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第77話 国境の街イルシス・再び

アンリルはイルシスの街に着くのを心待ちににしていた。〈闇と光の物語〉の続きは諸説あり詳しく書かれている文献がないのである。

今読まれている物語では激しい戦いの後に光のメイシスが闇のイルバスを打ち破り世界に平和をもたらした事になっているのだ。


アンリルは心躍り頭の中であれこれ仮説を立ていた。その表情は出掛ける日が待ち遠しい子供のようであった。


「なんだか楽しそうですね?」


サリアが思わず聞いてしまう。


「そうね!もしかしたらもうすぐ〈闇と光の物語〉の真相が分かるのよ。私も色々な文献を読み漁ったけど戦いについては色々憶測があってはっきりしないのよ。

それがはっきりするなら・・・それは楽しみよ!」


アンリルはミハエルを期待の眼差しで見ると

ミハエルは自信無さそうに答える。


「ははっ・・そうだね。もし見れたら話すよ。」


ミハエルは返事をするが身体にずっと違和感を感じていた。


なんだろう・・嫌な感じはしないけど・・胸の奥が落ち着かないな・・・




「ふふ・・ねえ、イルバス・・・気付いてる?」


「ああ、分かってる・・・まさかと思ったよ・・・あの日の再来だな・・・」


「ふふ・・街には“私達”の思念が今でも強く残ってるわ。きっと・・・ふふ・・」



ミハエル達はイルシスの街まで後少しのところまで来ていた。街に近付くにつれてミハエル胸の騒めきが強くなって行く。


なんだろう・・この感覚は・・まるで街が僕達を呼んでいるような・・


・・・早く・・

・・・来て・・


「ん?!・・今なんか言った?」


アンリルが辺りを見渡すとサリア、ライナード、カリンも不思議そうに辺りを見渡す。


「私は何も言ってないけど・・・何か聞こえたわ・・気のせい?」


「僕も聞こえた・・・なんだろう?」


「うん・・私も聞こえた・・でも・・嫌な感じゃなかった・・・」



この様子をミハエルは眺めていた。


確かに聞こえた・・一体何が起こっているんだ・・・この感覚と何か関係あるのか・・・?悪い感じはしないけど・・・


皆が疑心暗鬼の中イルシスの街に到着するのであった・・・



アンリルが馬車から飛び降りる!


「さあ!行くわよ!!神話の真実へ!!」


街の入り口で腰に手を添えて夕日をバックにイルシスの街に指を差す!!


アンリルさん・・・凄く張り切ってるね・・

余程楽しみなんだね。


ミハエル達が街の入り口に来ると見るからにいやらしい目をした男達4人が酒を飲み屯っていた。


「おー!お姉さ様方!!ここを通るには1人金貨1枚だぁぁぁ!!ガキも合わせて金貨5枚だぁ!!払わなければ・・俺達の相手をしてもろうぞぉぁぉぉ!!ひゃぁはっはっはっぁぁ!!!」


案の定絡んでくるが取り敢えず無視しているとアンリルが楽しい気持ちに水を刺されたらしく入り口の前でヘラヘラしている男達に歩み寄って行く・・


「邪魔よ!!消えなさい!・・さも無いと・・ふんっ!!」


アンリルの蹴りが男の股間を蹴り上げる!


ずばきっ!!


「ぐごおぉぉぉぉぉ!!!」


男は激痛のあまり股間を押さえて転げ回る!!


「こうなるわよ?!素直に道を開けた方が身の為よ?今日は気分がいいから見逃してあげるわ!」


「てめぇ!!いきなり何しやがる!!俺達はグラム一家だぞ?!ただじゃすまさねぇぞ?!」


男達がいきり立つがそんな事お構い無しに男の股間を蹴り上げる!


ずばきっ!!


「おごぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


デジャヴのように男が股間を押さえて転げ回る!


「ふん!知らないわよ!さあ!道を開けないとどんどん行くわよ!!」


アンリルは入り口に向かって歩いて行く。その後ろを幼虫のように丸まって呻いている男達を横目にミハエル達はついて行く。


男達は心なしか内股になり後ずさって行く。



やれやれ・・相手が悪すぎるよね・・・馬鹿な人達だよ。・・ん?!・・・誰か来るね・・まあまあ強い・・・でも・・何処かで・・・


ミハエルはアンリルの背中を突く。


「アンリルさん。まあまあな奴が来るよ・・」


「ん?そうなの?でも大丈夫よ!」


アンリルが気配に気付いて見ると街の入り口から酒瓶を持ったほろ酔いの男が出て来た。


「おっ!なんの騒ぎだ?!・・おー!綺麗どころが揃ってるな!!俺も混ぜてくれよ!」


内股で立つ男達の肩に抱きつく!


「おい!!止めろ!!・・・って!バイザックじゃねーか!!いい所に来た!!

あいつら!入場料を払わねーどころか奴らにハンとバーグがやられたんだ!お前用心棒だろ?!あいつらを何とかしろ!!」


男達は頼んだとばかりにバイザックの後ろに回る。


「うん?あぁ・・お前らあの女子供にやられたのか?しょうがない奴らだな・・・どれ・・・」


バイザックは前に出て夕日をバックに立つアンリルの顔をよく見ると酔った目の焦点が段々と合ってくる。



んんっ?!何処かで・・・ああっ!!!ま、まさか・・ぶっ!!ア、アンリル・・・ま、待て・・と言うことは・・・この力は・・・


バイザックはガチガチに緊張しゆっくりとアンリルの後ろに目をやると・・・ミハエルと目が合ってしまう。


げっ!!やっぱり!!何故こんな所に・・・こ、これは・・・ヤバイ・・


バイザックはゆっくりと回れ右をするといきなり男のおでこに頭突きを見舞った!!


ごごぉん!!


「あぐっ!!いでぇ!!!何しやがる!!」


「お前らは馬鹿かぁぁぁ!!あのお方を誰と心得る!!クラインド王国では知らぬ者無し!〈真実の剣〉S級冒険者!泣く子も寝たふりをする!歩く環境破壊者アンリルさんだぞ!!お前ら死にたいのか?!丁重にお迎えしろ!!」


(なんか後半悪口だったような・・・)


ライナードが呟く。


「な、何だと?!あのアンリルか?!森に入れば焼け野原に、湖に行けば水が干上がるあの歩く災害アンリルか?!」


「そうだ!!あの暴君アンリルだ!!いいか?!怒らせるなよ・・・ここは笑顔で道を開けるんだ・・・」


男達は街の入り口の脇に笑顔で一列に並んだ。


「ようこそイルシスの街へ!!」


バイザックがチラリとアンリルを見ると何故か目が座り目尻がピクついていた・・・


「ふっ・・ふふっ・・言いたい事言ってくれたわね・・・誰が歩く爆弾よぉぉぉぉ!!!〈ウィンドブラスト〉ぉぉぉぉぉ!!!」


放たれた空気の塊がバイザック達を吹き飛ばす!


「うぎゃゃゃゃ!!!!」

「そんな事言ってないぃぃ・・・」

「たーすーけーてぇぇぇ・・・」


ま、まぁ・・似たようなものだけどね・・


ミハエル達は顔を見合わせて笑うのだった。


皆様の評価、感想をお待ちしております。

よろしくお願いします。

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