第三話 異文化
「遅くなっちゃってすみません。アントニオの姪のマリアです。」
彫りが深く、日本人と違ってグラマスな体型。見た目は外国人だが、流暢な日本語が紡がれるのは不思議だった。
「お世話になります。御足労いただきありがとうございます。本日担当する並木 武と申します。こちらは幽霊を見ていただく竜骨さんです。」
深くきれいなお辞儀をする武に対して、竜骨は「どうも。」と中途半端な会釈をする。
(挨拶ぐらいちゃいとしろって!)
武は竜骨に成人としてのマナーのなさに怒りながら、引き吊った笑顔で話を進める。
「では、早速移動しましょう。…あ。」
そう言えば幽霊の行列は頭上に並んだままだ。
マリアの顔を恐る恐る見るが、キョトンとしてる。
「おい、あんた。あれ見えるか?」
ついっと竜骨が頭上を指す。
吊られてマリアが視線を上げるが、首をかしげた。
「何でしょう?」
「…なるほどね。」
竜骨が眉を上げ、口の端を上げた。
目付きが鋭くなるような気がした。
「竜骨さん?」
「いやいや。いやいや。」
ヘラヘラしながら、竜骨は気にするなと言わんばかりにヒラヒラさせた。
3人並んで部屋の前に移動した。
目の前では幽霊の行列の先頭で日本兵がぶつぶつと呟いている。
武の目には何か言っているように見えるが、音は小さく混もって聞きずらい。
武は先頭の日本兵を凝視しながら生唾を飲む。
「竜骨さん…。」
「あぁ?」
「…あの人、銃持ってますけど。」
「持ってるけど?」
「……襲ってきたりしませんよね?」
「さぁ?こっちの言葉は聞く耳持たずだしな。」




