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第136話 魔剣

サーベルトが大地を蹴りガインに迫る!魔剣デュランダルが空気を切り裂きながら横一文字にガインに襲い掛かった!


(ふう・・やはりな・・・)


しかしガインは焦る事無く冷静に魔剣デュランダルを剣で迎え撃つ!


「ふっ・・馬鹿だね!魔剣デュランダルに切れない物は無いんだよ!」


サーベルトはしたり顔で魔剣デュランダルを振り抜く!


ギギィィン・・・


「うぇっ?!」


しかしあっさりとガインの模擬刀に止められ驚愕の表情で固まった。

サーベルトはいつも相手を剣ごと斬り飛ばして勝利して来たのだ。それをあっさり止められ訳が分からなかった・・・


「ば、馬鹿な?!何でだ?!なんでデュランダルで切れないんだ?!」


サーベルトはその場から後ろへ飛び退き明らかに動揺していた。


ガインは構えを解いて呆れ顔でサーベルトに剣を突き付ける。


「はぁ・・少しは骨があると思ったが・・ガッカリだ。仕方ない。教えてやる・・・この剣はな俺の力で折れないようにスキル〈不壊〉が付与されてるんだよ!ふん!馬鹿が・・お前は魔剣に頼り過ぎなんだよ!剣士としての練度が浅すぎるんだ!分かったらお家に帰って素振りの1つでもするんだな!」


(ま、まじか・・あのガキを正に子供扱いだぞ・・・)


(こ、これは・・・まずいんじゃねーか・・?)


男達は少しづつ後ずさって行く・・・


サーベルトはガインの言葉に苛つきを隠せずにこめかみを震わす。


「ふ、〈不壊〉だって・・・お、折れない剣?!・・・そ、そんなスキルずるいぞぉぉぉぉ!!!お、折れない剣なんてあっては駄目なんだぞぉぉぉぉ!!!僕の魔剣が最強なんだぁぁぁぁ!!!その剣を寄越せぇぇぇぇ!!!!」


「おい。言ってる事が支離滅裂だぞ?!」


「うるさぁぁぁぁい!!!」


サーベルトは剣技も忘れガインに切り掛かった。


ガキィィィン!!

ギギィィィン!!

ガギィィィン!!


しかしガインは子供に剣を教えるかのように片手で軽くあしらっていた。


「ふん・・まるで素人の剣だな・・・もういい・・終わりだ・・・ふんっ!!」


ガキィィィッン!!!!


「ぐわっっ!!!!」


ガインが力を込めて横一文字に剣を振るうとサーベルトは辛うじて受け止める。そしてその勢いで後ろに飛ばされた!


「はぁ・・はぁ・・そんな馬鹿な・・この僕が・・魔剣士の僕が・・こんなおっさんに・・・そ、その剣さえ無ければ僕の方が強いのに!!お、大人の癖にずるいぞぉぉぉぉ!!正々堂々と戦えぇぇぇ!!」


「はぁ・・・自分が勝てないのはこの剣のせいだって?まだ分かってないようだな。・・・いいだろう。ほら!使ってみろ!」


ガインはサーベルトの物言いに呆れながら自分の剣をサーベルトに軽く放り投げた。


「えっ?!」


サーベルトはガインの予想外の行動に一瞬呆けた顔をする。そしてサーベルトは迫る黒い剣の柄を何気なく掴んだ。


「わっ?!」


ずぅぅん!!


サーベルトが軽々放り投げられた剣の柄を掴んだ瞬間、サーベルトはあまりの重さに支えられずに石畳の上に剣を落としてしまった。見れば石畳にひびが走り剣が軽くめり込んでいた。


「な、なんだこの馬鹿みたいに重い剣は?!」


サーベルトは恐る恐る石畳にめり込んだ剣を持ち上げようとするが、両手でやっと柄の部分は持ち上がったが地面から刀身を持ち上げる事は出来なかった・・・


(おいおい・・あんな剣を今まで軽々振ってたのか・・・)


(そ、そう言えば・・・練習用って言ってたな・・・)


(あ、あれが・・S級冒険者の実力か・・・)


ダイゲル達はざわつきガインに対して恐怖を覚えるのであった・・・



「おい。その剣、使えるもんなら使ってみろ!まあ・・その様子じゃあ無理だろうがな・・・」


「くっ・・・こ、この筋肉馬鹿め・・・ふ、ふん!だけど剣を手放したのはまずかったんじゃ無いの?」


サーベルトはガインの剣から手を離し、今まで歪めていた顔を緩ませて魔剣デュランダルを構える。


「・・・あのなぁ・・その剣は俺の練習用なんだよ。俺は今まで手加減してたって事だ!お前こそ覚悟しろよ!」


ガインは腰の剣をゆっくり抜くと感覚を取り戻すように軽く素振りをする。するとガイン周りを幾重にも光の筋が走りサーベルトとダイゲル達は目を見開き立ち尽くしていた。


ヒュン!スヒュン!ヒュヒュンッ!!


「み、見えない・・・切っ先が全く見えない・・・」


「じょ、冗談じゃない・・・あんなの反則だろ・・・見えない剣をどうやって躱すんだよ・・・」



感覚を取り戻したガインは剣を軽くサーベルトに突き付ける。


「さてと・・・おい!へっぽこ魔剣士!やり残した事は無いか?」


サーベルトの表情が一瞬で曇った。たかがおっさんと舐めていた男が予想外の強さだったのだ。そして実のところサーベルトはもう一振り魔剣を持っていた。しかしサーベルト自身その魔剣を使う事に躊躇していた。


(くそっ・・アレを呼ぶのか・・・でもアレはまだ僕でも制御出来ない・・・だけど・・このままじゃあ・・・くそ!もうどうにでもなれ!!)


サーベルトは覚悟を決めた。そして魔剣デュランダルを虚空に消すとガインを見据える。


「ふん・・・やってやるよ・・・どうなっても知らないからな・・・魔剣召喚!〈ストームブリンガー〉!!!」


サーベルトは意を決して虚空に手を翳すと黒く大きな空間が口を開け中から漆黒の闇を纏った禍々しいオーラを放つ剣が現れ虚空に浮いていた。


(・・・見るからにヤバそうな剣だな・・さてどうするか・・・)


「もう知らないぞ・・・この魔剣は自我を持つ魔剣〈ストームブリンガー〉。数百年前に初代スレイド王国国王が自分の命と引き換えに封印した伝説の魔剣だ。この僕も制御出来ないんだ。せいぜい足掻いてみてよ・・・ふんっ!!」


サーベルトが勢いに任せて魔剣ストームブリンガーを手に取ると剣から溢れる漆黒のオーラがサーベルトの腕から身体へと纏わりつくように広がって行く。


「ぐっ・・・がっ・・・くっ・・や、やっぱり・・・無理・・・だ・・・」


サーベルトが漆黒のオーラに飲み込まれ立ったまま意識を失い項垂れた。


「あぁ・・魔剣に飲まれやがった・・・おい・・・お前大丈夫か?」


ガインが声を掛けると突然サーベルトが顔を上げる!!ガインは驚いて後ろに飛び退いた。


「な、何だ?!どうした?!」


見ればサーベルトの顔色は紫がかり目は紅く染まっていた。そしてゆっくりと口元が動いた。


「・・・本当に貧弱な身体ね・・この程度の人間が妾を従えようなど烏滸がましいしも程があるわ。・・・しかし妾の封印を解いた礼はしなければなるまいな・・・お前達に恨みは無いが・・・死ね!」


サーベルトの首がダイゲル達の方に傾いた・・・


「・・・達?!」


ガインは背筋に寒気を感じて叫ぶ!


「おい!!構えろ!!来るぞ!!」


ダイゲルはガイン声に咄嗟に剣を中段に構えたが次の瞬間・・剣を握ったままの両手首がゆっくりと石畳に落ちて行くのが見えた。


「うぎゃぁぁぁぁぁ!!手がぁぁぁ!!俺の手がぁぁぁぁ!!!」


ダイゲルが叫びながら膝を付いて激痛に耐えているとサーベルトは雑草でも刈るかのようにダイゲルの首目掛けて剣を振った。


ガギィィィン!!


男達が最悪の瞬間を想像したその時、ダイゲルの前にガインが現れ間一髪、魔剣ストームブリンガーを抑え込んだ!



「おっと!させねぇよ!・・・チッ・・この馬鹿が・・・」


ガインは考えるより先に身体が動いていた。自業自得ではあるが操られて訳も分からず人を殺めようとする若者を見てはいられなかった。


「ガ、ガイン・・・何故・・?」


「ふん!お前らは俺がぶっ飛ばすんだよ!勝手に死なれちゃ困るんだ!さっさと下がれ!!」


「す、すまねぇ・・・」


ダイゲルはコクコクと首を縦に振ると男達に引き摺られて行く。



「ほぉう・・妾の剣撃を受け止めるとは・・少しは出来るようだのう・・・面白い・・・」


サーベルトが口元を緩ませて魔剣を構える。


(こいつ・・強いぞ・・・だが面白い・・やってやろうじゃないか!)


ガインは距離を取ると徐に両手のリストバンドを外した。


どすっ!どすっ!!


外したリストバンドを投げ捨てると石畳にめり込んだ。


「ま、まじか・・・あんな物付けて・・あんな剣を持って俺達と戦ってたのか・・・凄ぇよ・・・か、勝てる訳がねぇ・・・」


男達はS級冒険者ガインの姿に尊敬の念を覚えた瞬間であった。


そしてガインはもう一つの指輪を外した。


「ふん!これで全開だ!!行くぞ魔剣士!!」


ガインは石畳を蹴り魔剣ストームブリンガーに戦いを挑むのであった。

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