第二話 異文化
武はハンドルを握ると、深く息を吐いた。
(ちょっとラーメンダメかも…)
グロテスクな話と、異形の気配に当てられ、すっかりご褒美気分が萎えてしまった。
異形…いや、姿を見た訳ではない。それは怪異と言うべきなのか。
「だらしねえな。もうへばったのか。」
助手席の竜骨から武へ容赦なく暖かい声援が飛んでくる。
武は心に小石をぶつけられてるような心情だった。
「竜骨さんと一緒にしないで下さい。」
"化け物に注意するこったな"
先程の竜骨の言葉が甦る。
(俺にしてみれば、竜骨さんだって化け物じみてるんだけど…)
「何でも良いけどよぉ…、とっとと終わらせようぜ。私は課題あるし、小説書きたいし。」
「はい…。」
そう、竜骨は看護学生だ。そして作家でもある。
肩書きだけ聞いても色々聞いてみたくなる所のはずだが、心労で突っ込んで聞く気になれない。
「えっと、次は下階が店舗のアパートですね。」
「ふぅん…」
何とも興味無さげだ。
「住んでいたのは外国の方です。あの辺りは外人さんが多いんですよ。」
「…」
「亡くなったのはお子さんですね。今は同じく外国の方が住んでいます。この時間がお仕事中なので、事情を説明して、鍵を預かってます。」
「…他人に対して無防備過ぎじゃね?」
「近所に住んでる姪っ子さんが立ち合ってくれます。それに、契約者様ご本人は日本語があまり解ってないので、日本語ができる姪っ子さんが来てくれるんです。」
「…それで普段の生活が罷り通るわけ?」
「多いですよ。自分は簡単な日本語しか話せない方。それに最近はアプリも充実してますから。」




