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第14話 追手

アンリルは小さくガッツポーズを取りながら馬車に乗り込む。

定期的にソフィア達の近状報告をする事で研究費の援助を取り付けたのだった。


ふっふっふっ・・・付いて来て正解だったわ。これで研究も捗るわ・・・。


『ふふ。アンリルさん良かったわね。まんまと利用されたわね・・・』

ソフィアが意地悪く呟くとアンリルはミハエルを気にしながら慌てて座り直す。


『い、いや、つ、ついでですよ!護衛兼雑用のついでに・・。こんなチャンス中々ないからね・・・はは・・』


ミハエルはソフィアに見えない様に肩をすくめてアンリルに目線を送る。


まあ、最初からこれが目的だったのは分かっていたからいいけど・・・それより悪意の塊が後ろから・・付かず離れずついて来てるね・・・前にも居るのか・・狙いは母さんと僕か・・そうすると差し金は・・ミランド・・母さんと僕を捨てた奴・・・最初で最後の挨拶をしてやるか・・・。



馬車が街中を抜けて郊外へ出ると前方に馬車が見えて来る。

つけて来た馬車も速度を上げて迫って来た。


来たね・・・だけど母さんを巻き込みたく無いんだよ。屋敷に着くまで大人しくしてもらおうかな・・・。


ミハエルは寝たふりをしながら呟く。


『〈パラライズ〉・・・』


しかしアンリルは聞き逃さなかった。

ギョッとした顔をしてそっと馬車の窓から後ろを見ると近づこうとした馬車が急に速度を落として離れて行く。

前に止まった馬車の横を何事も無く通り過ぎて行った。


ミハエルはチラリと片目を開けるとアンリルと目が合ったので薄っすらと笑い目を閉じるのだった。



『おい!野郎共!仕事は簡単だ!あの馬車に乗っている女と子供を攫ってボスの元へ届ける!分かったな?!

一緒に乗っている護衛のアンリルは厄介だがこっちには〈神の使人〉のバイザックが居るから問題ない。

街中を抜けたら行動開始だ!!』


『おう!!!』


しかしバイザックは前の馬車から今まで感じた事のない力と魔力を感じて不安に襲われていた。


な、何だこの力は・・魔力は賢者アンリルとして・・この力はもう1人の女か・・・これは侮れんぞ・・・


〈豪剣士〉バイザックは無意識に剣の柄を握りしめるのだった。



『お前ら!!行くぞ!準備しろ!馬車のスピードを上げろ!!』


馬車の速度が上がり前の馬車に近付いたその時!


『ぐっ!!』『がっ!!』『うぐっ!』


どさっ!どさっ!ごとっ!


突然馬車の中の10人の男達と運転士が声も出せず身動きも出来ない状態で床に転がった。


ど、どうしたんだ?!身体が・・・動かん!

何が起こっている?!


こ、これは・・・魔法か・・・知らん魔法だ・・既に俺達の事はバレていたのか・・・それにしてもこの人数を・・あの距離で一瞬で拘束するのか・・・


バイザックは床にこめかみを付けながら戦慄を覚えるのであった。


アンリルが馬車の窓から遠ざかって行く馬車を眺める。


追手がいたのね・・・さすがミハエル君ね・・古代魔法〈パラライズ〉か・・・本気になれば全滅出来たのに・・・・なるほどね・・・ソフィアさんを屋敷に届けてからが本番って事ね・・・。


ふとミハエルを見ると薄っすらと開いた片目を閉じて口元を緩ますのであった。


屋敷に到着して敷地内に入るとミハエルはソフィアの脚にしがみ付く。


『お母さん!お庭で遊んでいい?』


ソフィアはミハエルの頭を撫でる。


『お庭だったら良いわよ。でも気を付けてね。』


『はーーい!!』


ミハエルは元気に返事をするとアンリルに目配せをして門へと歩いて行く。


ミハエル君・・・お母さんは任せたって事ね・・・だけど・・お馬鹿な奴等ね・・・自分達が襲おうとしている相手がとんでもない化け物だとは知らずに・・・


アンリルはミハエルの小さな背中を見送り屋敷の入り口に陣取った。


あいつら懲りずに追って来たな・・・18人

か・・・1人まあまあ強い奴が居るね・・・まあ、問題ないけど。

さてとミランドの逆恨みを蹴散らしてやろうかな。

皆様の評価、感想をお待ちしております。

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