第三話 異文化
「あそこ、淀みができてる。」
竜骨は住居スペースの一室を指した。
当たり前のように、これから向かう予定の部屋だった。
「怨霊とか悪霊じゃないけど、部屋に何かいて、あそこが通れなくて彷徨いてるヤツがいる。」
「通れないって?」
「通り道なんだよ。幽霊の。」
「何で他人の家なんて通るんですか。」
「さぁ。そこしか通れないからだろ。」
さも当たり前のように竜骨は言う。
「あと、通りやすんじゃねえ?人間だって都合が良いように野山を開拓して道作るだろ。」
(そう言う問題なのか?)
武には幽霊の常識なんて理解できなかった。
「ちょっと行ってくる。姪っ子とかって人が来たら、部屋の前に来て。」
そう言って竜骨はスタスタと歩いて行ってしまう。
物件は、外付け階段ひとつで共用廊下に上がれる。オートロックもないので、部屋の前までなら行くことができる。
外付け階段の方に消えてった竜骨が共用廊下の端に現れ、迷いなく歩いていく。
「おい、あんた。」
共用廊下は2階だ。竜骨の声も聞こえる。
誰もいない場所に竜骨が声を掛けると、人の姿が現れた。
3人、4人、…もっとだ。
(え、ええぇ???!)
そこに見えるのは20人ほどの群衆だ。有名ラーメン店の前のように、行列になってる。
幸いなのは、スプラッターな見た目の者がいないと言う点だ。
武が凝視しても心理的生理的嫌悪感はないが、それでも異様である。




