第二話 リュウコサン
「神様?」
武は思わずポカンとした。
「例えば、うちの物件に付いてる幽霊を徐霊できますか?」
社長の質問は的確だ。
「うーん…」
意外にも、竜骨は唸る。
チラリと社長を見て、小さく息を吐いた。
「社長さんさぁ、あんまり幽霊をどうにかしようって思わない方が良いんじゃない。自然に消えるやつだっているし、供養してやる方が建設的だよ。どうせ、そう言う案件の数なんて大した数じゃないんだろ?つましくやってる方が身の丈に合ってんよ。」
口汚い印象の竜骨だが、それに似合わず奥歯に物が挟まったような言い回しだ。
「いやいや、今すぐどうにかして欲しい訳ではないですよ。」
人を食ったような顔で社長は言う。
「ですが、不動産をやってると正直幽霊がらみで困る事は多いんです。何か不具合があると怪奇現象と言われたり、本当に幽霊なのかも怪しい物がある。それの原因が幽霊か幽霊でないかは別として、なんにせよ、賃貸の場合は長いこと空室になってしまうと物件価値が下がってしまいます。だからどうにか値段を下げてでも入居していて欲しいと言うが本心ですね。」
竜骨はじっと社長を見てる。
「私に何をさせたいんだ?」
「竜骨さんさえ良ければ、物件の不具合が幽霊かそうでないかを鑑別して欲しいのです。」