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第106話 注目の一戦

ゼガル達は森を抜けて副団長ドルムを視界に捉えた。

すると待ち侘びた様にドルムが馬を進めゼガル達の様子に眉を顰める。


「おぉ!ゼガル戻ったか!・・・ん?ど、どうした尋常じゃない汗だぞ?!何か問題があったのか?!」


ゼガルは肩で息をしながら意識は保っているものの気の抜けない状態であり、部下達に至っては項垂れて辛うじて意識を保っている状態であった。


「ド、ドルム様・・・只今戻り・・ました。む、村のガキ共を・・・くっ!・・はぁ、はぁ・・3人確保・・・して参り・・ました。」


ゼガルが息も絶え絶え報告するとドルムはゼガル達の状態を気にしながらも負傷者を鞍に乗せた馬の後ろに上半身をロープでぐるぐる巻きにされた3人の子供がロープに引っ張られて歩いて来る姿が目に映った。


「あ、あいつらか・・・ひ、人質にしては堂々としているな・・それに・・気のせいか・・ガキ共の周りが歪んで見えるぞ・・・くっ・・な、なんだこの重く纏わりつくような空気は・・・」


ドルムも同様に額に嫌な汗を滲ませて呼吸が早くなっていく。


「あんたが親玉?・・えっと・・ドルムさんね?私達は人質なんでしょ?早く連れて行きなさいよ!」


ニーナ達は闘気を立ち昇らせながらドルムを見据えた。


「何?!〈鑑定〉持ちか・・・ガキの癖に生意気な・・・」


ドルム達は自分の1/3程の歳のニーナ達に完全に飲まれていた。ドルムは最初に村に近付いた時の感覚を思い出す。


(・・・いいのか本当に・・今までの村とは何が違う・・まるで・・魔獣共が獲物を待ち構えているような・・・し、仕方ない・・)


「ゼガル・・・一度本隊に合流して団長に報告するぞ。」


「は、はっ!・・・了解しました。」


ドルム達は本隊に向かい走りだすとニーナ達も軽い足取りで着いて行った。


「いい?これは人質のふりをした監視よ。こいつらは他でも同じ事をして来た筈よ。だから逃がさないように監視するの。そして村に誘い込んで一気に殲滅するのよ!」


ニーナは正面を見ながら2人に作戦を伝える。


「あぁ!分かっているよ。あの数は僕達だけじゃあ難しいからね。」


「はん!腕がなるぜ!!メルト村の恐ろしさを叩き込んでやるぞ!!」


「そうよ!奴らが今まで犯して来た罪をここで償わせるのよ!!」


ニーナ達は悪党さながらの表情でドルム達を背後から眺めるのであった。




山賊の頭が望遠鏡を覗きながら声を上げる。


「お、おい・・あの捕まっているのは村のガキ共じゃねーか?!」


「何?!」


盗賊の頭も急いで望遠鏡を覗く。


「そ、そうだ!!確かニーナとか言ってたな・・・あ、あいつらを捕まえるとはな・・帝国騎士団・・流石と言ったところか・・」


ニーナにやられた顎を摩りながらまじまじと望遠鏡を覗く。すると酒盛りをしながら見ていた盗賊の男が首を傾げた。


「頭・・・なんか様子がおかしいですぜ。ガキ共がおとなし過ぎじゃぁないですかね?俺にはわざと捕まっているように見るんですがね・・・」


「ん?おう・・言われてみりぁそうだな・・まさか・・人質のフリか・・・懐に引き込んでから勝負って事か・・・」


「へっ!えげつねぇ事しやがる!だが帝国騎士団には縄張りを荒らされた上に怪我人まで出たんだ!報いを受けてもらうぞ!!

ふん!あの化け物相手に何秒もつか見ものだぜ!」


「よおーーし!!帝国騎士団がメルト村相手に30秒持つか賭けようじゃねーか!!」


「その賭け乗ったぁぁぁ!30秒持たねぇ方に銀貨3枚だ!!」

「俺は30秒持つ方に銀貨5枚だ!」

「俺は10秒持たねぇ方に銀貨8枚だ!!」


盗賊の頭が手を上げると次々と手が上がり山賊と盗賊が入り乱れて注目の一戦に盛り上がっていた。


山賊の頭はジョッキを片手にあの日見た空一面を埋め尽くした各属性の槍が浮かぶ光景を思い出していた。なす術なく死を覚悟した瞬間であった。


(アレはいつ思い出してもブルっちまうぜ・・化け物共よ・・お前らに有金ぜんぶだ!!派手に頼むぜ・・)


今日だけはメルト村を応援する事に決めた頭であった。

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