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最弱Sランク冒険者は引退したい~仲間が強すぎるせいでなぜか僕が陰の実力者だと勘違いされているんだが?  作者: みんと


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第20話 伝説の剣(2)


 そしてついに、ロランの番がやってきた。

 ロランは力一杯に剣を引き抜こうとする。


「ふんぬうううううううううううう……!!!!」


 ロランは力も人並み以上に化物だし、魔力量だってS級の怪物冒険者だ。

 そんなロランなら、もしかしたら……って思ってしまう。

 

「いっけえ! ロラン……!」

「おうよ! ノエル……!」


 僕の応援に、ロランが答える。

 僕が声援を浴びせたせいか、ロランの顔つきが変わり、さらに力が強くなる。

 あの人、ほんと僕のこと好きだなぁ……。


「うおおおおおお!!!!」


 そのときだった……!

 ――バキ……!

 ちょっとだけ、岩にひびが入った。


「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」


 観衆たちが一斉にざわつく。

 これまで、岩のほうを壊そうと模索したものもいた。

 だがしかし、これまで岩にすら一ミリも傷はつかなかったのだ。

 おそらく、岩じたいがなにか特殊な力で守られているのだろう。

 だが、ロランはそれをものともせず、岩に初めて傷をつけたのだ。

 さすが僕のパーティーメンバー、化物だ。


「うおおおおおおおお……! いっけえええええ!」


 ロランはそこから、数十分粘って、剣を引っ張り続けた。

 しかし、そこからはびくともしなかった。

 ほんの少し岩に傷をつけただけで、そこからは進展なし。

 だけど、これはすごい進歩だ。


「くっそお……! もう無理だ……!」


 さすがに疲れたのか、ロランはあきらめて戻ってきた。


「お疲れ、ロラン。すごかったね」

「いやぁ……あれはもう無理だわ……」


 ロランは手のひらを真っ赤にしていた。

 あのロランでもここまで苦戦するなんて、よほどあの剣はすさまじいパワーで守らているらしい。

 こうなったらもう、あれを抜けるのなんて……。


「なっさけないわねぇロラン。私に任せない……!」


 次に壇上に登っていったのは、エリーだ。

 こうなったらエリーくらいしか抜ける人はいないんじゃないのか?

 エリーなら、規格外の魔力量でなんとか引っこ抜けるかもしれない。


「エリーがんばれー!」

「ありがとうノエルー! がんばる!」


 エリーは腕まくりをして、剣を握りしめる。


「ふにゃああああああああああああ!!!!」


 エリーが剣を引っ張ったその瞬間だった。

 

 ――ビキビキビキィ!


 岩に大きくひびが入り、剣が数センチ上に抜けた。


「おお……!?」


 すごい、初めて剣が動いた。

 さすがはエリーだ。


「いっけええええええええええええ!!!!」


 それから、エリーは岩に魔法をぶつけてみたり、いろいろ試してみた。

 しかし、剣は抜けることなく、エリーはしぶしぶ剣から手を離した。


「くっそ……ダメだわ……」

「お疲れ、エリー」


 やはり、エリーでもダメなのか……。

 あの剣は、いったいなにものなんだ……。


「他に挑戦者はいないか……!」


 場を取り仕切っていたものが、そう声をかける。

 しかし、もうすでにほとんどのものは挑戦していて、誰も手をあげるものはいない。

 みんなあのエリーでさえ諦めたのを見て、躊躇しているようだ。


「おいノエル、せっかくだからお前行ってこいよ」

「えぇ……?」


 ロランが僕の背中を押す。


「僕は無理だよ……」

「いやお前ならいける! このパーティーのリーダー、閃光のノエルならきっと!」

「どこからその自信はくるの……?」


 ロランは僕をなんだと思っているんだろう。

 僕にそんな力、あるわけないのに……。


「はいはいー! うちのノエルが挑戦します……!」


 ロランが無理やり手を挙げて、僕のことを前に押し出す。

 僕はロランに突き飛ばされる形になりながら、群衆の前に躍り出た。

 これは……やるしかない流れだね……。


「はぁ……やるか……」

「ノエル……! がんばれー!」


 エリーが声援を送る。


「ノエルくん! かっこいい! がんばってー!」


 アヤネたちからも応援の声が。

 これは……あとに引けないな……。

 男なら、やるしかない……!


 僕は剣を握りしめた。


 そして――。


 思い切り、引く……!


「えい…………!」


 あれ……?

 なんか思ってたより軽い……?

 なんと、剣はまったく抵抗することなく、そのまますっぽ抜けた。


「ええええええええええええええ……!?」


 僕は勢い余って、後ろにしりもちをつく。


「うおおおおおおおおおすげええええええ! ノエルがやった……!!!!」


 ロランが僕のもとへ駆け寄ってくる。


「すげえなノエル……! さすがだ……!」

「あ……いや……? え…………? 僕なにもしてないんだけど……?」


 ほんとに、僕はただ抜いただけなのだ。

 なにも力はいらなかった。

 ていうか、元から抜けていた。

 ほとんど元から抜けていたのだ。


 つまり、こういうことだ。


 エリーはあきらめたが、エリーが最後に引っ張った時点で、剣はほぼ抜けていたのだ。

 そこにたまたま僕があとから引っ張ったから、まるで僕が抜いたみたいになっている。


「あれ……これ、僕じゃなくてエリーが抜いたんだよね……?」

「なに言ってんだ……! お前の手柄だよ!」

「えぇ……? だから僕、ほんとになにもしてないんだって……」


 そこから、みんなで僕の胴上げが始まった。

 なんでこうなった……。


「おめでとう! この剣はあなたのものです!」


 仕切りをしていた男が、僕にそう言った。

 なんか、流れで僕が伝説の剣を手にしてしまったけど……。

 これ、ほんとにいいの……?

 伝説の剣はあとでエリーに返そう……。


「やっぱりうちのノエルはすげえぜ!」

「いやだから……すごいのは先に緩めておいてくれたロランとエリーじゃないかなぁ……?」


 僕はさいごのひと押しをしただけだ。

 あくまで、これを抜いたのはロランとエリーの功績だろう。

 なんか僕って、変なところで運がいいのか悪いのか……。

 はぁ……なんか伝説の剣を抜いた英雄に祭り上げられてしまった。

 引退したい……。


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