金の斧銀の斧 令和Ver.
「ドボン!」
「あー!マジかよ…」
俺の名前はセイイチ。今この山で伐採作業をしていたのだが、うっかり手元を滑らせしまい、大事な仕事道具であるチェーンソーを落としてしまったのだ。
「え?泉?こん中にいっちまったのか…」
仕方なく泉の中を探しにいこうとすると、泉がパァァァっと光った。
「なんだ?」
どこからともなくBGMが聴こえてくる。
(♪) スタンドアップ!モンスター頂上へ道なき道を切り開く時~
「いや、何でタマシイレボリューション!?」
すると泉の中から若い女性が現れた。
「えぇぇぇ!!」
「私はこの泉の女神…」
「女神?」
「若者よ…」
「いや、俺50歳なんだけど?」
「……」
女神はバタバタと首を振って水を切った。
「あ、見えてなかったんだ?」
「若者よ、あなたが落としたのは…」
(あ、その上でまだ見えてないんだ?近眼の女神?)
「…泉の女神です」
「心の中につっこんできた!?」
「若者よ、あなたが落としたのは…」
「若者って年齢じゃないんだけどなぁ、あ?もしかして女神様って年齢不詳で、もしかしてBBA…」
「若者よ!!!!!!!」
「あ、はい」
「あなたが落としたのはこのNintendoSwitch2ですか?それともこのゲームボーイカラーですか?」
「いや、全然違うんですけど!?てか何でゲーム機二択?!」
「あ、ごめんなさい!間違えました、てへ」
女神は舌を出しながら拳を頭にコツンと。
「いや、リアクション古っ!やっぱりBBA…」
「少々お待ちください」
(♪) スタンドアップ!ファイター とんがってgoing on, moving on戦いの歌未知の世界へタマシイレボリューション~
「あ、戻る時もタマシイレボリューションなんだ?しかもちゃんとさっきの続きだ」
(♪) イメージしたらばアクションそう、それが it's my rule
目指せ最大級前に道などナッシングそう、全て心意気
起こせよ new wave~
「え!?Bメロ?そこはサビでいいだろうよ!」
「お待たせしました」
「うん、今度はちゃんとしてね?」
「若者よ、あなたが落としたのはこのワンダースワンですか?それともこのゲームボーイカラーですか?」
「またゲーム機じゃねーか!何でゲームボーイカラー残してんだよ!?」
「違いますか?」
「懐かしいけども!だったらさっきSwitch2もらってたわ!」
「あなたは正直な人で…」
「待て待て待て待て待て!!終わらそうとすんな!!!」
「え?」
「チェーンソー!俺のチェーンソー返してよ!!」
「えっと、フランチャイズ契約をしてそれから…プッ!」
「チェーン店な!何も面白くねーからな?何でちょっとツボってんだよ!!」
女神は後ろを向いて体を震わせていた。
「タケシ、あなたはそのチェーンソーで何をしていたんですか?」
「それで木を切ってたんだよ。俺の仕事だ」
「タケシ、いいですか?あなたがそのチェーンソーで木を切り続けることによってこの森の動物達が住処を追われることになるのです」
「それは…わかってるよ、でも俺も生きていく為に仕方ないんだよ!アンタの言いたいことはわかるけどさ、俺にはこれしかできねーし」
「タケシ…」
「さっきからタケシって誰だよ!!俺セイイチだよ!!」
「うーん、困りましたね…かと言って女神である私がこのまま見過ごすわけには…」
「いーよ、じゃあ自分で探すから」
俺は服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっとぉ!?何で脱いでるんですか?!」
「潜って探すんだよ!アンタは俺にチェーンソー渡せねーんだろ?」
「待って、ダメ!入らないで!!」
「チェーンソー回収したらすぐ出るから」
「ダメぇぇ!!!女の子の部屋にズカズカと上がろうとするなんて、何てデリカシーのない人なの!!!」
「部屋じゃねーだろ…水の中だろ」
「そんなこと言って!本当は干してある下着とか見ようとしてるんでしょ?!」
「うん、その下着永遠に乾かねーだろうな」
「と・に・か・く!ダメなものはダメなんです!」
「えぇ…参ったなぁ」
「わかりました!それならば特別に、私のできる範囲であなたの望みを叶えて差し上げましょう!」
「え?そんなことできんのか?」
「私は女神ですよ?あくまでできる範囲で、ですが」
「うーん、望みねぇ…」
「はい、何でも仰ってください」
「よし、決めた!」
「それでは、あなたの望みをお聞かせください」
「俺と子作りしてくれ!」
「はい!あなたの望みは私と子作りで…え?」
「何でもいいって言ったろ?ほら、俺独り身だしさ、そろそろ幸せな家庭を築いてもいいかなぁって」
「そ、それでしたらあなたに素敵な恋人を…とか…」
「アンタがいい!」
「……」
「…アナタハトテモショウジキナヒトデス。ソンナアナタニハコノチェーンソーヲサシアゲマショウ!(早口)」
(♪) スタンドアップ!モンスター 頂上へ道なき道を 切り開くとき~
「あ、サビに戻った」
女神はチェーンソーを置いて泉の中へ帰っていった。
「んじゃ、仕事すっか…あれ?」
「…」
「チェーンソー壊れてら…」
【~完~】




