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第155話 総攻撃

どごぉぉぉぉぉぉぉぉん!!

ずがぁぁぁぁぁぁぁぁん!!


王宮に何度も衝撃が走り激しく揺れる!ドルビナ皇帝も足元がおぼつかず玉座に座り込んだ。


「な、何だ!!何が起こっている!?報告しろぉぉ!!」


ドルビナ皇帝は訳も分からず声を張り上げる!すると謁見の間に鎧が焼け焦げ顔も煤で汚れた男が足元をふらつかせながら入って来た・・・


「ほ、報告・・・します・・・ッ!!ゴホッ!ゴホッゴホッゴホッッッッ・・・ゲホォォォ・・・はぁ、はぁ・・失礼しました・・い、今・・メ、メルト村の者五人が・・・この王宮目掛けて攻撃を仕掛けています!!」


「ぬぁんだとぉぉぉぉぉぉ!!!」


ドルビナ皇帝は思わず前のめりになり目を見開く!理解が追いつかずふとリーゲルトの言葉を思い出す・・・


”あの者達を怒らせたなら・・・大変な事になります”


「メ、メルト村・・・頭がおかしいのか・・・たった五人で我が帝国相手に戦争を仕掛けるのか?!」


ドルビナ皇帝は玉座で前のめりのまま爆音と振動の中唖然とするのであった・・・




「お、おい!!止まれ!!おい!!何だそのでかい火の玉はぁぁぁ!!ここはドルビナ帝国王宮だぞ!!やめろぉぉぉ!!来るなぁぁぁ!!


王宮の門前にいる腰を抜かしてジタバタする門兵の目には頭上に巨大な火の玉を掲げた大賢者アンリルを先頭に周りの空気を歪めながら向かってくるメルト村一行の姿であった・・・


「や、やめ・・・て・・」


「さあぁぁぁ!!!行くわよ!行くわよ!行くわよぉぉぉぉぉぉぉ!!!これがぁぁぁ開戦の合図よぉぉぉぉ!!とりゃぁぁぁぁ!!」


ずどごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!


アンリルの手から放たれた直径10m程のファイヤーボールは轟音と共に門を吹き飛ばし巨大で頑丈な入口の扉に直撃すると熱風と衝撃波を撒き散らした。焼け焦げた匂いが漂い、目に染みる煙が晴れると王宮の入口は破壊され洞窟の入口のようになっていた。


「な、何をする!?何故こんな事をする?!何か帝国に恨みでもあるのか?!」


門兵が腰を抜かし股間を濡らしながら後ずさる・・・


「そうよ!!もう恨みしかないわ!!そうだ!あんた城の中の関係ない人を避難させなさい!!急ぎなさいよ!!それまで軽く遊んでいてあげるわ!」


「うえっ?!あ・・えっ・・」


「早くしなさいよ!!そら!!〈ウィンド〉!!」


アンリルが放った魔法が門兵を吹き飛ばし王宮の入口に放り込んだ!


そしてアンリル達は大地を踏み締めドルビナ帝国王宮を見上げる。


「さあ!行くわよ!!メルト村を敵に回すとどうなるか見せしめに教えてやるわ!!」


「おう!」

「えぇ!」


「主様!!行きます!!」


カトプレパスが両手を空にかざすと魔力が広がりアンリル達を外界と隔離した。そしてアンリル、ガイン、サリア、フェニックスで王宮へ攻撃を開始する。


「行けぇ!!〈アイスランス〉乱れ打ちぃぃぃぃ!!」


ズドドドドドドドドドドドォォォォォ!!!


アンリルが頭上に手を振りかざすと数百を数える巨大な氷の槍が現れ今までの憂さを晴らすように王宮の城壁を粉砕して王宮の壁に突き刺さる!!


「私も!久しぶりのーー!!〈精霊魔法〉ストーンバレット!!!」


ドゴォォォォォン!!ドゴドゴドゴドゴドォォォォォォォン!!!


サリアが手をかざすと無数に現れた大きな岩石が高速で打ち出され王宮の頑丈な壁を撃ち抜きめり込む!!


「サリア!やるじゃない!!それにしてもこれ気持ちいいわ!!」


「そうですね!なんか癖になりそうです!!」


「わ、私も行きます!!〈ブレイクフェザー〉!!」


トトトトトトトトトトッッッッ・・・


フェニックスが羽を広げて羽ばたくと無数の炎の羽根が王宮の壁のあらゆる所に突き刺さる・・・


アンリルとサリアは突き刺さった炎の羽根を眺めて首を傾げる。


「ねえ・・フェニックス・・・あれで終わり?」


「ふっ・・・これからです。」


パチンッ!


アンリルの問いにフェニックスが不敵に笑い指を鳴らす・・・


ずががががががががががぁぁぁぁぁん!!


フェニックスの合図で炎の羽根一つ一つが爆風を撒き散らし王宮の壁や窓ガラスを粉砕して行く!


「うはぁ!!やるじゃない!!伊達に幻獣やってないわねぇ!!」


アンリルはフェニックスの肩をバシバシ叩く。


「はは・・恐縮です。主様達が凄すぎて影が薄いですが・・・」


(はは・・普通は人間はフェニックスである私に触れる事なんて出来ないはずなのに・・しかも意外と痛い・・・)


フェニックスが苦笑いをしていると怒号が聞こえる。


「貴様等ぁぁぁ!!何をしている!!直ちに馬鹿な真似は止めろ!!」


爆音と衝撃に驚き避難するために出て来た貴族や使用人と共に警備兵が破壊された扉と門を潜りぞろぞろと出て来た。


「貴様等は自分が何をしているのか分かっているのか?!不敬罪でも足りぬ罪だぞ!!」


「これだから下民は嫌なんだ。汚くて野蛮で・・・即刻死罪にすべきだ!!」


貴族達が警備兵の後ろに隠れて好き勝手言っていた。


するとガインがこめかみを揺らしながら自分の仕事だと言わんばかりに100人程の警備兵と貴族の前で魔剣ストームブリンガーを抜き放つ!


「五月蝿ぇぞぉぉぉ!!このくそ貴族共ぉぉぉぉ!!メルト村に戦争ふっ掛けて来たのはテメェ等だろうがぁぁぁぁぁ!!俺達は争うぞ!!仲間を護る為なら貴族だろうが王族であろうが皇帝であろうがなぁぁぁぁ!!文句がある奴は掛かってこい!!お前等の言う下民の恐ろしさを教えてやるぞ!!」


ガインの闘気と気迫に警備隊も貴族達も一瞬言葉を失う・・・


「メルベリア!!合わせろ!!奴等を黙らせる!!」


(あふん・・主様からの激しい呼び捨て・・堪らぬ・・妾はいつで良いのじゃ・・・)


「うぉりゃぁぁぁ!!」


ズバァァ!!!


ガインが袈裟懸けに魔剣ストームブリンガーを振り抜く!


(〈サンダーボルト〉!!〉


ズババババババババババババババ!!!


メルベリアはガインの振りに合わせて電撃を放つと刀身から金色の波動が迸る!!


「グガバババババババババァァァァ!!!」

「ぬぐぶぶぶぶぶぶぶぶぶぅぅぅぅ!!!」


警備隊と貴族達はさっきまでの勢いも虚しくその場で立ち尽くし痙攣し続けるのであった・・・



断続的に爆音と振動に襲われ立っている事も儘ならず玉座に座り脂汗を流している皇帝陛下がいた。


「へ、陛下!!早く避難を!!ここは危険です!!」


アンリルに城へ放り込まれた門兵が跪き皇帝陛下に避難を訴えた。


「ば、馬鹿者ぉぉぉ!!わしは逃げんぞ!!奴等に屈しはせん!!おい!それより我が城には魔力障壁が付加してあるのだろう!!どうなっておるのだ!?」


「は、はい!た、確かに魔力障壁と物理障壁を5重層に掛けてあります!!しかし奴等の魔法・・それも初級魔法でそれを軽々と破って来るのです!!しかし逆に障壁があるからこそここまで持っているのです!!あの者達が遊んでいる間に早く避難を!!」


「何?!」


その瞬間皇帝陛下の目尻に皺が寄った・・


「・・・おい。今、わしの耳が確かならお前・・奴等が遊んでいると言ったのか?」


「あ・・は、はい・・・あ、あの者達が・・ひ、避難が終わるまで遊んでいてやると・・・」


門兵は失言に気付き明らかに怒りを露わにし肩を震わす皇帝陛下からの怒号を覚悟して俯いた。・・がしかしいつまで経っても怒号が来る事はなく、ただ爆音と激しい揺れだけが続いていた・・・そして微かに皇帝陛下の声が聞こえたが門兵は聞き取れずに恐る恐る顔を上げた。


(・・あ・・・う・・)


門兵は絶句した。皇帝陛下がこの世のものと思えぬ形相で静かな怒りをぶつぶつと声にならない声に乗せ絞り出している光景であった・・・


「くくくっ・・・ふふっ・・遊びだと・・・ゆ、許さん・・・我が・・・築いた城・・遊びで・・・下民如きが・・くくくっ・・・もう許さん・・・使ってやる・・・この・・ドルビナ帝国皇帝を・・・このドルビナ帝国皇帝を怒らせたらどうなるか・・・くくくっ・・目に物見せてやるぞ・・・・」


そう言うとドルビナ皇帝はゆっくりと立ち上がる。謁見の間にアイスランスが飛び込み頬を掠めようが大きな岩が後頭部すれすれを飛び交い炎の熱気が全身を包もうがそれ等を全く無視しながら亡者のように謁見の間を出て行くのだった・・・


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