第71話 親の顔
セルフィア王はよろよろと立ち上がり玉座に向かって歩き出す。
玉座にたどり着くと、どさりと玉座に身体を預けた。
「き、貴様・・・このわしに何をした・・?!」
疲れ切った顔でミハエルを睨む。
「王様には戒めの魔法をかけました。王様が人々の自由を理不尽に奪わなければなんともありません。
だけど・・・自分の欲求や意地を振り翳して理不尽に人々を縛るならその代償が降り掛かります。お気を付けて・・・」
ミハエルは真剣な眼差しで少し〈威圧〉を込めてセルフィア王の目を見る。
「くっ・・・ど、どう言う事だ?!訳のわからん事を!そんな魔法があってたまるか!!と、とにかく貴様らはこの国から出す訳には行かんのだ・・・ぐっ・・ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
突然セルフィア王が胸を押さえて苦しみ出し玉座から転げ落ちる!!
がたたっ!!
「うごぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!ぐばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
セルフィア王はのたうち回り叫び散らしていた。
「王様。そう言う事ですよ。これから理不尽に人の自由を奪う度にそうなります。
もう一度言います。・・お気を付けて・・」
ミハエルがセルフィア王を一瞥してサリアを見ると口を開けたまま呆然としていた。
「こ、これが・・古代魔法・・・初めて見ました・・・ミハエル君・・改めてよろしくお願いします。」
サリアはまだ理解が追いつかずに笑顔がぎこちなかった。
「うん!よろしくね!さてと・・お使いも終わったし帰ろう!!」
ミハエル達は踵を返して出口に向かおうとすると不意に背後から声をかけられる。
「待ってください!!」
振り返るとそこには年配の女性と若い女性がセルフィア王の側にいた。
「私は妻のゼルビアです。この子は娘のルビア。この度のクラインド王国への非礼を王に代わり謝罪致します。」
王妃と王女が並んで頭を下げる。
ミハエル達は突然の事で言葉を失っていた。
「あっと・・えっと・・・分かってくれたらそれでいいのよ・・・ク、クラインド王には伝えておくわ・・」
アンリルがしどろもどろで答えると娘のルビアが事あろうに胸を強調したドレスでミハエルの前に跪いた。
ミハエルの目の前にふくよかな深い谷間が迫る!
おっふ・・・
「ミハエル君だったわね。父の事、私からも謝罪するわ。ごめんなさい。貴方の言っていた事は私も思っていたの。だけど父が聞き入れてくれなかった・・・だから皆んな父を嫌い出て行ってしまったの。
だけど・・・勝手な事を言うようだけど・・父を許して欲しいの。確かに頑固で勝手で我儘で意地っ張りで負けず嫌いで人の言う事も聞かなくて足も臭いけど・・私には優しい父なの。」
(うっ・・ルビア・・・そ、そこまで言わなくても・・・)
セルフィア王は娘の本音に少し凹む。
ミハエルはさりげなく谷間を視界に捕らえて母ソフィアの事を思い出す。
セルフィア王も親としての顔は普通の人と変わらないって事か・・・自分の親が苦しんでいるのは子供としては見ていられないって事だね。・・なるほどね・・まあ・・いい物を見せてもらったし・・・
ミハエルはルビアの耳元で囁く。するとルビアの顔がパッと明るくなりミハエルをそっと抱きしめるとミハエルはふくよかな谷間に埋め込まれた。
おっ・・ぶっ・・・
「ミハエル君・・・ありがとう。」
ミハエルは黙ってルビアの抱擁を息の続く限り堪能するのであった・・・
そしてその姿をアンリルとサリアがジト目で眺めていた・・
((ミハエル君・・・))
「ぶはっ!!・・ふはぁ・・・」
ミハエルはルビアの胸から解放されると満足気に笑う。
「ルビアさん。そう言う事だから後はお願いします。」
「ありがとう。もし次に来る時は私にも魔法を教えてね。」
「うん。じゃあまたね!」
ミハエルが手を振りながら歩き出すとアンリル達も出口に向かって歩き出した。
アンリルがミハエルを肘で突く。
(ねえ、ミハエル君・・あの子になんて言ったの?)
(ん?あぁ、魔法の効果は1日だけにしたからその後は任せたよって。もしまた同じ事をしたら次は死ぬまで効果が続くようにするからって言ったの。)
(ふーん。おっぱいの大きい子には甘いのねぇぇ・・)
(えっ・・そ、そんな事ないよ!!)
すると反対側からサリアが肘で突く。
(いえ!おっぱいに挟まれてミハエル君の顔が満足そうにニヤけていたわ!・・・なんか・・・嫌・・)
(だから・・違うって・・・)
謁見の間を出てからも2人にいじられ続けるミハエルであった・・・
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