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第109話 メルト村襲撃 3

「お、おい・・なんか様子がおかしいぞ・・・空が真っ暗に・・な、なんだ?!帝国の奴等に黒い影が吸い込まれて行くぞ?!何が起こっているんだ?!」


山賊の頭は食い入る様に望遠鏡を覗いていると盗賊の頭も隣に並んで望遠鏡を構えた。


「あれは・・・確かに何が起こっているか分からねぇが、まるで何かが帝国の奴等に手を貸してるように見えるな・・・ふん・・これで一筋縄では行かなくなったって所か・・」


盗賊の頭は眉間に皺を寄せながらも口元を緩めてメルト村を眺めるのであった。



「これは異常事態だね・・・ニーナ!!遊びは終わりだよ!!早くこっちに来て!!」


「うん!分かった!!みんな行くよ!・・・んっ!よっと!!」


ブチブチブチッ!!


ニーナ達は軽々と縄を引きちぎりミハエルに向かって駆け出そうとした瞬間、ニーナの首根っこをレバイドが掴んだ!


「あうっ!!」


「人質をそう簡単に逃すか!!」


「「ニーナ!!」」


2人が立ち止まり戻ろうとするがニーナはニヤリと笑う。


「ラル!イルグ!先に行って!こいつは私がぶっ飛ばすわ!!」


そう言うとニーナは掴まれながらも闘気を解放する!!


「何?!何だこの力は?!」


「ふん!!いつまでも汚い手で触ってんじゃないわよ!!!うりぁぁ!!!!」


ニーナは身体を独楽のように回転させてレバイドの拘束を無理矢理解くとその勢いでレバイドの側頭部に蹴りをお見舞いした!


どばきぃ!!!


「ぐがっ!!!!」


しかしレバイドはたたらを踏みながらも倒れる事なく蹴られた所をさすっていた。


「くそっ!このガキ!!いてぇじゃねーか!!」


「えっ・・・?!嘘・・・私の蹴りを受けたのに・・・その程度で済むなんて・・・」


ニーナは唖然としていた・・指輪も無く手加減無しの渾身の蹴りだったのだ。

それをまともに食らって立っていられるのはメルト村の人間しか居ないと思っていた。


「ニーナ!!!早くこっちへ!!」


唖然として立ち尽くしていたニーナの肩がミハエルの声に跳ね上がる!

前を見ればレバイドがニーナを捕まえようと迫っていたのだ。


「くっ!!待ってなさいよ!あんたは私が絶対ぶっ飛ばすわ!・・えい!!」


「ぐわっ!!目が!!」


ニーナは足で砂を蹴り上げレバイドに目潰しを食らわすとバックステップでミハエルの元へ戻るのだった。



(お、おいおい・・あのガキ・・あいつらは俺の力で100倍近い力になってる筈だぞ・・・そ、それを・・・痛みを感じさせて・・怯ませただと・・?!そ、そんな馬鹿なことが・・・な、何かの間違いだ・・・だが・・ガキであの力なら・・・村の最高戦力は一体・・・)


暗黒神ドルゲルの顔から余裕が無くなり疑心暗鬼になりながらメルト村の戦況を見守るのであった。



「ミハエル君!!これはどうなっているの?!あいつら急に強くなったわよ!!」


ニーナは不安を隠せずにミハエルの側に寄る。


「うん。恐らくだけどさっきの黒い影が原因だよ。誰かがこいつらを使ってメルト村を襲わせているんだ。

・・・ふふっ・・だけど大丈夫だよ。さっさと片付けよう。」


ミハエルがニヤリと笑うとゆっくりと指輪を全て外した。

するとミハエルを中心に濃密な魔力の波動が広がって行く!村を覆い尽くし森を覆い尽くして地平線の彼方まで広がって行くようであった。


「あっ!!ミ、ミハエル君?!何を!?」


「ミハエル君!!こ、ここで解放したら・・駄目よ・・」


アンリルとサリアがゆっくりと後退って行くとライナードとカリンも肩の力が抜けずに頬に汗が伝う。

村の皆もミハエルの魔力を触れ帝国騎士団の面々も固まり声も出せないでいた。


(な、何だこの力は・・・ふ、震えが止まらん・・・今から・・何が始まるんだ・・)


レバイドのフルプレートの鎧の下は汗で溢れていた・・・



ミハエルは皆の心配を他所にニッと笑うと両手を空に掲げた。


「みんな大丈夫だよ!!目には目を歯には歯をさ!!メルト村を襲った事を後悔させてやるんだ!!

村の皆んなとついでに精霊達も纏めて強化するよ!!さあ!!行くよ!!久々の古代魔法!!〈フルポテンシャル〉だぁぁぁ!!!」



ミハエルが掲げた両手を振り下ろし魔力を放つと村を中心に森全体を覆うように巨大な魔法陣が展開し蒼白い魔力が立ち昇った!!

そしてその蒼白い魔力は村人と森全体に吸い込まれるように消えて行った。


「ミハエル君・・・凄い・・力が溢れて来る・・今なら何が来ても負ける気がしないよ・・・」


ニーナは拳を握り締めて笑みを浮かべる。

そしてガイン達も溢れる力に戸惑いを感じていた。


「ふ、ふふ・・・一時は奴等の力が跳ね上がって焦ったが・・・さすがミハエルだな・・これで逆転だ・・・」


そして森の木々もざわつき始めた・・・



「こ、この力は・・・ミハエル殿の・・魔力ですね・・・凄まじい力です・・」


エントは洗練された女性の姿となり緑色のドレスを身に纏っていた。そして自分から溢れる魔力に打ち震えていた。


するとエントの隣に風が渦巻き二回り程大きく逞しくなったジンが並び立っていた。


「やっぱり只者じゃ無かったな・・・周りの下級精霊達でさえ上級精霊級の強さになっているぜ!

更に今の俺達は最上級精霊クラスの強さになっているぞ!」


「うむ。まさかこれ程の凄まじい強化魔法を行使出来るとは・・ミハエル殿が味方で本当に良かった・・・俺達精霊は一度でも進化の壁を破ることが出来れば更なる強さを得ることが出来るからな。」


大地の上級精霊ベヒモスが地面から迫り上がるように現れる。

ベヒモスの姿も以前のゴツゴツした身体から洗練されてはち切れんばかりの筋肉を纏った大男となっていた。


「その通りですね。私達の進化の壁を打ち破ったのはミハエル様のお陰です。・・私達は主様の命に従いますが・・・私はミハエル様の命にも従う事に致します。」


水の上級精霊クラーケンが美しい水のドレスに身を包み圧倒的な力を纏わせて虚空から静かに降り立った。


すると上級精霊達は顔を見合わせるとお互いの考えが分かっていると言わんばかりにふっと笑う。


「えぇ、私も今そう思っていた所です。」

「あぁ!意義無しだ!」

「それでは新たな主様に挨拶に行こうではないか!」

「ふふ。ベヒモス。たまには良い事を言いますね。」


四人の上級精霊達は頷き合うと早速その場から我先にと消えるのであった。

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