第四話 見えるもの
「思春期で意味もなく土手走ったりすんのの、生き霊バージョンだな。」
睡眠妨害されて不機嫌だった竜骨が、若者談義で機嫌を良くしてる。身に覚えのあるような言い回しだ。
「若いねえ。青春してんな…」
感心してる竜骨に反論しようと武が
「人の車体の上に落ちてくる青春なんて…」
と言いかけた言葉は、竜骨の
「あ、また落ちた。」
と言う言葉と破裂音と衝撃音で掻き消された。
「迷惑行為だけど、まぁその内納まるだろ。血気盛んったって、体力無限じゃねえし。他に集中する事があれば、そっちに気が逸れていなくなるさ。」
竜骨は、欠伸をひとつした。
「まー。それまでに何人か"飛び降り自殺する幽霊"とか"車に降ってくる幽霊"とか見たって言うヤツは出てくるだろうけど。」
言い終えると、うーん、伸びをして竜骨は車に乗ろうとする。
「待ってくださいよ!」
「うるっせぇな。チンタラすんな。」
竜骨はきちんと周囲の安全確認をして、助手席に乗り込む。
武も後に続いた。
後続車、対向車、もう一度後続車を確認し、恐る恐る上空を確認して逃げ込むように運転席に収まった。
「……竜骨さん。」
「あ?」
「…ちょっと休憩してもいいですか。」
絞り出すように言うと、明らかに竜骨の雰囲気が不機嫌になる。
「あぁ~?」
「すみません。ちょっと運転するの辛いです。」
「…」
チッと竜骨は舌打ちをする。
竜骨は何も言わずに車を降りてしまった。




