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第108話 メルト村襲撃 2

(ククッ・・見つけたぞ・・・最上位神の加護を持つ人間を・・・それも5人も・・運がいいぞ・・ガキは扱いが簡単だからな・・そしてこのうってつけの状況・・・ククッ・・面白くなって来たぞ・・・)



帝国騎士団はレバイドを先頭にメルト村の入り口まで来ていた。しかし段々と強くなる圧力に帝国騎士団の面々はまた1人また1人と倒れて行き辿り着いたのは30名程であった。


「ぬぐっ・・・だ、だらしない奴等め・・これしきの事で・・・ゆ、ゆくぞ・・・」


しかしレバイド自身も強がりを言うものの限界が近く足元がおぼつかなくなっていた。

レバイドはメルト村の門の前に立つとニーナ達を前に出して剣を抜いた


「も・・門を・・・開けろ・・・ぐっ・・さ、さもないと・・・この・・・ガキ・・が・・・ハァハァハァ・・・」


レバイドは精一杯声を上げたつもりだが疲労困憊で言葉にならず片手を膝に置いて肩で息をしていた。


「もう!そんなんじゃあ聞こえないわよ!しっかりしなさいよ!!」


ニーナはレバイドの手から離れて大きく息を吸った。


「村長さーーん!!来たよーー!!開けてぇーー!!」


ニーナが声を張り上げると”お帰り”と言わんばかりに門がゆっくりと開け放たれるのであった。



(おいおい・・あいつら大丈夫か?あまりにも弱過ぎるだろ・・し、仕方ない・・少しだけだ・・・少しだけ手を貸してやろう・・)



ガイン達は帝国騎士団が門の前まで来たのを察知していたが中々動きが無いので首を傾げていた。


「一体どうしたんだ?調子に乗った悪党の常套文句が聞こえんな・・・」


すると門の向こう側からニーナの声が響いた。


「ふふっ・・そう言う事か・・それどころじゃ無いんだな。

おい!開けてやれ!だが油断するなよ!ゆっくり開けるんだ!」


ガインの指示にメルト村の門が開けられた。

するとニーナ達を先頭にヨロヨロのレバイドとドルムの姿が目に飛び込んで来た。


「お、おい・・・ハァハァハァ・・ガキ共の・・命が惜しかったら・・ぐっ・・この妙な圧力を・・消しやがれ!!ぶはぁはぁはぁ・・・」


レバイドはニーナを前に出すと後ろが剣をニーナの首筋に当てて必死に声を上げた。

しかしガイン達は不思議そうな顔をして首を傾げる。


「え?!何だって?聞こえねぇーよ!腹から声を出しやがれ!!」


ガインは半笑いでレバイド達を眺めていると業を煮やしたニーナが声をあげる。


「もう!!だらしないわね!村長さん!私達の命が惜しかったらこの闘気と魔力を抑えろですって!!」


ガインはわざとらしく手を叩く。


ぱん!


「おぉ!そう言う事か!ニーナ通訳ありがとう。・・・ふむ。仕方ないな・・みんな闘気と魔力を少し抑えてやろうか。」


ガインはニヤリとミハエルを見て頷くとさっきまでの圧力が嘘のように消えて今まで猫背になっていたレバイド達がキリッと背筋が伸びた。そして外でへばっていた部下達も続々と村へ入って来たのだった。


「ふ、ふん!・・・胡坐しい事しやがって・・さあ!まずは武器とマジックアイテムを捨ててもらおうか!」


急に元気になったレバイドがニーナの首筋に剣を当ててガインを半笑いで見据えた。


この言葉にアンリル達だけでなくニーナ達まで肩をビクッとさせて顔を見合わせる。


(こ、これは最恐の要求だわ・・・)

(そ、そうねミハエル君の枷無しの魔力・・考えただけでも寒気がするわ・・・)


アンリルが呟くと隣のサリアも自分の身体を抱きしめてブルッと震える。

するとライナードとカリンも目を丸くしながらコクコクと首を縦に振っていた。


「な、何だと?!マジックアイテムもか?!・・そ、それは困ったな・・・」


ガインはわざと困った顔をしながら自分の横に並び立つアンリル達を見渡しどうすると目で相談するとミハエル以外の者達が全力で首を横に振った。


(そんな事したら私達だってまずいわよ!それに村が無くなってもいいの?!即答でお断りよ!!)


そしてアンリルが鬼の形相でガインに詰め寄ったその瞬間!

アンリルが弾けるように空を見上げた!!

すると空がドス黒く渦巻き黒いモヤのようなものが地上へと降り注ぐ光景であった。


「何?!この寒気がする程の殺気は?!不味いわよ!気を付けて!!空から殺気が降って来るみたいだわ!!」


「うん。確かにこの雰囲気は普通じゃないね・・みんな闘気と魔力で防御して!!」


ミハエルが声を上げると同時に黒い禍々しいもやが帝国騎士団に降り掛かり纏わりついていた!


「ぐおっ!!なんだこの黒い物体は?!くそっ!・・・ん?な、何だ・・・力が湧いて来るぞ・・・」


「す、凄い・・力がみなぎって来る!!神が味方したのか!!」


レバイドが周りを見渡すとドルムも部下達も不思議そうに自分の力を感じ感嘆の声を上げていた。



(クククッ・・・少々やり過ぎたか・・でもまぁ蹂躙すればする程ガキ共の心は扱い易くなるからな・・・さあ・・人間のクズ共!暗黒の世界の為に暴れるがいいわ!!)




【世界神の部屋】


「むっ?!この力は・・・まさか・・・ユラミス殿、ヘルビス殿、少し行って来る。」


「はい。お待ちしております。」

「そうだな・・・釘を刺すべきだな・・」




「・・・ドルゲル。楽しそうだな。何か良い事があったたのか?」


「そうなんだ!!見ろよあいつらの顔・・・」


暗黒神ドルゲルが何気なしに振り返ると世界神ゼムスが目を細めてオーラを溢れさせていた・・・。


「ゲゲッ!!ゼ、ゼムス・・・様・・な、何故・・ここへ・・・?」


ドルゲルは慌てて下界の映像を消すと嫌な汗を垂らして無理やり笑う。

するとゼムスはドルゲルの肩に手を置き力を入れる。


「があっ!!・・・・な、何を?!」


ゼムスはそんなドルゲルの声を無視して更にオーラを溢れさせる!


「ドルゲル。まさか・・ルビラスの真似事をしていたのでは無いだろうな?」


ゼムスの絶大な存在感にドルゲルは心の何処かで軽く考えていた自分を反省した。


ま、まずい・・も、もっと慎重に事を進めなくては・・・せっかくの神の座を失ってしまうぞ・・・


「い、いえ!!!め、滅相もございません!!た、ただ下界の様子を見ていたら面白い事があったので少しだけ力が漏れてしまっただけで御座います!!!」


ドルゲルは肩を掴まれ激痛に顔を歪めながら何とか誤魔化そうと必死に言い訳を並べた。


「ほう・・面白い事か・・・下界を見る事は咎めはせぬが・・・もしくだらぬ干渉した時は・・分かっているな?」


ゼムスはドルゲルの顔を覗き込みドルゲルが首を縦にコクコクと振るのを見ると肩から手を離しドルゲルの皺になった服をパンパンと整えるとそのまま立ち去って行った。


「あ、危なかった・・・クソッ!あの覗き神め・・・」


「今何か言ったか?」


いきなりゼムスが目の前に現れた。


「ぬあぁぁぁぁ!!!ゼ、ゼムス・・様!!な、何でもございません!!!ま、まだ何か?」


ドルゲルが額に嫌な汗を溜めながら固まっている。


「ふむ。一つ言い忘れておってな。ルビラスの居場所を特定するのだ。同じ暗黒神同士ならすぐに分かるであろう?」


「ル、ルビラスの居場所ですか・・・」


ドルゲルは誤魔化す様に斜め上の虚空を眺めながら思案する振りをする。


「わ、分かりました・・ですが元暗黒神とは言え下界に行った者を探すのは手間が掛かりますので時間をくださいませ。」


ドルゲルはチラリとゼムスを見る。


「ふむ。分かった。分かり次第頼むぞ。」


そう言い残して今度こそゼムスは虚空へと言えて行った。


ドルゲルは暫くの間虚空を眺めゼムスの気配が完全に無くなったのを確認すると膝から崩れ落ちた。


「ぶはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!死ぬかと思ったぁぁぁぁ!!!

こ、これは暫く大人しくしておかんと不味いな・・まあ、取り敢えずさっきの続きを見ようか・・・ククッ・・)


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