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第五話 誘い(後編)

7階に着いた。


竜骨は共用廊下の奥を見る。


「物件は703号室です。早く行きましょう、竜骨サン。」


武が言うと、竜骨は武を再びじっと見る。


「…並木サン疲れてねえの?」


「え?いいえ…」


息が上がっている訳でも、膝が笑っている訳でもない。なぜ竜骨がそんな事を言うのか、武には解らなかった。


(もしかして、竜骨さんでも怖いのかな?だから行きたくなくてそんな事を聞いてくるのか…?)


「…良いか、並木サン。絶対私から離れるな。」


「?…わかりました。」


竜骨と武は歩みを進める。

と、武の目に黒い犬が写った。

いつの間に前を歩いていたのか。703号室のドアが開き、マンションに入っていった時のようにそのドアに吸い込まれて行く。


「あ、竜骨サン!やっぱりいましたよ、あの犬!」


「…」


竜骨は応えない。


「やっぱりいたんだ。竜骨サン、あの犬入っちゃいましたよ!早く行かないと!」


「…並木サン。」


自然と歩みを早くする武の手首を竜骨が掴む。


「どうしたんですか、竜骨サン。…怖いんですか?」


「並木サンは怖くないのかよ?」


ギリギリと手首が絞められる。

気付けば竜骨が足を止め、武を睨み付けていた。


「どうしたんですか?竜骨サンらしくないですよ。」


武が困惑して言うと、はっ!と竜骨がわざと盛大に鼻で笑った。


「らしくねえだ?並木サン、アンタこそどうしたよ?いつからそんなにビビリじゃなくなった。あぁ?!」


「??…何なんですか?早く行きましょうよ、竜骨サン。すぐそこじゃないですか。」


途端に、竜骨が溜め息を吐いた。

黒いバッグに手を突っ込み、日本酒のような瓶を取り出した。瓶の口はお札で封がしてある。竜骨はその封を切り、武の顔面に掛けた。


武の鼻腔をツン、と刺激臭が突く。

アルコール臭と酢の刺激臭。中身は日本酒と酢だった。


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