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第三話 異文化

「さぁ、…って…」


まさか不動産屋に就職して、まして日本で、こんな心配をするはめになるなんてと、武は眩暈を覚えた。


「敵意はないし、大丈夫だろ。早く行けや。」


(幽霊の銃弾が当たったら…労災って降りるかなぁ……)


竜骨の暖かい声援を受け、武は現実逃避気味に考えながら部屋の前に近付く。


「失礼しまぁす…」


逃げ腰になりながら、武はドアの鍵に手を伸ばす。日本兵と重なるが、特に感触はない。


「…並木さんは何でへっぴり腰ですか?」


「ヘタレだからだろ。」


(くっそぉ~)


醜態を晒してる恥ずかしさと竜骨への腹立たしさで涙目になりながら、心の中で悪態を吐く。

四苦八苦しながら部屋の鍵を開けた。


竜骨は武の事を押し退け、ずかずか部屋の中へ入っていく。


「……すげぇ。」


竜骨の雰囲気がざわざわと逆立つ。

猫が怒ったときに毛を逆立てるような。


「敬虔なクリスチャンって奴か…実際見るのは初めてだ。」


竜骨は部屋に視線を巡らせ、部屋の奥に置かれた棚へ向かう。それは古びた和箪笥だった。


「クリスチャン?」


「私の一家は、みんな クリスタォ《キリスト教徒》です。伯父さんも私もキリスト教信者です。」


遅れて入って来たマリアが、武の疑問を補足する。

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