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第168話 古龍四柱

「コホン。まず・・この世界が出来たと同時に創造神ゼムビウス様が〈炎帝龍アグニシア〉〈氷帝龍クラシリア〉〈風帝龍シルフェリア〉〈地帝龍グランベリア〉の四体の古龍をこの世界に召喚したの。この古龍四柱の役目はこの世界の環境を維持し護る事よ。そしてこの古龍達が目醒める時はこの世界の環境に激しい変化があった時と古龍達に外部から何らかの干渉があった場合よ。その他は気まぐれで目醒める事もあるわ。だけど〈炎帝龍アグニシア〉が目醒めたのは今から約400年前・・・気まぐれでも大体600年は目醒めないはずよ。これは龍峰山で何かあったかも知れないわね。ちなみに古龍達は地上の争いや戦争には関与しないわ。こちらから何もしなければ危害を加える事はない筈よ・・・って・・あら?どうしたの?ぼーっとして?」


イグにとっては当然の話であったがミハエル達にとっては初めて聞く事実に思考が付いて行かずにポカンとしていた。


(せ、世界を護る古龍?!この世界は古龍によって護られてる?!そんな話・・初めて聞くよ・・・だけど面白そうだね・・会ってみたいな・・・)


「う、うん・・ちょ、ちょっと世界の理に触れて感動してたんだ・・・そ、それでその古龍・・炎帝龍アグニシアが目醒めると何が起こるの?」


イグの話を喰いいるように聴いていたミハエルが興味津々で身を乗り出す。


「・・・特にこの世界に害がある訳ではないけど〈炎帝龍アグニシア〉の場合は灼熱の波動が広り世界の気温が上がるわ。当然付近にいる魔物達は堪らず火口付近から離れて麓に逃げてくる事になる。ただ・・・この目醒めが悪意のある他からの干渉だった場合が問題よ。〈炎帝龍アグニシア〉を怒らせる事になれば・・・数日でこの地上から生物が消え去る事になるわ・・・古龍達にとって人間も魔族もどんな種族であっても地上に生きる者は獣や魔物と同列なのよ。だから例え地上から生物が消えようがまた環境を整えれば生物はまた誕生するわ。また一から始まるだけの事なのよ。だから古龍達にとって地上に生きる矮小な生き物が眠りを妨げ干渉してくるなんて屈辱でしかないのよ。」


「そ、そんな・・・いきなりそんな事言われても・・想像がつかないわよ・・・」


「だけどそれが本当なら龍峰山に隣接する国は真っ先に滅ぶ事になるんだよな?!」


カリンとライナードが焦りを覚える。そんな時ミハエルと同様に唖然としていたセイルは記憶の隅にあった文献の一説を思い出していた。


「・・・世界の理を守護する者・・『世界の護り手』か・・・てっきり信仰から来る妄想の類かと思っていたが・・・よもや実在していたとは・・・」


「お、おい!皆んな何を言っているんだ?!そ、そんな話信じれるかよ!この世界が龍に護られてる?!そんな存在見た事も聞いた事もないぞ?!」


リベルトが思わず立ち上がって声を上げるがイグは眉ひとつ動かす事なく口を開く。


「ふん!あんたがどう思おうが知らないけど神界では当然の事よ。それにこの地上でも数は少ないけど口伝や古文書にもそれらしい事が謳われているわ。流石に古龍達の名前までは出て来ないけどね。」


「くっ・・馬鹿な・・・って、・・・神界って何だよ?!」


「リベルト王子。落ち着いてください。確かにイグ殿の言う通り獣王国バルバードの一部の民は龍峰山には自国の守護神が居ると崇めています。今の話からして何らかの口伝が残っていると思って良いでしょう。それと最初にミハエル君の紹介でイグ殿は神界から来たと言っていましたよ。」


「えっ?」


リベルトが目をパチクリさせてイグの顔を改めて見るとイグは悪戯っぽく少し呆れ顔でリベルトを見ていた。するとイグの顔を見てリベルトの頬が薄らと赤くなる。


「・・・そ、そんな・・・か、可愛い・・・」


ずるっ・・・


意表を突かれて皆の身体がズレる・・・


(て、天然なのか?!天然なのか?!あいつは?!)


(お兄ちゃん!あれはギャップよ!隙のない女性がたまに見せる緩みよ!やるわね・・・さすが神界から来ただけはあるわ・・・)


(か、関係ないと思うけど・・・な、何だろう・・・緊張感のある話をしていたはずなのに・・何とかなるような気がしてきたよ・・・)


「リベルト王子!何を言っているのですか?!」


セイルの声にリベルトがはっと我に返る。


「い、いや・・そ、その・・あ、あれだ!!し、神界・・・って神の世界だよな・・・んっ?!ちょ、ちょっと待てよ!!お、お前ら何であっさり受け入れてるんだよ!!何で普通に話しをしてるんだよ!!神界だぞ?!神の世界から来たんだぞ?!な、なんか・・も、もっとこう・・・驚いたりあるだろう?!」


リベルトが立ち上がったまま興奮するが一同は顔を見合わせて肩をすくめる。


「リベルト王子。落ち着いてください。」


「い、いやしかし・・・」


「王子・・よく考えてください。ミハエル君達は光の使徒なんですよ?神界から逃れてきた暗黒神ルビラスを止める為にこの世界に生まれて来たのですよ?それにカリンちゃんは〈大冥界神ハーデス〉の娘の生まれ変わりです。それを考えたら・・・少しは驚きましたが大騒ぎする程の事ではありません。」


「あ・・・そ、そうか・・よく考えたらそうだったな・・・すまん・・取り乱した・・・」


リベルトが頭を掻きながら座ると次はイグは目玉が転がり落ちるかと思うぐらい目を見開き立ち上がりテーブルに手を付く。


バァァン!!


「な、ななっ・・・なんですってぇぇぇぇぇ!!!!!ひ、光の使徒ぉぉぉぉぉ?!大冥界神ハーデス様の娘ぇぇぇぇぇ?!?!?」


「わっ!!!び、びっくりした・・・イグさんどうしたの?」


「ど、どうしたもこうしたもないわよ!!あなた達が光の使徒だったの?!そ、それに・・・」


イグがおどおどとカリンに目を向けると流れるようにカリンの足元に土下座する。


ざざっ!!


「な、何よいきなり?!」


「も、申し訳ございませんんんんんん!!!だ、大冥界神ハーデス様の御息女とはつゆ知らず生意気な口を聞いてしまってお許しをぉぉぉぉぉぉ!!!」


ぐりぐりぐり・・・


イグが床に頭を擦りつける。


(あら・・・さっきも見たわね・・・この土下座・・・)


「も、もういいわ!別に何もしないわよ!」


カリンが引き気味に答えるとイグはチラリと上目遣いでカリンの顔を見る・・・


「あ、あの・・立ち上がったら”ふははは!許す訳ないだろう!!”とか言って冥界に堕とされたりは・・・」


「無いよ!!まあ・・堕ちてみたいなら堕としてあげるけど?どうする?」


「ひゃい!!大丈夫です!!失礼致しました!!」


イグは慌てて一瞬で立ち上がり背筋を伸ばす。するとリベルトが何か言いたげに立ち上がろうとするがその前にセイルが立ち上がる。


「・・・か、かわ・・・」


ガタンッ!!


「よ、よし!!かなり脱線してしまったが・・ミハエル君、このままスレイド王国に行って国王に謁見してくれないか?既に話は通してあるから心配いらない。それにイグ殿の話では一刻を争うようだからね。」


セイルがリベルトを制すように言葉を続けるとリベルトはタイミングを逃して座り直した。


「セイルさん。分かりましたすぐに用意します!ちょっと待ってください。」


ミハエル達は身支度をする為に席を立った。その時であった・・イグの頭の中に声が響いた・・・


(・・・イグ。聞こえますか?)


(えっ?!ラ、ラルフェラ様?!)


(そうよ。ドルゲルの神の称号を剥奪しました。しかし転移門を使って地上に逃れましたのです。貴方の子供達は保護しています。もう貴方を縛る者はいません。)


(えぇ?!ドルゲルが?!・・・ラルフェラ様!ありがとうございます。ですが・・地上で〈炎帝龍アグニシア〉が目醒めたようです。ですから調査を継続したいと思います。よろしいでしょうか?)


(何ですって?!炎帝龍アグニシアが?!確かに目醒めが早いわね・・分かったわ。引き続き調査をお願い。)


(はい。分かりました。)



「・・・イグ殿?どうかされましたか?」


セイルが直立不動で虚空を見つめたままのイグに声をかけるとハッとしてイグがセイルに目を向ける。


「い、いえ。何でもないわ。そ、それより私も付いて行きます。」


「えっ?どうして・・・」


ガタンッ!!


「ぜ、是非!!是非行きましょう!!俺が貴方をお護りします!!」


目を輝かせてリベルトが立ち上がった。


「セイル!イグ殿は神界から来て古龍に詳しいんだ!来てもらった方がいいだろう?!」


(・・・な、何となく不純な動機が見え隠れしているが・・・確かに一理あるな・・・)


「そうですね。イグ殿が良いならば一緒に来てもらいましょうか。色々とご教授して頂けると助かる。」


「えぇ!これで決まりね!」


(はふう・・・調査もあるけどこんな所に1人残されてもこまるからね・・・)

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