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第21話 ミハエルが村を出ると 3

『・・・ぇぇぇぇえええ・・・』


『んんっ?な、なんだ?!何か来るぞ!!気を付けろ!!』


すどぉぉぉぉん!!!

ずざぁぁぁぁぁぁ!!!!


ガインが身構えると村の柵を越えて男が顔面から着地しボロ雑巾の様に転がる・・・。


それを見たグランが目を丸くして馬から飛び降り転がる男に駆け寄る。


『ゼル!!!どうした!?何があったんだ?!』


衝撃で微かに意識を取り戻したゼルはボロボロの顔をグランに向ける・・・


『だ・・だめ・・だ・・この・・村は・・・おか・・しい・・・ごほっ!ぐっ・・手を・・出し・・たら・・・だ・・め・・だ・・・ぐふっ!』


ゼルはそのままガクッと意識を失った・・・


な、なんだと?!ゼルがやられたのか?!あのゼルが?!それも予備戦力に?!・・・何故だ?!・・この村は一体・・・


グランは理解が追い付かずに混乱していた。


そしてガインは細く微笑む。


こいつが3人目の〈神の使人〉か・・・皆がやってくれたんだな・・・ほっとしたぞ。

よし!そうと分かれば・・・


『ふう。グ・ラ・ン・殿?もうそろそろ始めてもいいか?俺達も暇じゃ無いんでな!!』


するとグランが弾けた様に顔を上げて我に返る。そして盛大に目が泳ぎ出す・・・


『は・・・ははっ・・じょ・・冗談!そう!!冗談だっ!!わっはっはっ!!ガイン殿ぉぉぉぉ!!!びっくりしただろう?

わーっはっはっはっは・・・・・』


ガイン一同がこめかみを引き攣らせながら肩を震わす。


『ほほう?・・・この忙しい時に・・俺をびっくりさせる為だけに総出でやって来て・・・剰え〈神の使人〉を村に忍び込ませたと言う訳か・・・・・ふっ!これは一本取られたな!!!あっはっはっはっは・・・』


ピキッ!!

ガインのこめかみに青筋が浮かぶ。


『・・・ってなるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!全員纏めてぶっ飛ばせぇぇぇぇぇ!!!!』


『『『『おおう!!!!!』』』』


メルト村の血の気の多い男達が四方八方から襲い掛かる!!


『ふざけやがって!!覚悟しやがれ!!!』


『ごぉらぁぁぁぁぁぁ!!!!〈神の使人〉なんざ怖くもなんとも無いんだよ!!!!


ミハエルのスキルによって鍛えられた男達は〈神の使人〉でも問題無く圧倒出来るようになっていた。



『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!もう悪さはしないから勘弁してくれぇぇぇぇぇぇ!!!』


『うるせぇぇぇ!!!!そんなもん信じるかぁぁぁぁ!!!徹底的にぶちのめしてやるわぁぁぁぁぁぁ!!!!』



『ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!やーーめーーてーーーーーー!!!!!』


グランの叫び声が森に響き渡り、グラン山賊団はこの日を持って壊滅する事となったのだった・・。




村に戻り屋敷で報告を聞いたガインが眉を顰めている。


『何?!村に忍び込んだ〈神の使人〉はお前達が倒したんじゃ無いのか?!』


『面目ない・・・忍び込んだ事さえ知らなかったんだ・・・〈索敵〉には全く反応が無かったし・・』


村の守りを任されたレイルが頭を掻く。


『じゃあ誰が・・・』


ガインの脳裏に子供達が円陣を組んでいた記憶が甦る・・・


ま、まさか・・・あの子達が・・・


『レイル!!急いでニーナを探して連れてくるんだ!!』


『は、はい!!』

レイルは訳も分からず返事をして屋敷を出て行った。


俺の想像が正しければ・・・ミハエル・・・お前の仕業か・・・



まさにその通りであった・・・


ニーナは以前人質に取られて村の皆んなに迷惑を掛けたのが悔しくて仕方なかったのだ。

そこでミハエルに頼み込んだのだ。私を強くして欲しいと。

それを聞いていた村の子供達も集まり纏めて面倒を見る事になったのだった。

ミハエルも最初は村の為だと思い協力したのだが・・・・


後にミハエルは反省する事になる。

ひたむきに頑張っている子供達を見て心を打たれ・・・やり過ぎたのである。

レベル100になるまで〈ステータス上昇値1000倍〉を使ってしまったのだ。

気づいた時には既に遅く村の大人達よりも遥かに強くなっていたのだ。

仕方なく力の制御が出来るように自分用に作った〈ステータス1/10減〉を付与した指輪を三個づつ渡して必要な時にだけ外すようにと約束した。

更に特殊なスキル対策に用意した使用者限定の指輪を渡してニーナ達が無茶な事をしても守れるようにしたのだ。


これでメルト村はこの世界で最強の村になってしまった事をまだ誰も知らない・・・



『村長さん!!なんですかぁ?』

ニコニコしながらニーナが入り口からひょっこり顔を出す。


『おっ!来たな!少し聞きたい事があるんだ。こっちに来てくれ。』


ガインも微笑みながら手招きをする。


〈鑑定〉・・・


ニーナ

Lv 348

【称号】拳闘士


攻撃力 2076

防御力 1765

素早さ 1854

魔力  270

魔法力 550


【加護】〈闘の加護〉


【スキル】〈アイテムボックス〉〈鑑定〉〈悪意感知〉〈体術の極意〉


【装備付与】〈ステータス1/10減〉

      〈ステータス1/10減〉

      〈ステータス1/10減〉

      〈経験値10倍〉

      〈ステータス上昇値10倍〉

      〈全状態異常無効〉


くっ!やっぱり・・この歳でレベル348・・んん?

それにしては・・ステータスが低い?・・んんんっ?

【装備付与】?!・・・〈ステータス1/10減〉が3つ・・・ま、まさか・・・つまり・・攻撃力・・・200万?!

おいおいおいおいっっっ!!!俺達が束になっても勝てんぞ・・・


ガインは笑顔を引き攣らせながらニーナの指にはめられた6個の指輪を見る。


な、なるほど・・アレで普段の力の制御をしている訳か・・・あっはっはっは!!これは参ったな・・・・ってなるかぁぁぁぁ!!!


ガインが険しい顔をしながらミハエルにツッコミを入れているとニーナが目の前で首を傾げる。


『村長さん?大丈夫?』


『お、おう!!大丈夫だぞ!!・・えっとだな・・・今日、村の中で知らない人に会わなかったか?』


ガインが恐る恐る聞くとニーナは笑顔になる。


『うん!!会ったよ!!山賊の仲間で〈隠密〉スキルで〈索敵〉に出ないの!!

だからぁ、だからぁ、〈悪意感知〉で見つけてぇぇぇ、皆んなで村の外にぶっ飛ばしたのぉぉ!!凄いでしょぉぉぉ!!えっへん!』


ニーナは腰に手を添えて褒めてと言わんばかりに笑顔で胸を張って見せる。


『ふっ・・・』


ガインはニーナの笑顔に釣られて笑い、ニーナの頭を撫でてやる。


『そーか!!あいつはニーナ達がやっつけてくれたのか?!

良くやってくれたな!!助かったぞ!!』


『えへへへ・・・これからも私達は村を守るのぉぉぉ!!!』


『そうか!でも無茶な事はしないでくれよ?』


『了解!!』


ニーナは可愛く敬礼して小走りで屋敷を出て行った。

ガインはニーナの笑顔の余韻に浸り背もたれに身を預ける。


ふっ・・・まあ・・いいか。子供達が笑顔なら・・・悲しい顔をされるよりマシだな。


ガインはニーナの笑顔を肴に酒を煽るのだった。

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