終末と始まりを生きる魔王は飽きた。
骨の椅子に座った額から2本角が伸びた男は手のひらを見つめ、手のひらを握り。また開く。
「この魔力をどこに放出するのだろうか」
廃墟となった元魔王城、魔王の執務室と呼ばれていた部屋は天井や壁がなく、今、過去に魔王と呼ばれ恐れられたグライスが腰をかけているボーンチェアーと穴だらけの床が地面から5mほどのところを浮いているだけであった。。地面といっても土やコンクリートなどと言うものではなく、溶岩が流れ、冷え、固まり、また流れるを繰り返す灼熱の大地であった。
大空は火山の噴火の灰により灰色に染まる。
灰の雲は雷鳴を轟かせ、閃光が縦横無尽に走る。
雨の代わりに灰が降り、地面を埋め尽くす。
もし、この星に人間が生き残っていたので……いや、生き残れるはずもない。この星はすでに魔王以外の生命反応が全て途絶えている。
魔王グライスは今から100年前勇者と呼ばれた人間たちの懐刀を一瞬で滅ぼし、この世界を手中に収めた。
だが魔王の力は強すぎた。
勇者との戯れに飽きてきた頃だった。
勇者の本拠地である地球連合軍城とか言うヘンテコな名前の城に単身で乗り込み
連合軍城もろとも苦痛を与えることなく分子レベルで破壊したら、魔王軍連合軍関係なく何故か全世界に影響を与えてしまった。
魔王襲撃の現場に居た者の全ては自分が死ぬと思う前に死ぬ前と言うよくわからない珍現象を起こした。
そして運良く魔王の攻撃範囲外に居た者は、『ゴトッ』と言う重いような鈍いような音がして地面を見たら腕が落ちているの光景を見て敵襲を知る。
がいくら手を動かしても動くことはなかった。なにせその腕は自分のものであったからだ。
そしてまた魔王の攻撃の副作用を浴びないほど遠くに居た人類のある者の腕は腐敗したように取れ、ある者は足が外れるようにして取れた。そしてさらに奇妙なことに止血せずとも血が止まった。
そしてその影響は人類や魔族だけにとどまることなく、この星のすべての動物や海、山など分子を持っているもの全てに影響を与えた。
「やり過ぎたな……部下まで死んだか、柔な部下をもっと上が大変だな。」
回想は突如終わりを迎えた。
まぁそんな事もあり、魔王グライスはこの世界でたった一つの生命となった。
そして殺す友が居ないとつまらないと何回も思っている。
「すでに俺のことを魔王と呼ぶものは居なくなった。」
「誰も居ないのも窮屈であるな、勇者を完全に殺すとやはり世界は滅ぶ…か、また、やり直せばいいか、さて次はどうやって勇者を殺すとしよう……」
おもむろに立ち上がった魔王は両手を広げ超巨大な魔法術式に全魔力を注ぎ込まれた、魔法陣が黒色に光出す。
「我が神也魔法中枢に命令を下す、この世界を戻せ」
魔王の100回目の時間逆転が発動され、目を覚ますと終わりの世界ではなく、始まりの世界が広がる。
魔王城魔王の私室には土足で足を踏み入れてきた勇者が4人剣を構えている。
(土足禁止と書いてあると思うがな。)
『さて、勇者諸君今日でどう死ぬ。我は強い。だから。選ばせてやろう、今すぐにこの場から去り死ぬか、我に殺されるか、それともうるさいし声帯だけ取り除いて……選択はなしだ。良いこと思いついた、やっとうるさいのから解放される。』
『お前らの声はもらった』
魔王の一言により声を出そうと勇者は声帯がなくなったことに気づく。
『少しばかり声帯に細工させてもらった。声帯がなくなったのではない。別次元に隔離したのだ。……まぁいいや』
謎の間を開け魔王は勇者4人地下に落とした。