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第138話 思わぬ強敵

アンリル達はサリアの案内で街を出ると高い塀に囲まれた二階建ての建物に向かっていた。


「アンリルさん。あの建物で間違いないです。私がいた頃より建物が大きくなって塀も高くなってますね。」


「そうみたいね。小さな気配が地下に幾つもあるわ。規模が大きくなって私腹を肥やしてるって事ね・・・それにしても警備が厳重ね。そこそこの手練れが・・・34・・35人・・ん?・・1人だけまあまあな奴が居るわね・・・」


アンリルはサリアが指差す方を眺めながら索敵を展開していた。するとその中で1人だけずば抜けて強い気配があったのだった。


「確かにそうですね・・・どんな能力が分からないうちは警戒しながら行きましょう。」


「ふっふっふ・・・そうね!警戒しながら先制攻撃ね!!!子供達は地下にいるようだから都合が良いわ!!」


アンリルは足を止めて約200メートル離れた建物に手をかざす!!


「えっ?!いや、ちょっと、待って・・・」


「喰らえぇぇぇ!!小手調べの〈アイスランス〉!!!」


アンリルの号令で数十本の全長10m程の氷の槍が建物に襲い掛かる!!


「アンリルさぁぁぁん!!!それは小手調べの域を超えてますよぉぉぉぉ!!!!建物どころかこの辺り周辺が吹き飛びますよぉぉぉぉ!!!!」


サリアは頭を抱えて只々巨大なアイスランスの群れの先に最悪を想像していた・・・


パリィィィィィィィン・・・


しかしサリアの心配を他所にアンリルの放ったアイスランスは全て建物に届く前に消えて無くなったのであった・・・


「うえぇぇぇ?!ア、アンリルさんのアイスランスを相殺したぁぁぁ?!」


サリアが無事に佇む建物を呆然と眺める。


「ふふっ!やっぱりね・・・面白い奴があそこに居るのよ・・・久々に腕が鳴るわ・・」


手加減をしたとは言え全てのアイスランスを相殺されてアンリルは闘志を燃やすのであった。




今、1人部屋で破格の待遇を受ける少年がソファに大の字で座り天井を見上げていた。


「はぁ・・・毎日毎日ガキの世話と来ることのない襲撃者の警戒か・・・まぁ・・これで破格の給金が貰えるなら良いんだけどね・・だけど・・暇だなぁ・・・っ?!」


すると少年の展開した〈索敵〉に今まで感じた事の無い力を感じて鳥肌が立った。


「な、何だこの魔力・・・いや!違う・・こ、この力は・・・何なんだ・・し、しかも2人?!・・ふっ・・面白い・・・この世界に来て初めて本気を出せる奴が来たのか・・」


そう思い少年が立ちあがろうとした瞬間!あり得ない程の魔力が湧き上がり無数の魔力の塊が向かって来るのを感じた。


「うぉぉぉ!!まずい!!出よ!!〈カーバンクル〉!!この建物を守れぇぇぇ!!」


少年が勢いよく立ち上がり叫ぶと目の前に小動物の様な生き物が現れて額の赤い宝石が光り輝くと建物全体を赤い光が覆った。


パリィィィィィィィン・・・


そして襲って来た無数の氷の槍と赤い光の守りが打ち消し合い消え去った・・・


「なっ?!そ、相殺?!絶対防御のカーバンクルが相殺された?!・・・こ、このチート級の魔法・・一体何者なんだよ・・・って・・ま、まさか・・・」


少年は居ても立っても居られずに慌てて部屋を出て行くのであった。



異変に気付いた男達がざわついて建物の敷地に出て来た。


「何か凄え音がしたぞ?!」


「な、何だ今のは?!敵襲か?!取り敢えずアイツを呼べ!!」


ガチャ・・・


「もう来てるよ!全く・・僕にはナルミって名前があるんだから覚えてよね?!


ナルミは男達のざわつきを気にも止めずに文句を言いながら屋敷の扉から出て来た。


そんなナルミにリーダーの男が詰め寄る。


「そ、そんな事より今のは何だ?!」


「リューグさん。今のは魔法攻撃だよ。信じられないけど約200m先からとんでもない威力の魔法を放った奴が居るのさ・・・僕が防がなかったら間違いなくこの建物諸共更地になっていたよ。」


「はぁ?!200m先だって?!あり得ないだろ?!せいぜい射程距離の限界は30mだろう?」


魔法使いの男が詰め寄るがナルミは面倒臭そうに首を振る。


「もう!事実なんだから仕方ないでしょ?!とにかく外で迎撃しないと狙い撃ちされるよ!」


「お、おう・・・」


ナルミは急ぎ足で門の入口へと向かった。その後を男達が追うのであった。



「あらあら・・・巣穴からわらわらと沢山出て来たわね!手間が省けて良いけどね!ふふふ・・・サリアちゃんは手を出さなくて良いからね・・・」


「駄目ですよ!なんか目的が変わってますよ!!と、とにかく危なくなったら手を出しますからね!・・・(相手と自然がね・・・)」


サリアは怪しくにやけるアンリルをいつでも止められるように身構えるのであった・・



「おい!!お前らぁぁ!!そこで止まれぇぇ!!」


「ふふん・・何か叫んでるわね。敵の要望に素直に応える馬鹿がいると思っているのかしら?」


用心棒リーダーのリューグが声を上げるがお構いなしにアンリルはずんずん距離を詰めて行く!


「き、聞こえねぇのか?!・・・けっ!そっちがその気なら構うこたぁねぇ!!こっちも応戦だ!!撃てぇぇぇ!!!」



「おう!!久しぶりにやってやるぜぇ!!炎の矢よ!敵を貫け!〈フレイムアロー!!」


「氷の槍よ!敵を貫け!〈アイスランス〉!!」


「岩よ敵を打ち抜け!!〈ロックバレット〉!!」


男達が放った魔法の嵐がアンリル達に向かって行く!しかしアンリルはお構いなく歩き続ける。


「アンリルさん!魔法攻撃ですよ!!避けないと!!」


「ん?あぁ・・分かってるわよ。大丈夫よ。見てなさい・・あの程度の魔法なら避けるまでもないわ!」


サリアの心配を他所にアンリルは嵐のような魔法攻撃を鼻で笑い向かって行った。そして先頭を歩くアンリルに着弾する!!


ズドドドドドドドドドォォォォォ!!!!


「ぶわっはっはっはっはぁーー!!!馬鹿め!避ける間もなく直撃したぞ!!脅かしやがってぇぇ!!ざまぁみ・・・ろ・・ん?」


ざっざっざっ・・・


リューグは言葉を失った。男達の魔法の乱れ打ちを喰らいながら土煙の中から平然とこちらへ向かってアンリル達が歩いて来ていた。


「ね?大丈夫だったでしょ?あの程度の魔法なら迎撃するまでも無いのよ。」


アンリルはサリアに振り向きにっと笑うとサリア呆れた顔で肩をすくめる。


「まぁ、分かってはいましたけど・・・それでも避けずにそのまま向かって行くのはアンリルさんぐらいですよ・・・もう。」



「ど、ど、どうなってやがる・・・何故・・あれだけの魔法攻撃を喰らってあんな涼しい顔してやがる?!」


「そ、そんな馬鹿な・・・」


「無傷なんて有り得ないぞ・・・」


「はぁ・・気付いてくださいよ。魔力障壁ですよ!!簡単に言えば魔力で防御壁を作っているんですよ。それもとてつもない壁をね・・・」


ナルミは唖然とする無知な男達を呆れながら一瞥すると自分の出番とばかりに男達の前に出た。そしてアンリル達もお互いの顔がはっきり見える距離まで来たところで立ち止まり男達と対峙する。


(アイツね・・・私の〈アイスランス〉を打ち消したのは・・・どれ・・)


鳴海ナルミ 海斗カイト

Lv 786

【称号】召喚士


攻撃力 186379

防御力 248754

素早さ 148753

魔力  2964864

魔法力 6356892


【加護】〈幻獣神の加護〉


【スキル】〈幻獣召喚〉

     〈幻獣融合〉

     〈索敵〉

     〈アイテムボックス〉

     〈経験値10倍〉



(へー・・・凄いじゃん!それに召喚士か・・出会った事無いわね・・・何が出るのか・・面白いじゃない!)


アンリルは思った以上のナルミの強さと称号に当初の目標を忘れて細く微笑んだ。その瞬間アンリルは両手に魔力を集中させるのであった・・・

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[気になる点] サリアは怪しくにやけるアンリルをいつでも止められるように身構えるのであった・・ 【若気る】(にやける) 男性が女性のようになよなよして色っぽい様子 鎌倉・室町時代に男色を売る若衆を…
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