表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/52

第三話 異文化

「…」


そんな偶然が、と思うと同時に、武は成仏と聞いて良かったような、切ないような釈然としない気持ちだった。


「子孫がいなくなった…って…。皆亡くなったって事ですか?」


「遠い親戚はいるみてえ。まぁ一番の気がかりは直系だったし。そこが途絶えればな。」


自分の墓に手を合わせる人間がいなくなったと言う事か。

家族の事を思って戦争に出て、幽霊になって家族を見守っていたのに、年月が流れるにつれて、誰も手を合わせるものがいなくなった。

そういう霊は、この世に留まっても誰にも思い出してもらえないのかもしれない。だからようやく、成仏できると思い至ったのかもしれないが。

それは成仏と言って良いのだろうか、と複雑になった。


「一番下の段、開かなかったはずなのに…。」


事の成り行きを呆然と見ていたマリアがポツリと言う。


「この棚、伯父さんが職場の人から貰ってきて、私の旦那さんが運ぶの手伝ったんです。その時も下の段が開かなくて。…どうやって開けたんですか?」


「…。神様にお願いした。」


竜骨はとぼけるように肩を竦めて言う。

マリアは狐につままれたような顔をしている。


「しかし良かったな。窃盗団の人間が何か盗ったのかと…」


ぶん!と竜骨を黙らせるために思わずはたこうとした武の手は、掠りもせず空を切る。


「何だよ?」


「デレカシー!!モラル!!」


じろりと睨む竜骨に、武は最小級に声を潜めて怒鳴り付けた。


2件目の幽霊は居なくなった。


後に、帰ってきた家主のアントニオが


「幽霊は居なくなったし、タンスの一番下が使えるようになりました。日本の家貸しは凄いです。」


とマリアを介して連絡してきたのは、また別の話。



第三話 異文化 ー完ー


2件目終了。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ