第38話 課外授業
「そう、アンリルさんの子供じゃなかったのね・・・。」
「そうなんだよ。全ては誤解と勘違いで冒険者達が広めた迷惑な噂だよ。」
「でも!賢者アンリルが護衛なんて凄いわよ!!」
「そうよ!今度の休みにお家に行ってもいい?」
ミハエルはやっと賢者アンリルが母親ではないと伝える事ができたのだ。そしてウィンザード三姉妹に囲まれて談笑している。
するとラミエル先生が教壇に手を付いて大きな胸を揺らす。
「さあ!皆んな席に着いて!!今日はAクラスと合同で親睦を深める為に課外授業を行います。」
おお!課外授業かぁ・・・楽しそうだな。やっぱり学園生活はこうでないとね!
「Sクラスの皆んなにはAクラスの20人を4班に分けて各班のリーダーをしてもらいます。」
「えぇ?!リーダー?!なんだか疲れそう・・・」
三女のルミナが愚痴を言いながら項垂れる。
「大丈夫よ!ちゃんと引率の先生が付いて行くわ!それにこれはリーダーになる為の練習でもあるのよ!さあ!これが班の振り分けよ!!」
ラミエル先生が振り分けを読み上げる。
1班はミハエル君。
2班はアスラン君。
3班はフェリスさん、メリルさん、ルミナさんの3人。
4班はネバル君とヴェイグ君。
「色々とイベントを考えてあるからしっかりお願いね!!」
「良かったぁぁ!私達は一緒なのね!!それならなんとかなりそうね!!」
いきなりリーダーか・・・5人の子供達のリーダー?これは・・・大変だぞ・・・
「ふん!ガキ共のリーダーか!まあ、俺がリーダーとはどういうものか教えてやるぜ!!なあ!ネバルよ!」
ヴェイグがネバルの肩を無理やり組んでにやけている。
・・・リーダーって何をするんだ?!どうしたらいいんだ?!
まぁ、ヴェイグがやる気満々だからやらせておくか・・・
「あぁ頼むよヴェイグ。」
ネバルはいつでも姉の後ろを付いて歩いていた。それは何歳になっても変わらず何をするにも姉に頼っていたのだ。だから1人では何も出来ないのだ。
ミハエルはふとアスランに目をやるとアスランは難しい顔をして考え込み筆を走らせていた。
「アスラン君どうしたの?」
「あ、あぁ、僕はどうしたらいいんだ?僕が弟子を取るなんて・・・まだまだ僕は未熟者なのに・・・」
アスランは頭を抱えて事態を重く受け止めていた・・・
がたっ!!
ミハエルは苦笑いをしながらコケた・・・。
「アスラン君・・弟子じゃないよ!皆んなのまとめ役だよ!
先生の指示を伝えたり意見をまとめたりするんだよ!
だからその特訓メニューはいらないよ!!」
アスランは弾かれたように書いていた手を止める!
「えっ!そうなの?!・・てっきり剣技の指導をするものだと・・・だったら僕はどうしたら・・・」
しかしアスランはさらに難しい顔で考え込んでしまった。
うーん・・・天然真面目脳筋アスラン・・・か。
Aランク教室side
Aランク教室も〈神の使人〉の集まったクラスである。ただし・・・名も無い〈神の使人〉である。
武神や闘神、魔法神と言った名前が無い〈神の加護〉を持った者が集められている。
そしてここには生産職が多いのである。
「という事でSクラスと合同で課外授業を行います。
リーダーのSクラスに付いて親睦を深めてください。」
ジュリアン先生がそう言うと生徒達がざわつき始める。
それもそのはず毎年Sクラスは忌み嫌われ評判が良くないのである。
「えー!Sクラスの子達って乱暴な子が多いって噂だよ?大丈夫かな・・・」
「そうそう!ただ強いだけで戦う事しか出来ない奴だってお父さんが言ってたよ!」
「それに貴族が多いから威張ってるって言ってた!」
皆が不安を口にする中男の子が立ち上がる!
「でも俺たちだって神に選ばれたんだ!Sクラスの奴らに俺たちの力を見せてやろうぜ!!」
「そうだね!僕達だってSクラスが出来ないことが出来るんだから負けてないよ!」
「よぉし!!Sクラスの奴らに負けないぞ!」
「「「「「おーーーーーー!!!!」」」」」
Sクラスの担任ラミエル先生が子供達の前に立つ!
「皆んな!これから南の森へ行きます。そこは校長先生が防御結界を張ってくれたので危険はありません。
ですが防御結界の外には絶対に出てはいけません!いいですね?」
「はーーーーーい!!!」
「うん!よろしい!!」
「それでは事前に決めた班に分かれて馬車に乗ってください。」
・・・くくっ。絶対出るなと言われたら・・でたくなるのが普通だよな・・・小声でネバルの顔を覗く。
えっ?・・・そ、そうだね・・はは・・
(ね、ねえ。や、やっぱりSクラスは雰囲気が違うね・・・)
(そ、そうだね・・なんかオーラが違うよね。さっきから皮膚がピリピリするんだよ・・・)
学園の入り口に4台の馬車が用意され皆が緊張な面持ちでそれぞれの馬車に乗り込み出発するのだった。
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