第4話 ソフィアの正体
ルイドはメイドに指示を伝えて部屋に戻り頭を抱える。
なんという事だ・・・このままでは私はおろかハイデルン家も危ないぞ!
確か連絡員が来るのは明日か・・・報告は明日するとして・・手遅れになる前に探さなければ!!
ルイドは急いで屋敷を出て行くのであった。
ここは冒険者ギルド応接室
『なんだとぉぉぉぉぉ!!!ソフィア様がミハエル様と一緒に追い出された?!お前が付いていて何をしていた?!何故だ?!捜索は?!』
連絡員のセイルが身を乗り出してルイドに詰め寄る。
『は、はい。申し訳ありません。捜索隊は既に派遣しております。
話によれば鑑定の儀でミハエル様の魔力と称号が無かったとか。
ミランド様がそれに激怒して追い出してしまったようです・・・。』
セイルはソファに身を預けて頭を抱える。
なんと愚かな・・・我が子を能力の有無で追い出したのか・・・?!恐らくソフィア様はミハエル様を庇って一緒に・・・王になんと言えば良いのだ・・・
セイルも2人の子を持つ父親であった。
だから余計にミランドの行動が信じられなかった。
『くっ!ミランド・・人の親にあるまじき行為・・・そのような男だったか・・王も嘆くだろう・・・』
セイルはそう言うと深呼吸をして感情を落ち着ける。
『分かった。この件は王に全て報告する。お前は引き続き捜索を続けろ!いざとなったら王の名を出しても構わん!頼んだぞ!!』
『はっ!!了解致しました。』
セイルからの報告を聴きクラインド王が目を見開く!
『な、なんだと・・・それは誠か?ミランドが・・・そのような事を・・・人の親として信じられん・・・わしの目は節穴だったか・・・くっ!またもやソフィアに不憫な思いをさせてしまった・・・許さんぞミランド!
セイル!ミランドを呼べ!!今すぐにだ!!
それとソフィアの捜索隊を編成しろ!!すぐにだ!!だが、見つけたとしても声をかけるな!!どこに居るのかだけで良い!!』
『はっ!!仰せのままに!!』
セイルはキレ良く扉に向き歩き出す。
(ふっ。知らなかったとは言えミランドは終わったな・・・。)
コンコン。
『なんだ?!』
ミランドが不機嫌な声を出すがルイドは気にせず話を切り出す。
『旦那様、クラインド王国から使者が来ております。いかが致しましょうか?』
ルイドは要件は分かっていたが知らぬ顔で返事を待つ。
『クラインド王国からだと?・・・分かった通せ。』
『はい。かしこまりました。』
ルイドが部屋から出るとミランドは心当たりを思い出そうとするが分からなかった。
一体何の用なんだ?最近変わった事と言えば・・・・ま、まさかな・・・。
一瞬ソフィアとミハエルが頭をよぎるが考えない様にした。
コンコン。
『使者の方をお連れしました。』
『うむ。入ってくれ。』
『失礼致します。』
部屋に入って来たのはセイルであった。
ミランドは気まずそうに目を逸らす。
セイルは構わず要件を話す。
『ミランド・ハイデルン侯爵様、クラインド王がソフィア様とミハエル様の件を詳しく聴きたいとの事です。
今から出立の用意を願います。』
ミランドの1番最悪な予想が当たってしまう。
『セ、セイル!な、何故だ?!お前には悪いと思うが、なぜあの2人の事で王が動くのだ?!』
セイルはミランドを睨みつける。
『クラインド王は相当お怒りだ!詳しい事はクラインド王から聞くがいい。
俺も人の親としてお前の行動は容認出来ん!!覚悟して王の前に立つがいい!!さっさと用意をしろ!!』
ソフィアは王の何なのだ?ソフィアを晩餐会で紹介したのはセイルだ。王の名を出せない理由があったのか?
ミランドは自分のした事を反省する事もなく想像を膨らますだけであった。
そしてモタモタするミランドに痺れを切らしてセイルがブチ切れる!
『クラインド王からの命令だぞ?!何をモタモタしている!!もう待てん!!護衛兵!!連れて行け!!』
ミランドは護衛兵に両脇を掴まれて連れて行かれる!!
『待て!!貴様!!俺にこんな事をしてただで済むと思うなよぉぉぉぉぉ!!!!』
ミランドが精一杯の虚勢を張るが、それも虚しく響くだけであった。
見るからに怒りを露わにしているクラインド王が口を開く。
『ミランドよ!!ソフィアとミハエルを追い出した経緯を話せ!!』
クラインド王は玉座の肘置きを握り潰さんとする勢いで掴む!
ミランドは王の威圧に震えながら俯き汗を垂らす。
『は、はい。ミ、ミハエルは、鑑定の儀で魔力も称号もありませんでした。
そ、それでは国家に貢献が出来ません!!ですから追放しようとした所ソフィアが邪魔を・・・・』
そこまで聞いてクラインド王の怒りが爆発する!!
『愚か者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
貴様はそれでも人の親かぁぁぁぁぁぁ!!いつわしが能力の有無で我が子を追放してまで国に貢献しろと言ったぁぁぁぁ!!!
貴様は自分の見栄と保身で妻と子供を追い出したのだぞ?!恥を知れぇぇぇ!!!
ソフィア達に何かあったら貴様ぁぁぁぁ!!!ただでは済まさんぞ?!』
王は鼻息荒く目を見開きミランドを見下ろす。
ミランドは王の激昂に肩をびくつかせ俯くばかりであった。
しかしミランドはどうしても知りたかった。
ソフィアの正体をクラインド王との関係を。
『クラインド王!教えてください!そこまでソフィアに肩入れする理由を!!ソフィアは何者なのですか?!』
ミランドはたかが貴族の夫婦の問題に王自ら関わってくるのが納得出来なかったのだ。どの道厳しい処分が待っているのは分かっているがその前に知っておきたかった。
クラインド王は目を細めてミランドを見据える。
『貴様、反省するどころか興味はそこか?!
・・・いいだろう。教えてやろう。』
王は息を整えて語り出した。
『あれは、わしが若かりし頃森でレベルを上げるべく狩をしておった。
しかしそこで〈キングボア〉に出会ってしまったのじゃ。
護衛達も歯が立たず〈キングボア〉がわしに向かって突進して来たのじゃ。
その時、身を挺してわしを救ってくれたのがソフィアの父親ハイド殿であったのだ。
しかし残念な事にハイド殿はそこで命を落としてしまったのじゃ。
母親がいないソフィアが父親に縋って泣いていた幼い姿が今でも忘れられん・・・。
ここからは貴様も知っている話だ。
村の若い夫婦がソフィアを育てたいと名乗り出てくれたのだ。
しかしソフィアが成人したその日に野盗共が村を襲ったのだ。
駆けつけた時には既に遅かった。
だがその夫婦は村の子供達とソフィアを地下室に隠して地下室への入り口を守るように亡くなっておった。
ソフィアは2度も親を失ったのだ・・・・。
わしはソフィアに幸せになって欲しくてセイルを仲介としてあの晩餐会に参加させたのだ。
わしの名を出せば利用しようとする輩が寄ってくるからの。
あの時、貴様がソフィアの身分や過去を聞いても変わらぬ気持ちにわしはお前にソフィアを任せようと思ったのじゃ・・・それを・・・見事に裏切ってくれたな・・・またソフィアに辛い思いをさせおって・・・貴様・・絶対に許さんぞ・・・沙汰があるまで牢で反省しておれ!!連れて行け!!』
ミランドは後悔の波に押し潰されそうになっていた。
知らなかった・・・なぜソフィアはそんな大事な事を言わなかったんだ!!
知っていれば・・・知っていれば!!
無能なガキでも飼ってやったのに・・・くそっ!全部ソフィアが悪いんだ!
こうなったのは全部ソフィアのせいなんだ!!許さんぞ!!絶対に許さんぞ!!
ミランドは苦虫を噛み潰したような顔で連れて行かれるのであった。
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