絶望の縁に立たされている時!
そんな時どこからともなくやってくる。
そう、それがマッスルブラザーズなのだ!!
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ビルの屋上、一人の生気のない男が立ちすくんでいた。
「はぁ…何で俺の人生こうなっちまったんだろう…」
男は屋上の際に立つ。
「もう、何の未練もない…」
男が飛び降りようとしたその時だった。
「ちょっと待ちなさいな!オニイサン!!」
「待ちなさいな!オニイサン!」
「え?」
振り返るとえらくマッチョな男が二人、タンクトップにホットパンツ、そしてピッタリの七三分けだ。ポマード臭い。
「ピンチな人がいたらすぐ駆けつける!」
「駆けつける!」
「悩んでるアナタもすぐに解決!」
「解決!」
「そう!私たちは…」
「マッスルブラザーズ!!」
「うわぁ、めっちゃポーズ決めてるやん…何だコイツら…」
「兄さん、この人困ってるのかな?飛び降りようとしてたよ!」
「うん、そうだな兄さん!これは放っておけないな!」
「え?どっちも兄さんなの?どういうことなの?」
「さあ、オニイサン!悩みがあるなら言ってごらんよウォンチュ!」
「ごらんよウォンチュ!」
「お前絶対いらねーからな?兄さんB!」
「とにかくとにかくオニイサン!バカな真似は止めて、何があったのかオネエさん達に話してごらんなさいな」
「オネエなの!?兄さんじゃないの?!」
「ごらんなさいな」
「だからお前は絶対いらねーからな!B!!!」
「話すだけでも楽になるわよ」
「なるわよ」
「見ず知らずの奴らに話したって何がわかるってんだよ」
「そんなヤケを起こしたらパパとママが悲しむわ」
「悲しむわ」
「小さい頃に両親は亡くなってるんだよ」
「貴方の家族が悲しむわ」
「悲しむわ」
「妻は出てったんだよ!事業に失敗して騙されて、俺に残ってるのは一生働いても返せない借金だけなんだよ!」
「生きてればきっといいことあるぜ!ブラザー!!」
「あるぜ!ブラザー!!相棒の言う通りだぜ!!」
「キャラブレブレじゃねーか!お互い兄さんじゃねーのかよ?!オネエどこいった?!」
「そんなお前を救う為にやって来た!俺達マッチョメーンブラザーズ!」
「もはや名前変わってるじゃねーか!おい!お前らそこ並べ!!」
「え?」
「え?」
「え?じゃねぇ!!並べ!!」
「あ、はい」
「はい」
「正座!」
「あ、いや素足でコンクリートの上はちょっと…」
「正座ぁぁ!!!」
「あ、はい」
二人のマッチョな男は男の前に正座した。
「何なんだよお前らさっきから。キャラ定まってねーし、名前は最初と違うし」
「すいませんでした」
「せんでした」
「Bの被せるとこは徹底してんのかよ!」
「すいません、はい、そのこれだけは」
「ほんとさ、ちゃんとしよう?俺そういう適当なのいっちばん嫌い!」
「本当にすいませんでした。ちゃんとします」
「します」
「これからはちゃんとやれよ?二度目はねーからな?」
「はい、ありがとうございます!精一杯頑張らせていただきます」
「いただきます」
「わかったらいいよ、じゃ俺は続きやるから…」
「ちょちょちょちょちょーーーーっ!!!」
「ちょーーーーっ!!!」
「何だよ?まだ何かあんのか?」
「オニイサン、こんな所から飛び降りたらすっごく痛いよ!」
「痛いよ!」
「んなのわかってるよ!でももういいんだよ!!」
「待って、どれだけ痛いか見せてあげよう!兄さん、GO!」
「え?え?いや、兄さんがGO!」
「いや、兄さんが!」
「いやいや兄さんが!」
二人のポマード臭いマッチョが屋上の際で揉み合いを始めた。
「おーい、そんなとこで揉めてたら危ないぞー?」
「兄さんが、、あ!」
「あ!」
「あぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「あーぁ、落ちちゃった」
ドスンッという音の後に声が聞こえてくる。
「痛い!痛いよ、兄さん!あぁっ、膝擦りむいてるぅぅ!!」
「いや、何で生きてるんだよ…めっちゃ軽傷じゃん」
「大丈夫か!兄さん!?今マッスルエイドを貼るよ!!」
「いや、マッスルエイドって何だよ…てかお前は無傷なのかよ」
その時男のスマホが鳴った。メッセージのようだ。
「あなた、ロト7で1等が当たりました。もうお金の心配もいりません。また二人でやり直しましょう!」
「いよっしゃあ!今迎えに行くよ!!マイハニー!!!」
【~完~】




