二十六から三十
26
名は残し 手鳴る様避け 譲る春 露気冷まさる 撫子の花
なはのこし てなるさまさけ ゆづるは(る つゆけさまさる なでしこのはな)
源氏物語成立年未詳。八十八.
よそへつつ-みるにはこころ-なくさまて-つゆけさまさる-なてしこのはな
27
取る弓矢 怪我の傷染み 野仏と 仄見し杉の 影や見ゆると
とるゆみや けがのきずしみ のぼとけ(と ほのみしすぎの かげやみゆると)
28
囃し魔は 夜間の印の 御陰下げ 神の印の 真夜はましやは
はやしまは よまのしるしの みかげさ(げ かみのしるしの まよはましやは)
29
皆も問ひ ふと戸に貝や 出端罠 はてや如何にと 問ふ人も波
みなもとひ ふととにかいや でばなわ(な はてやいかにと とふひともなみ)
30
屠蘇の文字 依怙は身形よ 爪皮か 松より並は 肥下の外
とそのもじ えこはみなりよ つまがわ(か まつよりなみは こえしものそと)
源氏物語 成立年未詳。二百三十二。
うらなくも-おもひけるかな-ちきりしを-まつよりなみは-こえしものそと
うらなくも 思ひけるかな 契りしを 松より波は 越えじものぞと




