第6話 覚醒
『お母さん!!村の中に悪い人がいるよ!!
・・・2人・・すぐそこにいる・・。』
ミハエルが悪意を感じ取りソフィアの袖を引っ張る。
ソフィアは部屋の隅にミハエルを抱えてじっとしていた。
『大丈夫よ。村長さん達がやっつけてくれるわ!皆んな強いんだから!』
すると突然外から女の子の悲鳴が聞こえる!
『やだぁぁぁぁ!!!お母さーーーん!!!
助けてぇぇぇぇぇ!!!!』
『ニーナを離して!!!!きゃぁぁぁ!!』
『うるせぇんだよ!!後でたっぷり遊んでやるよぉぉぉ!!!!』
外から最悪のやり取りが聞こえてくる。
ソフィアの頭の中で野盗に襲われたあの日の記憶が甦る。
どうしたらいいの?!私はどうしたらいいの?!このままだと皆んな・・・皆んな・・
ソフィアがパニックになり頭を抱えてしまう。
すると突然入り口の扉が勢いよく開けられる!!
どかぁぁぁ!!
『ひゃぁっはっはっ!!!こんな所にもいたぜぇぇ!!!』
山賊の下っ端が扉を蹴破りにやけ面で入って来る!!
ソフィアはミハエルを抱きしめ山賊に背を向けてミハエルを守ろうとする!!しかし容赦なく山賊が近付きソフィアに手の届く距離に近づく!
するとソフィアのパニックが最高潮になる!
『いやぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
すどおぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!
ソフィアを捕まえようと手を伸ばした山賊が全身をあり得ない方向に捻じ曲げながら壁にめり込んだ。
ソフィアはもの凄い音に我に返り恐る恐る顔を上げるとミハエルの全身から黄金色のオーラが立ち昇り自分の前に仁王立ちしていた。
『ミ、ミハエル・・・あなた・・力が・・』
『・・・許さない・・・お母さんをいじめる奴は絶対に許さない・・・お母さんは僕が守る!・・・あいつらは絶対に許さない!』
ミハエルはゆっくりと壁にめり込んだ山賊に近付き男の足を掴んで引き摺りながら外へ出て行った。
ソフィアは足がすくんで動けずにミハエルの背中を呆然と見ているのだった。
ニーナの悲鳴でガイン達が振り向くとニヤけた山賊の下っ端が幼いニーナの首に腕を回して剣を突き付けていた。
『おぉーと!卑怯なんて言うなよ?!そいつは褒め言葉だぜ!!
早く武器を捨てて門を開けな!!さもないとガキの命はないぜ?!』
『うあぁぁぁぁぁーーん!!お母さーん!!こわいよぉぉぉぉ!!!』
ニーナが泣き叫ぶ。
『ニーナ!!!』
『うるせぇな!!このガキは!!』
山賊の男はニーナの髪を鷲掴みにして片手で持つ。
『止めろぉぉぉ!!くそっ!やられた・・・
・・開けてやれ。』
ガインは眉間に皺を寄せながら仕方なく指示を出すと門のかんぬきが外され山賊団が雪崩れ込んで来る。
山賊団はそのまま武器を捨てたガイン達を取り囲んだ。
『はぁっーはっはっはっ!!!形勢逆転だなぁ?!おい?!
こちは相当痛い目を見たんだ!!取り敢えずお返しと行こうかぁぁぁぁ!!!!
お前らぁぁぁぁ!!やっちまえぇぇぇ!!』
『くっ!皆んなすまない!!・・・ここまでか!!!』
ガイン達が覚悟を決めたその時!
ばびゅん!!
どばきゃぁぁぁぁぁ!!!!
山賊団の頭のすぐ横をもの凄い勢いで何が通過して村の柵に突き刺さった。
山賊団の頭の頬に赤い線が横に伸びて血が流れる。
山賊団もガイン達も何が起きたのか分からず一瞬の静寂の中に立ち尽くしていた。
頭はゆっくりと振り返り飛んできた物を見ると絶望的に全身がねじ曲がった男が柵の間に頭を突っ込んでいた。
『な、なんだ・・・?!何が起こった?!貴様らぁぁぁ!!何をs・・・な、何だあれは・・・』
山賊団の頭がガイン達に振り返り声を上げた瞬間、小さな身体から景色が歪むほどのオーラを立ち登らせた子供が目の前に立っていた。
『ミ、ミハエルなのか?・・・一体何があったんだ・・・』
デイルがミハエルの変貌ぶりに唖然としている。
『・・・許さないぞ・・ニーナに酷い事をしたな?!皆んなに酷い事をしたな?!
絶対に許さないぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
ミハエルは激昂しオーラが光りの柱となりミハエルを包む!
そして光が収まるとミハエルの全身から光り輝くオーラが立ち登っていた。
ニーナを人質に取っていた男が慌てる!
『なっ?!う、動くんじゃねぇー!!!こいつがどうなっても・・・・ぐぶっ!!!』
ばきゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!
次の瞬間ミハエルはニーナを抱え、山賊の男は左腕だけを残して柵に突き刺さっていた。
ミハエルはその腕を握り潰して無造作に投げ捨てる。
『み、見えなかった・・・一体ミハエルに何が起こっているんだ?!』
ガインが呆気に取られる。
『ニーナ。お母さんの所へ行っておいで。』
ミハエルは優しい顔になりニーナを降ろす。
『うん!!ミハエルありがとう!!』
ニーナは母親の元へ走っていき胸に飛び込む!!
『ニーナ!!良かった!!良かった!!』
母親はニーナを大切に抱きしめる。
ミハエルはその光景を微笑ましく眺めるとゆっくりと山賊団に向きを変える。
『絶対に許さない・・・〈フレイム・・ランス〉〈アイス・・ランス〉〈アクア・・ランス〉〈アース・ランス〉・・・』
ミハエルは次々と魔法を発動させる!!
すると空を埋め尽くすほどの魔法の槍が山賊団に狙いを定めていた。
男達は空を仰ぎ立ち尽くす者、絶望感に押し潰され跪く者と様々であった。
『う、嘘・・・ど、同時発動?!それも・・四重発動?!』
『それに無詠唱でこの数・・・ミハエル・・・あなたは一体・・・』
村の女性魔法使い達が驚愕する。
盗賊団の頭ガルドも同じく後悔の波に押し潰されそうになっていた。
最初の攻撃を受けた時にやめておけば良かった・・・このままでは確実に死ぬ・・・どうしたらいいんだ・・。
・・待てよ・・相手は子供だ。・・・背に腹は変えられん・・頭を下げれば・・・
ガルドは恥も外聞もなくミハエルの足元に土下座する!
『ま、待て!!待ってくれ!!お、俺達が悪かった!!も、もうここには来ない!!
だから許してくれ・・・』
ガルドが頭を上げてミハエルの目を見ると言葉が詰まる。
なっ!こ、こいつ・・この目・・子供の目じゃねぇ・・・何d・・
『お前達なんかぁぁぁぁぁ!!!死んじゃえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
(駄目!!!感情を抑えて!!!)
『えっ?!誰?!』
ミハエルが腕を振り下ろすと千を数える魔法の槍がガルド山賊団に降り注ぐ!!!!
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォォォ!!!
『ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・って・・あっ?あれ?!何ともないぞ・・・』
ミハエルは頭の中に響いた声で我に返り狙いを逸らしたのだった。
ガルド山賊団は尻餅をついたまま、大きなクレーターを見て呆然としていた。
『ミハエル!!』
ソフィアが駆け寄り抱きしめる。
『怪我はない?大丈夫?』
ミハエルの身体をあちこち確認する。
『うん。大丈夫だよ!これからも僕がお母さんを守るんだ!!』
ミハエルは無邪気な笑顔でソフィアに抱きつくのであった。
ガイン達は理解が追いつかず立ち尽くしていたがミハエルとソフィアの姿を見て安堵する。
『まぁ、少し話をする必要はあるが・・・とにかくミハエルに助けられたな・・・後はあいつらのお仕置きだな。』
ガインはミハエルの元まで行き頭を撫でる。
『ミハエル。村を守ってくれてありがとう。明日一緒に飯でも食べよう。』
不安気にガインを見るソフィアに何も言わずに頷くとガイン達は歩き出すのだった。
『はぁー・・助かった・・・一時はどうなる事かとおも思ったが・・・よし!長居は無用だ!お前ら帰るぞ!!』
ガルドが立ち上がると背後から肩を掴まれる。
『ほほう・・・?ただで帰れると思っているのか?この阿呆共は!?
メルト村の男達がガルド山賊団を取り囲む。
『えっ?・・そ、その・・まあ・・・なんだ・・す、すまなかったな・・・あは、あはははは・・・』
ガルドは頭を掻きながら力無く笑う・・・
ガインのこめかみに血管が浮かぶ・・・
ぶちっ!!
『ごぉぉらぁぁぁぁぁ!!!2度と悪さ出来んようにしてやらぁぁぁぁ!!!!』
『ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!助けてぇぇぇ!!!!!』
『死ななかっただけ有難いと思えぇぇぇ!!!』
『うげぇぇぇぇぇぇぇ!!!やーめーてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
しばらくの間ガルド山賊団の叫び声がメルト村に響き渡るのだった。
『ミハエルぅーー!!』
ニーナが抱きつく。
『ミハエル!!強いんだね!!助けてくれてありがとう!!・・・ちゅっ!』
ニーナが頬にお礼のキスをして顔を真っ赤にして母親の元に帰って行った。
『あら?ミハエル・・モテモテじゃない?』
ソフィアが冷やかす。
『え?!そ、そんな・・・』
顔を真っ赤にして照れるミハエルであった。
〈?????〉
『ほほう。5歳で私の枷を外したか・・・それも光のオーラとはな・・・。やはり転生しても素晴らしい魂の輝きだ。
それにしても・・さっきの気配は・・何処かで・・
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