第二話 リュウコサン
竜骨はがめついのか困窮してるのか。
フリーレントと煙草であっさりと答えた。
「あそこは何度も死人出してるだろ。あれは、あそこで自殺した女があの部屋に居座って、住んだ人を呼んでたんだ。浴槽で睡眠薬飲んだんだな。一番新しいじいさんを殺ったのは、その女だよ。
溺死させたんだ。たぶん、前に住んだ人は死なないにせよ水のトラブルで退去してるでしょ。風呂場で溺れ掛けて、それで体調崩したとか。浴室から声がとか。風呂場の鏡に何か映るとか。で、私はって言うと家賃安いし、小綺麗だったから気に入ったけど、あの女が調子乗ってたから徐霊した訳。」
竜骨は淡々としているが、にわかには信じがたい、オカルトな話だった。
怪奇現象を見た武すら、科学的に否定する事はしないにせよ、徐霊とか言われるとピンと来ない。
しかし、社長は取り敢えず話を飲み込んだようだ。
「竜骨さんはつまり、幽霊を徐霊できるんですね?」
「まぁ…ある程度。」
ある程度とはどの程度だろう、と武は考えた。
「ある程度、とは。」
(社長はさすがだ…。竜骨さんに更にツっこんでる。)
武は連れっててもらったキャバクラでNo2の嬢とイチャつく社長を見て以来の尊敬の眼差しで社長を見た。
「…神様以外、何とかなるよ。」