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第137話 魔剣ストームブリンガー

ガインは自らサーベルトの制空圏へと踏み込んで行く!踏み込んだ瞬間、あらゆる方向から殺気という名の剣撃が襲いかかってくる!


「その豪胆!嫌いではないぞ!」

「ふんっ!!洒落臭い!!」


ギギギギギギギギキィィィィィン!!

ガギィィィン!!


ガインの正確無比な剣撃がサーベルトの攻撃を全て捌ききる!そして最後の一合でサーベルトと鍔迫り合いになった!


ギギギン・・・


「くっ・・な、何と?!妾の連撃を避けるのではなく弾いた?!お、お前は本当に人間か?!」


「ぐっ・・な、何を驚いている・・・人間を舐めるなよ!!俺の村じゃあ俺より強い人間が何人もいるぞ!!・・ふっ・・・さあ続きだ!!どんどん行くぞ!!」


ギギィン!!

ガギギィン!!

ギギィィィン!!


驚いて動揺したサーベルトの隙を付きガインは激しく攻め立てる!サーベルトはガインの気迫に押され後退りながら剣撃を捌く。


「おぉ!!ガインが押しているぞ!い、行けるぞ!!」


「あ、あぁ・・だが・・ガインの奴・・少し焦っているように見えるのは気のせいか・・?」


「えっ?」


ダイゲルはガインの目に余裕が無いように見えたのだ。しかし実のところその通りであった。


この魔剣はヤバい・・・俺が全力で飛ばしてほぼ互角・・・奴は”魔剣”だ・・早く片を付けねぇと・・・


「ふふ・・・お前のような人間がいようとはな・・・楽しかったぞ・・・」


サーベルトはガインの猛攻を凌ぎながら笑みを漏らす。その瞬間ガインの背中に寒気が走った!


「チッ!やっぱりか!!くそったれっ!!」


ガインが危険を察知してバックステップで下がった瞬間サーベルトが突き出した剣の先に魔法陣が展開される!!


「〈ストームフェザー〉!!」


最上級風属性魔法である。相手を竜巻の中に閉じ込め魔力で形成した無数の羽の刃で敵を切り刻むのである!


暗雲立ち込める空から伸びた巨大な竜巻がガインに迫る!巻き込まれたら最悪の結果しか想像出来ない程の勢いである。しかし今からの回避は不可能だとガインは覚悟を決める!


「チッ!くそったれめぇぇぇぇ!!!!!」


そして断末魔とも思える叫びと共にガインは巨大な竜巻の中に消えて行った・・・


「うおぉぉぉぉ!!!ガインーーー!!!嘘だろぅぅぅぅ!!!」


「お、お前ぇぇぇ!!汚ねぇぞぉぉぉ!!」


「う、嘘だよな・・・ガイン・・・ガインーーー!!!!うぅ・・・」


ダイゲル達は絶望の中ガインを飲み込み荒れ狂う竜巻を呆然と眺めていた。


「ふう。妾は魔剣ストームブリンガーじゃぞ?剣も魔法も使うのじゃ。奴もそれを承知の上で戦いを挑んだのじゃ。・・・じゃが・・それにしても・・人間にしておくには勿体無い男であったな・・・っん?」


魔剣ストームブリンガーが違和感に気付いた。ストームフェザーの竜巻の中から微かに金属が擦れ合うような音が聞こえて来たのだ。


・・・ガシャン・・ガシャ・・ガシャ・・・ガシィン・・・


魔剣ストームブリンガーは竜巻の中を目を細めて見る・・・


「な、何じゃ・・この音は・・・むっ?!これは・・あの男の闘気が・・衰えて行くどころか・・・く、来る?!」


ずおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!


それはまるで限界まで溜め込んだ力を一気に解放したかのように蒼白い光の柱が空を突き上げた。

そして暗雲を吹き飛ばし〈ストームフェザー〉の竜巻を内部から消し飛ばした。


「ふん・・これを使う羽目になるとはな・・・俺もまだまだ修行が足りんな・・」


荒れ狂う竜巻を吹き飛ばした後には、真っ赤な鬼を模した鎧を装備したガインが姿を現した。背中には真っ赤な柄に地面に付きそうな程の大剣を背負い、胸当ては大口を開けて牙を剥き出しにした鬼の形相が模られていた。


「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!何だあれはぁぁぁ!!おい!ガイン!!!お前は不死身かぁぁぁぁぁ!!!最高だぜぇぇぇ!!!」


「ま、まじかぁぁぁ!!決めたぜぇ!!俺はあんたに着いていくぜぇぇ!!!」


「見たか魔剣士!!人間をなめんじゃねぇーーぞ!!ひゃっひゃっひゃぁぁぁーー!!」



「あ、あいつら調子に乗りやがって・・・後でお仕置きされるのを分かっているのか・・・」


ダイゲル達のはしゃぎっぷりにガインのこめかみがピクつく・・・


魔剣ストームブリンガーはガインの鎧から立ち登る蒼白いオーラに表情をこわばらせて肩に力が入る。


「い、一体お前は何者なのじゃ・・?途轍もない力を感じるぞ・・・」


「ふん・・この〈魔装剣〉はな、メルト村最強の心配性が造った鎧だ。俺を護る為に造ったそうだ。本当ならこれを使わずに何とかしたかったが俺では力不足だったようだ・・・

ところでまだやるのか?この鎧は力の加減が難しいんだ・・・出来れば降参して欲しいんだが・・・」



〈魔装剣〉タイプ 鬼人

・ガイン専用装備


〈効果〉

〈魔装〉

・闘気を神力に変換

・身体能力強化 10倍+α

・物理攻撃耐性 極大

・魔法攻撃無効

〈鬼人剣〉

・攻撃力 200万+α

・神力吸収

・不壊


(ふう・・それにしても・・ミハエルの勘は当たるんだな・・また助けられちまったな)


「・・言ってくれるのう・・・じゃが妾も伝説にまで詠われた魔剣ストームブリンガーじゃ。ここで逃げる訳には行かぬ!・・お主はガインと言ったな・・・勝負じゃ!!」


サーベルトは中段に構える。それを見たガインも背中の大剣を抜いて中段に剣を持ち斜に構える。


「・・そうかい・・まあ、そう来ると思ってたがな。・・・それじゃあ・・行くぞ!!」


「ふんっ!!」


どおぉぉん!!


ガインが脚に力を込めて石畳を蹴るとその衝撃で石畳が吹き飛び抉れる!


ギイィィィン・・・


気付けば目の前には音を置き去りにして剣を振り切ったガインがいた。警戒もしていた・・油断もしてはいなかった・・・しかしサーベルトの手には魔剣ストームブリンガーは無く空高く弾かれていた・・・


「ふふふ・・・見事じゃ・・・目視も出来んとはの・・・」


サーベルトはそう言い残してその場に崩れ落ちた。表情は元の顔色に戻り気絶しているようであった。


ざくっ・・・


弾き飛ばされた魔剣ストームブリンガーが落下し試合終了の合図と言わんばかりに石畳に突き刺さった・・・


「お、終わったのか?!終わったんだよな?!ガ、ガインの勝ちで良いんだよな?!」


「お、おう!!お、俺達助かったんだぁぁぁ!!!」


「やったぁぁぁぁ!!ガイン殿ばんざーーい!!俺達の命の恩人だぜぇぇぇ!!」



「おいっ!お前らぁぁぁ!!次はお前らのお仕置きだぞ?!ちょいちょいはしゃぎやがって・・・」


「ええっ?!ちょっ・・待って・・」


ガインがダイゲル達に振り向くと頭の中に声が響いた。


(・・妾の負けじゃ・・是非・・妾の主となって欲しいのじゃ・・・どうじゃ?妾を好きにして良いのじゃぞ?)


(むっ?!な、何か誤解のある言い方だな?!だがお前の主人はあの魔剣士じゃないのか?)


(いや違うのじゃ!!まだ仮契約なのじゃ!彼奴が妾の封印を解いたから付いて来ただけじゃ!それに彼奴は貧弱過ぎて妾を使えずに呼ぶ度に意識を失っておるのじゃよ。じゃからきっとお主なら妾を好きに出来るはずじゃ!早う妾を手に取っておくれ!)


石畳に刺さった魔剣ストームブリンガーに目を向けるとここのなしか小刻みに揺れていた。


(・・・まあ確かにこんな危険な魔剣を放っておくのはまずいな・・ちょいちょい気になる発言はあるが・・試してみるか)


ガインが魔剣ストームブリンガーに近付き恐る恐る小刻みに揺れる柄を握った・・・


(あふぅん・・・こ、こんなの初めて・・)


(んっ?何か言ったか?)


(はぁん・・この大きくて力強い手・・妾の魔力を受け止めて包み込む闘気・・・あぁ・・やはり貴方に決めたのじゃ・・・)


(な、何を言って・・・?!)


ガインは柄を握ったまま固まっていると魔剣ストームブリンガーから勢いよく魔力が立ち昇り思わずガインは手を離してしまう。

すると今まで魔剣ストームブリンガーが刺さっていた場所に深紅のロングヘアーに額に二つの角を生やした女性が立っていた。


女性は背丈もすらりと高く黒と紫を基調とした身体のラインを強調したワンピースで艶かしい目つきでガインを見ていた。


「へっ?・・一体・・・誰?!」


「主様ぁん・・・」


呆然と女性の強調された胸に釘付けになっていたガインの腕に女性が絡みついた。


「なっ?!何だ?!」


「主様ぁ・・妾の本当の名前はメルベリアじゃ。これから末永くよろしく頼むのじゃ・・うふ・・あ・る・じ・さ・ま。」


メルベリアはガインの胸にのの字を描きながら腕を胸に挟み艶かし表情でガインの見上げた。


ガインは混乱しながらもしっかりとメルベリアの胸の感触を感じて緩みそうな顔を引き締めるのであった・・・

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